宗教的情操教育を支える
恵まれた環境
朝に礼拝、夕に感謝
緑豊かな泉北丘陵の高台に位置する東大谷高等学校。周囲は里山の名残をとどめており、新校舎の設計にあたっては、同校の伝統と周囲の自然環境を尊重し「つながりを育む里山校舎」をコンセプトにしたという。学校が位置する地域一帯は、かつて古墳時代の須恵器の一大産地であったことに加え、堺市の伝統産業が刃物であることなどを鑑み、校舎には焼物であるレンガやタイル、金属、コンクリートといった建材を多用。雨水利用や自然換気システム、LED照明や人感センサー、Low-E 複層ガラスの採用など最先端の素材や技術の粋が集積されていることも注目に値する。
これらは、生徒たちが他者や自然、社会との様々なつながりを育み、希望に満ちた学校生活を過ごせるように入念に設計されたものであり、同校の宗教的情操教育に欠かせない恵まれた環境が整えられている。
「門前には、校舎に向かって礼をするように促す札が立っており、登下校時には『今日も一日よろしくお願いします』『ありがとうございました』という気持ちをこめて校門で一礼。
始業前の朝礼と一日の終業後にはバッハの『G線上のアリア』をBGMに数分間の瞑想を行い、自分自身の内面としっかり向きあうのが日課です。このように毎日の朝終礼、さらに宗教の授業(週1回)や宗教行事(花まつり・報恩講)等を通じて日常の『あたりまえ』と捉えていたことが実は『ありがたい』ものであることに気付いていきます」と校長の長尾文孝先生は話す。
一人ひとりにあった
進路が見えてくる
自己実現をかなえる3つのコ―ス
長尾 文孝 校長
同校には3つの特色あるコースがある。国公立大学や難関私立大学を目指し、わが国の将来を担うリーダーを育てる【特進コース】、語学・国際系の難関私立大学を目指し、国際社会で活躍する人材を育てる【国際コース】、併設大学や有名私立大学を目指し、自主的・主体的に考え、行動できる人材を育てる【進学コース】だ。
特進コ―スは、最大週40時間の授業体制を基本に、志望分野別で各目標ごとに少人数の授業を編成。目標達成に必要な学力獲得のための教科指導を実施している。共学化後4年間の進学実績を見ても、京都大学、大阪大学、神戸大学、関関同立などに合格。さらなる躍進に期待が集まっている。
国際コースは、海外留学制度が充実。1年次の3学期から長期(1年間)もしくは短期(3ヵ月間)、ニュージーランド・オークランドへの留学ができ、英語力の向上および外国の文化に触れながら幅広い教養を身につけることができる。また、2年次には第2外国語を選択でき、英語のほかに、スペイン語、フランス語、中国語、韓国・朝鮮語の中から一つを学ぶことが可能だ。
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進学コースでは、大阪大谷大学への学内推薦制度を始め、高大接続パイロット提携(関西大学)や指定校推薦制度(240校以上)など、多彩な進路設計には定評がある。それぞれの学力に応じた丁寧な指導で勉強と部活動を両立しながら充実した高校生活を過ごせるよう、幅広い選択肢が用意されている。
大阪大谷大学との高大連携
9年一貫 薬剤師育成プログラム
本格始動!
大阪大谷大学と東大谷高等学校は、優れた薬剤師を育成するために、昨年から9年一貫教育の「薬剤師育成プログラム」を実施。双方が様々な面で連携し、学園創設以来の「報恩感謝」の教えのもと心ある薬剤師を育てる。高校生のうちからキャリア教育をスタートさせ、薬剤師として必要な資質を育むため、大学での専門的な授業にもスムーズに取り組むことができる。別途に設けた要件を満たした生徒を対象にした特待生制度や奨学金制度なども充実。学園全体で学びをバックアップする体制を整えている。
学びを深める「探究ゼミナール」
10年後をデザインする
「10年未来プロジェクト」
「探究ゼミナール」という授業では、生徒が関心を持っていることや疑問に思っていることなどを多角的観点から調べ、研究し、それらを論理的に主張することができるようになることを目指している。「生徒たちは、パソコンなどの機器を自在に使いこなし、プレゼンテーションも工夫しながら表現力を確実に向上させています」と校長の長尾先生。
総合学習の一環として行っているキャリア教育「10年未来プロジェクト」は、卒業生を中心に、様々な分野で活躍している社会人から仕事の内容および仕事をする喜び、困難なことなどを聞くことにより職業への興味や関心を高めていくプログラム。どんな社会貢献をしていきたいかを自らに問い、自分自身の10年後のビジョンを思い描く試みである。
1世紀以上の歴史と伝統という確かな基盤と誇りがあるからこそ、最新の教育施設・設備のもと、来るべき未来に向かい「自ら考え行動する」卒業生たちが、自信を持って新たなる歴史を拓いていくにちがいない。
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