箕面自由学園だからできる
生徒ファーストの教育を実践
環境やアクセスの良さが広く知られる大阪府箕面市。沿線の阪急電車箕面線は毎朝多くの高校生を乗せ、最初の駅である桜井駅でブレザー姿の生徒たちを降ろす。徒歩数分で正門を超えて学園坂を登り切ると、小高い丘の上に広い学園の校舎が見えてくる。静かで緑豊かな環境に囲まれた5万uの土地、それが幼稚園児から高校生までが学ぶ総合学園・箕面自由学園だ。
創立92年を迎える箕面自由学園は、昭和22年に中学校、4年後の昭和26年に高等学校を設立した歴史ある学校だが、その内実は革新的だ。現在の田中良樹高等学校校長は就任2年目、森創(はじめ)中学校校長は今年から就任したばかりで、学校運営に熱い意欲をみなぎらせている。
「私は公立校の教員から自分自身の母校である幼稚園の園長、そこの中高の校長を経て、退職後本校の中学校校長に就任しました。田中校長も大阪有数の私立進学校、大学附属の高校に勤務した後、2年前に箕面自由学園高等学校の校長になられたのです。2人で連携しながら中学から高校までの動きをスムーズに導くよう、いつも新鮮な気持ちを忘れずに仕事に取り組んでいます」(森)
「進学校では進学実績を、附属校ではどれだけの生徒を附属大学に進学させられるかを重視していました。しかし、本校は常に真ん中に生徒を置いて教育環境を作ることができる生徒ファーストの学校であり、非常にやりがいを感じます」(田中)
中学時代から自分の未来についてしっかりと考え、高校時代でその目標に向かって生きた実力を伸ばせる箕面自由学園のアイデンティティを身に付けた生徒たちは、皆明るく自信を持った表情で日々を送っている。
中学の朝テストは3年間で6千題
習熟度別は成績の変化で変更も
箕面自由学園の名の『自由』は、その教育にも現れている。中学では世界で活躍する人間力を育むため、高い学力の育成、社会に喜ばれるマナー、思考力・判断力・表現力の育成を掲げているが、その教育内容には森校長の就任後に実施が決定した国内でのイングリッシュキャンプ(高校でも導入)やニュージーランド語学研修、オーストラリア・カナダへの海外留学制度(半年間)なども含まれる。また、英語力の育成の一環として中学3年間で英検2級の取得も目指している。
さらに新しい取り組みとして、大阪市立科学館やオービィ大阪などとのコラボ、最先端技術や臓器移植ネットワークなどに関わる人材を招いての講座、電子辞書や学習手帳を活用した自己スケジュール管理と多岐に渡った教育も実践。これらは授業や自習で得た知識を実践・活用する探求学習であり、生徒たちの知的探究心を満たす経験となる。
「他校と比較しても、授業の時間数が飛び抜けて多いということはありません。しかし、箕面自由学園中学校ではすべての教員が生徒たちの担任です。彼らは生徒たちの実力アップのため、各教科教員が3年間で6千題に及ぶ朝テストを作成。また、成績の変化に応じて随時変更する習熟度別クラス制、英語と数学に重点を置いた独自のカリキュラム編成などで生徒の習熟状況を常に把握して、生徒たちの成長を導いています」(森)
箕面自由学園では中高一貫制は取り入れていないため、高校に入学するには受験が必須。周辺にはハイレベルの公立・私立校も多数あり、外部受験・内部受験を問わず、夏期休暇中に受験対策のフォロー授業が行われている。
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高校のコース内容を刷新!
コース共通でデザインタイム導入
箕面自由学園高校では、T類(特進)にスーパー特進コース、特別進学コースT・Uの3コースと、U類(チャレンジ)に総合進学コースとクラブ選抜コースの2コースが用意。コース選択には生徒の意志を重視している。その結果、ヤングアメリカンズプログラムやイングリッシュワークショップ・キャンプなどの国際交流が特徴である総合進学コースで、最難関国立大へ合格した生徒も輩出している。また、クラブ選抜コース以外は1年の終わりにコース変更が可能で、中学時代に決めた自分の目標達成に向け、生徒たちはモチベーションをあげている。
一方、コース共通で今年度より新しくデザインタイムを導入(クラブ選抜コースを除く)。放課後を「自分の人生を自分でデザインする時間」と位置づけている。これは、生徒の選択を重視し、“自分でつかみとる力”を育成しようとしている。具体的には分野別・大学別の講習や自学自習、質問タイム、クラブ参加、面談など自由に使用できる。「与えられるものを待つのではなく、生徒自らが考え、積極的に選択し、行動する。そのために学校は、教職員は何をすべきか、試行錯誤の毎日ですが、日々、伸長していることを実感しています」という。(田中)
高校2年で導入している「アメリカの若者と一緒に数日間でミュージカルを創り上げる『ヤングアメリカンズプログラム』は次年度、中学校も導入予定です。常に情報を集め、良い教育はすぐに取り入れる。でないと、毎年同じことの繰り返しでは変化する時代に生きる生徒を育てられません」(田中)
ともにライバルは周辺の学校では無く『昨日の箕面自由学園』と語る森校長と田中校長。
教育に良いと思われる取り組みなら早く導入することが必要だと、朝読書の時間にも手を加え、感想文を書く時間を与えたり、今まで得た知識で行うディベート導入など、今度は何が始まるのかと、生徒や保護者、教員たちの興味を絶えず引きつけている。
この学校から目が離せない。
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