今年創立79年を迎える三島高等学校。現在は普通科、情報ビジネス科、福祉科、生活デザイン科の4学科があり、生徒の個性や能力に合った目的別教育課程を設定している。
2008年度からスタートした「普通科大進コース」は、文系の国公立大学進学に特化した少人数制が特徴。定員は20名で、1学年1クラス。男女の割合はほぼ半数。基本的に1クラス2人担任制を取っており、生徒と教師の距離が近い。「目の行き届いた、きめ細かい指導を心掛けています」と大進コース主事の伏見友秀先生は話す。
基礎から大学受験に備えた演習問題まで対応するため、豊富な学習時間を確保。朝8時から朝読書、8時10分からは朝学習として英語と国語を中心に25分授業を行っている。
また他学科の生徒の授業は6時限までだが、このコースは7時限まで。放課後には河合塾のサテライト講座も受講できる。
「塾や予備校に行かなくても、大学受験に対するさまざまなサポートができるのが強みです」と伏見先生。取材時は夏期講習が行われ、生徒は熱心に授業を受けていた。特に3年生は、午前中は共通科目とサテライト講座を受講。午後は大学受験に必要な科目に分かれての授業と、一人ひとりのニーズに即した指導が行われている。
そうした徹底した個別指導により、平成23年度は卒業生14人に対して国公立大学へ5人合格。私立もこれまで慶應義塾、早稲田、中央、法政、立命館、東京理科大(すべて一般入試での実績)へ合格と大躍進を遂げている。
このパワーの源は教師の力だ。生徒のために日夜学習指導に心血を注いでいる。生徒もその情熱に応えようと努力を惜しまない。そうした関係が合格実績に着実に反映されている。
文系に特化ということで英語教育にも力を入れている同校。国内での宿泊語学研修を経て、1年の春休みには2週間のニュージーランド語学研修に行く。ステイ先のワンガヌイ市は、同校がある静岡県駿東郡長泉町の姉妹都市という関係もあり、町の人たちは生徒を優しく迎えてくれる。 |
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「最初は英語が通じずホームシック気味な生徒でも、帰る頃には『もっといたい。日本に帰りたくない』というほどです」と江藤孝雄教頭。この研修が英語を学ぼうという大きな動機付けになっている。1期生で東京外国語大学に進学した生徒は卒業までに英検準1級を取得。ALTの教師とつきっきりで英会話を磨き、合格を勝ち取った。
伏見先生は「このコースはまだスタートしたばかり。毎年変化する大学受験に対応するためにも、教師は日々試行錯誤をしています」と話す。一昨年からは毎年3〜4人の教師が首都圏の予備校に行き、講師の授業を受講。「生徒がつまずくところや、入試問題の解法がよくわかって勉強になります。この経験を大進コースの生徒への指導に活かしていきたい」と話す。
大進コースのクラスは1〜3年生の教室が同じ階に並ぶ。教室の広さもコンパクトで、親しみやすい空間づくりがされている。また部活動にも積極的に参加したり、生徒会活動でも中心的な役割を果たしている。
教室には明るい声があふれているが、中には中学時代不登校を経験した生徒もいるという。それが同校の温かい校風に育まれていくうちに、本来の能力が開花。高校生活を謳歌し、大学へと大きく羽ばたいている。
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