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中学・高校受験:学びネット

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静岡北高等学校

 
  来春、中学校開校(予定)で「世界が求める生きる力」に挑む
 
今世界が求めている学力(キーコンピテンシー)は、3つのカテゴリーに分類される。そのうちのひとつ「道具を相互作用的に用いる能力」をPISA型学力調査が測っている。具体的には、「数学的リテラシー」、「科学的リテラシー」、「PISA型読解力」である。これは、日本の教育が気付かずにいた学力観であり、来春開校予定の静岡北中学校は、これらの力の育成を目指している。

校 長: 森竹 鍵治
住 所: 〒420-0911 静岡県静岡市葵区瀬名5丁目14番1号
電 話: 054-261-5801
交 通: JR[草薙]駅から静鉄バス「瀬名新田」行き乗車、「瀬名原」下車1分、新静岡センターより静鉄バス「則沢」「平山」「瀬名川経由瀬名新田」行き乗車「瀬名原」下車1分 スクールバス9路線運行
学生数: 1,161名 (2009.7.1現在)
ホームページ: http://www.shizuokakita-h.ed.jp

 

SSH指定校の大きな実り

 文部科学省は理数教育に重点的に取り組む学校に対し、これまでSuper Science High School(SSH)の指定を行ってきた。静岡北高等学校は2年前にSSHの指定を受け、地元河川の水質調査、大学教授や院生との交流、カミオカンデ研修をはじめとした国内研修や、日本の高校生では初めてのフェルミ国立加速器研究所での海外研修など、効果的な実践を積んでいる。

 体験を重視したSSHの取り組みは、生徒の探究心を深めるとともに実験や調査、研究結果のまとめを通して、理数教科はもちろん他教科に対しても意欲的に学ぶ姿勢を育んできた。その結果として高い学力を身に付けた生徒は、同校の進学実績を次々と塗り替えてきた。

 数年前まで30〜40人で推移していた国公立大学の合格者が、昨年67人、今年は55人を数えるまでになっている。静岡県は現在も公立志向が強い地域だが、進学実績は確実に同校の知名度を上げ、すでに人気校の仲間入りを果たしている。

 昨年2月、SSH指定の1年経過後、文科省の教育課程調査官が同校を訪れた際、SSHの取り組みにおいて、早期に成果を上げている点を評価し、「『中学校はないのですか』と質問したことが開校への強い弾みとなった」と話すのは、開校準備室で教務スタッフリーダーを務める廣住雅人教諭。SSHの指定は、わずか2年という短期間に同校が進化をとげる起爆剤的役割を果たしたといえる。
その後、中国地方のSSHの中高一貫校、関東地方の中高一貫校を視察し、生徒の積極的な学習態度を目の当たりにした森竹鍵治校長は、中学校開校を決断したという。

文理をかね備えたコンピテンシー(能力)

 「生きる力の育成」が叫ばれて久しい。だが、具体的にどういうコンピテンシーが世界で必要とされ、それを養うためにどんなプログラムを実践すればいいのか。残念ながら国内では、そこまで落としこんだ議論や実践例がまれであった。

 同校の開校準備室ではOECDが定義した、特段に重要とされる3つのコンピテンシー(リード部分)を育むため、単に教科学習のみにとらわれることなく、対人力、問題解決力、実行力をつけるためのプログラムの選定を行った。

 こうした選定が可能なのも、時間的にもカリキュラム編成でも、6年一貫のゆとりがあればこそ。開校準備室で広報を担当する山本政治教諭は、「受験勉強だけにとらわれない本当の学習の楽しみを味わえる、文理にとらわれない中学校をつくりたい」と語る。

 そして、その抱負はカリキュラムに顕著に表れている。中1〜2年次には「CASEプログラム」と「言語技術プログラム」が総合学習として組み込まれているのだ。CASEプログラムは、日本の教育が気付かずにいた領域の能力を引き出す学習法として、英国でその実効性が証明されたプログラム。変数、分類、比例、相関などを使った思考を操作するトレーニングであり、欧米では一般的な教科である。

 言語技術プログラムは、意思伝達ツールとしてのことばの役割をさらに深め、より論理的思考、表現ができるよう、言語技術を訓練するプログラムだ。訓練によって相手の意見を解釈、分析、批判する技術を学ぶものである。これらプログラムには文理両面の基礎を中学段階で固めようとするねらいが見てとれるようだ。

 では、なぜ文理にとらわれない能力にこだわるのか。それは、同校が10年以上独自に取り組んできた「課題研究」と、SSH指定校として実行しているさまざまなプログラムから、科学はあらゆる分野に波及しているという経験が根底にあるからだ。「課題研究」の取り組みで高い学習効果を評価されているものの一つに「巴川水質調査」がある。

 この学習を通して、理系分野に強い関心を抱く生徒もいれば、河川汚濁の実態を目の当たりにし、行政の役割に関心を抱く生徒もいる。あるいは法的整備の遅れに気付き、立法の観点から学習を深める生徒がいたり、他国の事例を知ろうとする過程で、外国語の習得に目覚める生徒もいる。

 まさに一つの取り組みを深く掘り下げて実践することで、生徒の興味関心の幅はさまざまな方向へと広がり、それが生きる力の源となる。そのことを強く実感してきたからこそ、文理にとらわれない21世紀型の学校づくりを重要視するのである。

意欲を持って科学を楽しもう!

 中学校の募集定員は60人。高校進学時は現役で難関国公立大を目指す「理数科」または「国際コミュニケーション科」に進む。また、今年度から理数科の定員枠を広げたため、内進生と外進生が切磋琢磨できる環境はすでに整えられている。

 7月以降も小6生を対象としたオープンスクールを実施するが、その内容はSSH校ならではのもの。一部を紹介すると、「親子クッキングサイエンス」では、ゼリーやジャム作りを体験するが、その中で寒天とゼラチンの違いを科学したり、果物が持つペクチンの働き、性質について科学しながらクッキングを楽しむというもの。ここでも科学はあらゆる分野に波及しているという事実に気付かせる仕掛けがある。理科や数学が得意でなくても、身近な生活の中で科学を意識する芽が伸びてゆきそうなプログラムだ。

 「素直で意欲旺盛な生徒なら、小学校時の学力レベルだけを厳しく問うことはない。6年で大きく伸びる環境を準備して待っている」と山本教諭。新入生と会うのが楽しみでしかたないそうだ。

 
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