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中学・高校受験:学びネット

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夙川学院中学校・高等学校

 
  今春、期待の新校長が就任し、大きく再始動
地球規模で活躍できる人材育成を目指す
1880年(明治13年)創立の夙川学院は、140年近い歴史を持つ兵庫の伝統校である。「徳のある人間を育成する」を校訓に掲げ、長らく女子校として歩んできたが、昨年から男女共学化。そして昨年、西宮市の夙川から神戸ポートアイランドへ移転し、真新しい校舎とともに新天地での第一歩を記すことになった。現在は幼稚園、中学校、高等学校、短期大学を併せもつ総合教育機関である。さらに今春、新しい法人となり財務基盤も安定した。新しい理事長、校長を迎え、今までにない規模の学校改革に乗り出そうとしている。2020年を照準にプランを始動させている夙川学院の現状を取材した。

校 長: 鏑木 稔
住 所: 〒650-0045 神戸市中央区港島1-3-11
電 話: 078-940-1131
交 通: 神戸新交通ポートアイランド線「みなとじま」駅より徒歩10分
学生数: 中学校 21名
高等学校 369名 (2017.7.1現在)
ホームページ: http://www.shukugawa.ac.jp/

 

塾業界で辣腕をふるった指導者が校長に
大規模な学校改革の構想とは

 この春、就任した鏑木(かぶらき)稔校長は、明光義塾や早稲田アカデミー個別進学館を22年に渡り経営してきたベテランの教育者であり経営者。現在、夙川学院の校長を務めながら、塾では会長職にも就いており、神戸と東京を行ったり来たりの忙しい毎日を送っている。

 「就任してまだ間もないのですが、教員の姿勢が見違えるほど変わってきました。この2ヵ月、先生方とじっくり話した中で、夙川学院の良さは指導がていねいであること、保護者が安心して任せられることだと感じました。こういう長所は残しつつも、これから作る夙川学院は、今までとはまったく違う学校になると考えています。良いところは残し、変えるべきところは大きく変えていきます」とパワフルに宣言をする新校長。

 現在、夙川学院は普通科のみで、進学を目指す「アカデミック(特進)」「リベラルアーツ(総合)」、夙川学院短大への内部進学を前提とする「プリスクール」、スポーツに特化した「グローバルアスリート」の4コースが設けられている。来年度までは現行のコースを維持するが、再来年にはコース制度そのものを大きく改革する予定だ。
 目指すのは、「地球共生市民の育成」。それに必要な要素として「学ぶ技術」「多様性」「英語力」の三本柱を掲げ、新たな取組みを始めているところだ。

 「先日、ある公立高校の校長と会談したのですが、その高校からは日本の大学ではなく、海外へ進学する生徒が増えているそうです。世界からトップエリートが集まることで話題のミネルバ大学(米国)や、メルボルン大学(オーストラリア)へ進学した生徒も出ている。メルボルン大学は、世界大学ランキングで東大より上位に評価されている名門校です。そこに合格した生徒は、5科目の評定平均が1・7なんです。これは偏差値がもう通用しない時代だという良い例です。高校までに何をやってきたか。強い志望動機を持っているか。経験こそが重視される時代になったわけです。これから日本の大学も大学受験は、AO入試になっていく。360度評価が当たり前になります。それは社会自体がAO的人材を求めているからです。そうなると、高校も当然変わらざるを得なくなります」

 まずは、従来の学び方を変えていきたいという鏑木校長。これまでのような知識の詰め込みではなく、深く考える力を養うクリティカルシンキングを学習の中心に置く。自宅で基礎知識を予習し、授業ではそれをもとにディスカッションを行い、結果をプレゼンテーションする。こういった反転学習、問題解決型の授業を重視していく方針だ。

 「座学だけではなく、校外での探究学習もどんどん増やしたい。校内7に対して校外3の割合が理想だと考えています」

国際社会で通用する本物の英語を
コミュニケーション能力の形成を重視

 「オーストラリアのクイーンズランド州にあるボンド大学と提携をして、様々なことをやっていきます。この夏には教員が研修に赴く予定ですし、留学制度も充実させたい。将来は、ここへ“研究旅行”として行くことも考えています。観光が主体の修学旅行ではなく、学習の成果を現地で結実させるような意義のある活動にしたいのです」

 フィリピンの語学学校とスカイプをつないで英語のレッスンも行う予定だ。これも一般的な英会話ではなく、日本の検定教科書に沿った内容で学習を進められるように準備を進めている。

 中高一貫コースでは、ダブル担任制をとり、日本語と英語の先生2人でクラスを運営する。ネイティブスピーカーにはこだわらないが、日本人であっても英語を第一言語レベルで話せる先生を考えている。そして、高校からは全ての授業を英語で行う予定だ。また中3の2学期には、ボンド大学へ3、4ヵ月の留学を行う構想もある。

東南アジアへのスタディツアーを計画
将来は海外から生徒の受け入れも

 「生徒の進路に関わるキャリア教育も大きく変えていきます。3年間をどう使うのか、体系的なカリキュラムを考えています。重要なのは世界の実情を知ることです。生徒それぞれの個性を伸ばし、その一方で共通のビジョンを掲げていく。国際化に伴って海外から他民族や文化が流入していますが、それらを理解し、共生できる人材を育成したいのです」

 そのため、夏休みにはタイ、インド、ミャンマー、ネパール、フィリピンといった東南アジア各国へのスタディツアーも行う準備もしている。よくある短期留学ではなく、3、4ヵ月かけて現地でじっくり勉強をするプランを練っているところだ。また、生徒を派遣するだけでなく、奨学金制度を設け、アジアからも生徒を招いて夙川学院で一緒に学んでもらう方針だ。近い将来、クラスの半数が海外からの生徒という状態にしたいという。

 「私も理事長も長年、企業で働いてきましたので、物事をゴールから考える習慣が身に付いています。高校なら3年後にどうなりたいか。そこから思考が始まるんです。これから変えていく学び方も、すべてその視点です。入学から6年後や3年後の人物像を定義して、その人材を育成する為にはどんな授業が良いのか、どんな人格形成をすべきか、ゼロベースで再構築して行きたいのです。例えば修学旅行は何の為に行くのか?文化祭は?そもそも机や黒板は必要なのか?よくよく考えてみると目的がはっきりしない事が沢山あり、ゴールとまったくつながっていない事が多い。今までは点数を取る事がゴールでしたが、これからの時代はそうでは無い。教育的効果をしっかり吟味しながら、計画的効果的にPDCAを回して行きたいと思います」

 エネルギッシュに改革のプランを語ってくれた鏑木校長だが、自身も大きな目標を掲げている。

 「夙川学院の改革を行って道筋がついたら、アメリカへ渡ってスタンフォード大学で教育学や政治学を専攻したいと考えています。まだまだいろんなことに挑戦したいですし、学びたいこともたくさんありますから」

 まずは夙川学院がどう変わっていくのか。これからの動きに大いに注目をしたい。

 
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