バランスよく学び
表現力の幅を広げる
鏡張りのトレーニングルームに1、2年生の女子70人ほどが集まった。「みんな背が高い!」と思ったら、足もとはハイヒール。ヒールの高さは10センチもあるという。
今日は、プロのモデルによるウォーキングレッスン。男女別に基本姿勢や重心の移動方法を学び、美しく健康的な歩き方をマスターする。1年生の動きはまだぎこちなく、真っ直ぐ歩くのも難しそう。一方、すでに何度かレッスンを受けている2年生の足取りは軽やか。優雅にターンを決めてポージング。思わず浮かんだ笑顔に、レッスンを楽しんでいる様子がうかがえる。
2年生のクラスを担任する米木綾教諭は、「飲み込みが早い」と感心する。
レッスンが終わると、生徒たちは講師を囲んで、質問攻めにする。スタイルを保つ秘訣や食事の取り方など、あこがれのモデルに聞きたいことは尽きないようだ。
教科の授業の他に、こうしたレッスンが1年生は週に2時間、2、3年生では週に6時間設けられている。科目は、ダンス(ヒップホップ・ジャズ)、ミュージック(ギター・ベース・キーボード・ドラム・ボーカル)、MC(発声・滑舌・表情のつくり方)など、多岐にわたる。
同校のアクト系の特徴は、生徒がすべてのレッスンを受けることだ。楽器もひと通りこなさなければならない。エンターテインメントに関するあらゆる分野をバランスよく学ぶことで、感性を磨き、表現力の幅を広げることができるからだ。また、自分の表現したい世界を改めて見出すことになる。中には、入学当初はミュージシャンを目指していたが、ダンスのレッスンを受けて、その面白さに気付き、ダンススクールに通い始めた生徒もいるという。
レッスンを通して内面を磨く
菊華高等学校は1962年に守山女子商業高等学校として創立。その後、普通科を併設し、校名を変更。1999年には普通科を男女共学化。現在は、普通科に総合進学コースと福祉コース、スポーツアクトコース、商業科として情報ビジネス科を併設する。
昨年度スポーツアクトコースを開設した目的は、総合的な人間教育にある。
「スポーツや芸能など好きなことを通して学ぶ力は大きい。目標を持ったとき、それまで自分でも気付いていなかった強い力が湧いてくるようです」
そう話す米木教諭自身も、同校の箏曲部を13年連続で全国大会へ導いている実力者だ。3歳から箏を習い始め、芸の道を歩んできた。その厳しさを知り尽くしている。 |