二期制・7限授業で
1年間は受験に専念
「平成22年に小学校の一期生を新入生として迎え入れるタイミングで、さらに大きく進学校へ舵を切りました」と話すのは、同校の橋本貴亨募集広報部代表。これにより、学園の敷地内に併設された幼稚園・小学校との一貫教育体制が完全に整ったことになる。
最大の改革は、受験体制を徹底するための新カリキュラムの導入だ。より多くの授業時間が確保できる「二期制」は継続しながら、全学年で時限数を6限から7限へ拡大。国公立大学受験に対応し、主要5教科すべてにおいて、中学課程を中学2年生、高校課程を高校2年生で修了し、丸1年間は受験勉強に専念できるようにした。
また、中学2年生から、英語・数学・古典で習熟度別クラス編成を実施。生徒の意欲を高めるとともに、それぞれの学習進度に合わせた指導で、苦手科目を克服、得意科目を伸ばしていく。
さらに、正課だけでなく、課外授業を充実させ、基礎の定着とより高い応用力の育成を図っている。
学習の定着のため、全学年で導入したのが「朝の学習」。中学校では月曜日から木曜日の毎朝、主要5教科の「10分間小テスト」を行うだけでなく、金曜日にその結果を基に学習計画を作成し、自学自習の姿勢を身に付ける。
高校1年生からは、放課後の「特別進学指導講座」や「土曜講座」で受験に必要な応用力を磨く。難関国公立大学や医薬系大学の受験にも対応した力強いバックアップ体制で、生徒の高い志望を実現へと導いていく。
強い心を育てる
多彩な体験プログラム
「新生津田学園中学校・高等学校」の取り組みは学習面だけにとどまらない。多彩な体験学習も同校の大きな特長だ。
「土曜講座」では、「自然体験・日本の伝統文化・身近な発見」をテーマに、カヌー体験、ハゼ釣り、百人一首、理科実験など、さまざまな活動を実施。中学校では、各学年の行事としても自然体験活動を行う。
特にオリジナリティーにあふれるのは、2年生の「森の学校」だ。3000メートル級の本格的な登山をするだけでなく、隣のテントと30メートル離れた場所にブルーシート・竹竿・紐を使って自力でテントを張り、懐中電灯だけを頼りに、たったひとりで一泊する「1人プログラム」が含まれている。
「真っ暗闇の中、ひとりで過ごすことで、生徒は育ててくれた親をはじめ、人のありがたさや、『自然の中で自分は生かされているんだ』という感謝の気持ちを抱くようになります」
また、8月末の3日間は全学年・全員参加で「勉強合宿」を行う。学習に臨む緊張感を持って2学期をスタートさせるとともに、一緒に進路を切り開いていく仲間との連帯感を高めるのがねらいだ。
さらに、「国際交流プログラム」も盛りだくさんの内容。歴史文化体験や伝統文化体験で日本を再認識した上で、留学生との交流や語学研修旅行を通して異文化理解を深め、国際感覚を培っていく。
「強い気持ちがなければ、途中で折れてしまう。さまざまな体験学習を通して、強い心や知的好奇心を養ったり、何かを発見したり、心の感動を大切にすることが勉強にもプラスに働きます」
さらに、こうした体験学習だけではなく、学校行事も大幅に見直した。体育祭や文化祭など、それまで高等学校(3年制)の生徒たちと合同で行っていた行事を、すべて中・高一貫校の6学年だけで行う単独開催へ改革。行事を自分たちの手で作り上げることで、自主性や仲間との連帯感が培われるばかりでなく、やり遂げたという達成感が、生徒たちに大きな自信をもたらすようになった。 |
自覚を持った生徒たちと
熱意あふれる教師陣
難関大学に現役合格できる確かな学力の養成、心と体を育む多彩な体験プログラム・学校行事は、まさに同校が掲げる「知・徳・体の調和のとれた人間の育成」のために他ならない。
同校を歩いていると、行く先々で生徒から礼儀正しく挨拶され、「知・徳・体」の気風が隅々まで浸透していることを肌で感じた。
「社会で通用する人間になるためには、勉強だけではだめ。学力と人間力を兼ね備えた子どもを育てるのが『確かな進学校』です」──進学の先を見据えた確かな教育が、知性と品格を備えたリーダーを生み出していくのだ。
同校ではこうした改革に合わせ、入学試験の内容・質も進学校にふさわしいものへ一新。よりレベルの高い生徒が入学してくるようになった。
橋本先生は「特に新入生、新中学2年生は、他の学年以上に強い学習意欲を持っており、我々も『負けずに頑張らねば』と思わせてくれています」と顔をほころばせる。
一方で、「同校には志が高い教員が揃っています。少しでも上を目指して、努力しようとする子どもたちを全力で応援し、しっかりと育てていきます」と熱を込めた。
「新生津田学園中学校・高等学校」の歴史はまだ始まったばかり。意欲にあふれた生徒と、同様に熱意あふれる教師陣が、今後どんなに大きな実績を築いていくのか、目が離せない。
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