テーマは、“Trusting in Gyosei
仰星の「底力」信じてみよう”
学校近くの田んぼでは、稲穂が黄金色の頭を垂れ、天高く青空が広がった昨年10月3・4日。東海大学付属仰星高等学校・中等部の星河祭「文化の部」が行われた。4日は10時開門だったが、9時半にはすでに正門の前に列ができていた。一番乗りの人は9時来校というから、星河祭の人気のほどがわかる。
第33回星河祭「文化の部」のテーマは“Trusting in Gyosei仰星の「底力」信じてみよう”。同校には、高等学校・中等部ともに英数特進コース、総合進学コースがあるが、中高・コース関係なく、9月初めから「文化の部」の出展内容の準備に取り組む。星河祭は、企画から運営まで、すべて生徒が行うのが同校の伝統となっているからだ。
出し物は、中等部1・2年のクラスは、手作りの「ゲームセンター」や「おもしろ動画」など。2年C組の「ピタゴラスイッチ」は、段ボール、磁石、マーカー、洗濯バサミ、空き缶などを使ったピタゴラ装置で、アイデア満載。「9月初めから、クラスみんなで案を出し合って作りました」と生徒たち。
高校1・2年のクラスも動画やゲームが多かった。1年3組の内容は、3匹ならぬ「6匹の子ブタ」。クラスの中だけで撮影した動画で、観客の笑いを誘う場面がたくさんあった。担任の先生の名前を出展のタイトルに使っているクラス(2年5組「ヒヤマツリ」)もあり、先生と生徒の距離の近さを感じさせられた。
屋台では、男女が協力して調理・販売
いずれも大人気
高校3年は、屋台を出店。焼き鳥、かき氷、パンケーキ、フランクフルト、たい焼き、たません、焼きそばなどで、屋台の装飾にも趣向を凝らしていた。各クラス、揃いのTシャツを着て調理・販売しており、調理しているのはたいてい男子生徒。下準備を行っている化学教室へ行ってみると、ここでも男子生徒が大活躍。たい焼きの生地を作っていた生徒に聞くと、クラスで役割分担を決めたとか。その男子生徒は「家でも、お母さんのお手伝いをしています」と話してくれた。
どの屋台も大繁盛。生徒、保護者、小学生などが行列を作っていた。焼きそばの列に並び、ソース味を注文。豚肉がいっぱい入っていて、なかなかおいしかった。
校庭にいた中1生徒の保護者に話を伺うと「小学生の時は、依存型の性格だったけど、親にも自分の意見を言うようになりました。運動部に入っていますが、毎日の朝練も嫌がらず楽しく通学しています。星河祭も楽しいですね」とのこと。その保護者が、仰星を選んだ決め手として、「見学に来た時に、どの生徒も『こんにちは』と挨拶してくれた」と振り返ったが、星河祭当日も同様だった。記者にも、どの生徒も「こんにちは」と明るく挨拶してくれ、インタビューすると、ちゃんと答えてくれる。仰星の教育のあり方の一端を見た思いがした。
講堂では、満員の観客が
ダンス、劇、コンサートを楽しむ
講堂では、中等部3年の「ハワイアンダンス」、高校1年7組の劇「シンデレラ」、吹奏楽部の「ドルフィンコンサート」が行われた。いずれも生徒が司会進行も担当していた。
「ハワイアンダンス」では、6月のハワイ語学研修の際に現地で教わった舞踊を披露。コイダンス、ウリウリダンス、ブリーダンス、フラダンスを踊った。終了後、生徒に聞くと「1カ月間ほど、毎日のように練習しました」。そのかいあって、ステップがそろっていて、見応えがあった。 |
劇「シンデレラ」が始まる前、通路では、1年7組の生徒たちが円陣を組んで、「オ−、頑張ろう!」と気合を入れていた。この劇は、原作とは全く別のストーリーで、シンデレラが物語の世界を抜け出し、現代世界にきてしまうというもの。脚本、演出、大道具、小道具、照明とすべて生徒の手により、「夢をあきらめずに頑張る」ことの大切さを訴えた。この劇で、クラスの団結力がさらに強くなったに違いない。
「ドルフィンコンサート」は、ハリウッド・マイルストーンズ、マンボ・ジャンボ、嵐メドレー、仰星セレクションの4部構成。講堂は満員となり、1曲ごとに割れんばかりの拍手に包まれた。さすが「関西吹奏楽コンクール」金賞受賞の実力。観客席も手拍子を取り、一体となって楽しんだ。
星河祭では、生徒会が募金活動を行うのも伝統。毎年、生徒がデザインしたオリジナルのうちわを制作し、来場者に100円で販売する。昨年は、その収益金を「平成27年台風第18号等大雨災害義援金」にあてた。
校庭にあるゴミ箱では、ビン・カンと、可燃ゴミにきちんと分別されていて、30分に1回、美化委員と運動部員が回収。常にゴミ箱がいっぱいにならないようにという、こまやかな配慮が素晴らしい。
2日間の来場者は、計3,310人。地域ぐるみで一緒に楽しんだビッグイベントだった。地域住民の来場者の多さは、地元に親しまれている学校の証でもある。
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