学校にいるだけで
やる気が湧く空間づくり
1964年に開校し、今年創立50周年のメモリアルイヤーを迎えた水城高等学校。2013年には新校舎棟が、2014年には新図書館と新講堂が完成し、真新しい学び舎に生徒の元気な声が響いている。
キャンパスのコンセプトは「未来ステージ」。学校にいるだけでやる気が湧いてくるような、明るく使いやすい空間を目指した。
まず考えたのは、生徒の移動のしやすさだ。本館から1号館をつなぐ連絡通路は「スカイウェイ」と呼ばれ、ガラス張りの通路の窓からは燦々と光が降り注ぐ。そこを通って新校舎の2号館、図書館、講堂へと進む経路には、階段の上り下りがなく、直線で移動ができる。
採光も工夫がされており、教室も廊下もとても明るい。図書館の廊下側は一部ガラスになっており、中の様子がよくわかる。さらに図書室内に約120もの自習席を確保。また校内のところどころにラウンジを設置し、生徒同士が交流できる空間も用意されている。
加えて、中庭には屋外ステージもある。学校見学会等で空手道部が演武をしたり、ダンス同好会がパフォーマンスを披露したりと、生徒の発表の場となっている。
同校はJR水戸駅南口から徒歩7分、駅から直進距離で700mとアクセスの良さは抜群だ。茨城県広域から生徒を集めているが、「未来ステージ」の完成により、ますます注目が高まりそうだ。
日本庭園と茶室を併設した
講堂は芸術的空間
新講堂は生徒が集まる場所でありながら、芸術的空間でもある。
講堂の場所は、元々は同校の理事長である山野内五郎氏の邸宅があったところ。東日本大震災で被災し、邸宅は解体されたが、山野内家の偉業を残そうと、庭木や灯籠をそのまま活かして講堂がつくられた。また、講堂の舞台脇には茶室も併設。こちらも邸宅の茶室で使われていた天井板を使った本格的なつくりになっている。
600人収容の座席の一部は可動式で収納が可能で、アリーナとしても使用できる。サプライズなのは舞台奥の引き戸を開けると、見事な日本庭園が現れること。学校とは思えない日本情緒あふれた景観に出合うことができる。
学力、部活動
道徳を掲げる教育方針
近年の大学進学実績も目覚ましい。26年度は国公立大学の合格者は149人。早慶上理ICUに43人、GMARCHに108人合格した。
昨年、コース名を変更。東大・京大・医学部を目指す「SZ」コース、難関国公立・私立の「SS」コース、国公立・私立の「SA」コース、スポーツとの両立を目指す「SB」コースの4コース編成にし、中高一貫の私立高校が多い中、高校3年間で成果を出す教育プログラムが成果を上げている。 |
生徒募集部部長の真田倫紀先生は「1年生の早い時期から学習習慣を付ける取り組みをしています。本校の生徒は1時限目の30分前には登校し、早朝学習を行います。水城に入学したらそれが当たり前という雰囲気がありますね」と話す。放課後も英・数・国を中心に授業プラスαの問題に挑戦するゼミ(90分)を実施。「ゼミや部活動、自習などで少なくとも18時過ぎまでは学校で活動するのが水城生」と真田先生。
文武両道を掲げ、硬式野球部、ゴルフ部、陸上部など全国レベルで活躍する部活動も多い。部活動の制限はなく、SZコースでも硬式野球部に入部する生徒もいる。
山野隆夫校長は「私は本校の教育の基本線は『学力増進』『部活動』『道徳観向上』の3つです。私はこれを『3点確保』に例えます。手足4つのうち、いずれか3点で体重を支える山登りの基本ですが、学力、部活動、道徳の3つを向上させることが、人間教育につながると思います」と語る。
同校のキャッチフレーズは「Hand & Heart 未来につながるSUIJOのこころ」。このHandは手の意味ではなく「手渡す」を表し、手に手をとって伝統を継承するという意味が込められた。伝統を活かし、さらなる飛躍へ。次の50年の歴史はもう始まっている。
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