中1からの学習習慣 共学化でも成果出す
1992年の開校時、36人の入学者でスタートを切った大成中学校は、その後、順調に受験者数を伸ばし、17年目を迎えた現在は、中高一貫ステューディアコースとして、定員を105名(3クラス)に増やしている。当初、男子単学の学校だったが、7年前に共学化し、昨年度、共学化第1期生が巣立っていった。
その中に名古屋市立大学医学部・医学科に進学していった女子生徒がいたことは、後進に強い意欲をかきたてている。当初、女子の募集を始めるに当たって、学校説明会で足立誠校長は保護者に「女子も男子同様に指導させて頂く」と伝えたという。
それは、同校の名物となっている課外授業「弱点強化ゼミ」を意識したもので、定期考査前には夜8時頃まで、授業で生徒を預かることに理解と協力を求める意味合いがあった。ところが、この言葉が、かえって女子受験生の保護者から歓迎され、受験者数は増えているという。
弱点が見つかれば、それを放置せず、早期に克服するための補充を受ける。「弱点=克服」の習慣づけを中1から徹底している同校では、考査前には夜まで続くゼミは見慣れた光景だ。結果として、男女を問わず、難関大に合格する実績を残したことは、共学化のニーズに真に応えたといえるだろう。
中学校の名物といえば、もう一つ「確認テスト」がある。どこの学校でもやっていそうだが、同校ではこれを月曜日に実施することで、土日の学習を習慣づけることに成功している。その証だろうか、生徒側から「(勉強するために)日曜日も学校を開けてほしい」と要望が出され、学校もそれに応えている。中学部長を務める杉浦和彦教諭は、「確認テストが学習習慣を身に付ける有効なきっかけになっているのは確か」と話す。
習慣化した日々の学習は、模擬試験で数字となって表れ、自信をつけた生徒が、新たな意欲をもって学習に取り組むというサイクルが繰り返されている学校だ。
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高校の3年間でも 凝縮した指導が結実
高等学校から入学する生徒には、難関国公立、難関私大を目指す「ラトナディア」と、国公立、私大への進学を目指す「普通進学」の2コースが用意されている。いずれのコースも3年間という限られた時間の中で、自立した学習習慣を身に付け、3年の終盤まで目標への地道な努力をあきらめないよう指導がなされている。
ラトナディアでは、全員がセンター試験を利用した受験を前提にしているため、5教科7科目のカリキュラムが組まれている。確認テストによって弱点を洗い出すことはもちろん、夏、冬休みの補習で徹底して苦手教科を克服する仕組みが作られている。
こうした指導が奏功し、昨年度の卒業生93人のうち、3割が国公立へ進学を決めている。とりわけ、名古屋大学に合格した6人のうち、5人がラトナディアコースの生徒だったことに、3年間の凝縮した指導を伺うことができる。
この5人について、ラトナディア部長を務める粥川聖弥教諭は、「入学当時は決して高い評定値ではなく、オール3に満たない生徒もいた」と打ち明ける。さらに、「生徒の多くは中学校時代に勉強はさせられるものという思い込みを持っていて、自発的に学習に取り組む姿勢が乏しい。できるだけ早い段階で『自学自修』の習慣をつけてもらうため、意図して自習時間を設けている」とも。中学時代までは、およそ国立大に進学することなど想定外だった生徒が、大きく伸びていく様子が伝わってくる。
このように大成では、学習習慣をいかにつけるかを重要視していることがわかる。「普通進学コースでは、この習慣づけができるのは高2になってから」と話すのは、普通進学部長の田村宏昭教諭。それまでは部活に精を出す生徒も多く、「ラトナディア」に籍を置く学力を持っていながら、「普通進学」を選択する生徒もいるという。
ところが、部活で養われた集中力をひとたび学習面に向けると、高2以降からでも急激に成績を上げる生徒はいるものだ。同校では、普通進学コースの生徒が、模擬試験の成績で1年間に偏差値を10ポイント以上上げた生徒に「ジャンプアップ賞」を設け、最後まであきらめない努力を奨励している。今春は国立大に2人が進学したが、コース全体で61人という生徒数からすれば、小さくない数字だ。昨年度から中学校同様に「弱点強化ゼミ」をスタートし、今年度は教員からの提案で「弱点強化ゼミ」とはまた別の「基礎力定着学習会」をスタートさせた。
父親のための夜の学校説明会
学校説明会を開けば、毎年3桁の参加者が集まる中、今年は「夜の学校見学」と名付けた説明会を実施する。中学受験に関心を持つ父親が増えていることに気付いた教員の発案だ。勤め帰りの父親らが参加し、弱点強化ゼミの実践を観て頂きたいという。また、来春の入試から、これまで窓口でのみ受け付けていた願書を郵送でも受け付けることにした。スピード感ある小さな改善が積み重ねられている。
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