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中学・高校受験:学びネット

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静岡北高等学校

 
  理数教育が評価されスーパーサイエンスハイスクール(SSH)の指定を受ける
建学の精神に「技術者の育成をもって社会に貢献する」を掲げる静岡北高等学校は、今年度、文部科学省よりスーパーサイエンスハイスクール(SSH)に指定された。子どもたちの理数科離れが危ぶまれる一方、北高には将来を見据え高度な科学技術の習得を目標とする生徒が多く集まり、独自の活動である「課題研究」は、より深まりをみせている。その取り組みと実践は、年毎の大学合格者増につながり、国公立大へは3年連続で30名を突破。多彩な学科・コースと『三位一体』の連携教育で、夢の実現に向けてがんばる生徒を応援する内容はユニークで楽しい。

校 長: 森竹 鍵治
住 所: 〒420-0911 静岡県静岡市葵区瀬名5丁目14番1号
電 話: 054-261-5801(代表)
交 通: JR草薙駅下車、静鉄バス「瀬名新田」行き約15分「瀬名原」下車徒歩1分、あるいは新静岡センターから、静鉄バス「則沢」「平山」、「瀬名川経由瀬名新田」行き約30分「瀬名原」下車徒歩1分、スクールバス9路線運行
学生数: 1236名 (2007.9.1現在)
ホームページ: http://www.shizuokakita-h.ed.jp

 

科学大好き人間集まれ

平成19年、スーパーサイエンスハイスクール(以後SSH)全国101の指定校の中で私立学校の数はわずか15校。北高は申請2年目にしての快挙である。子どもたちの理数離れを危惧する文部科学省が、平成14年度から開始したこの制度は、理科・数学教育を重点的に行う高等学校を「SSH」として指定、大学や研究機関と連携して、将来の科学技術系人材の育成を目的とする。静岡県内では他の公立高校に続いて3校目となるが、指定された要因を金丸真司郎広報担当は次のように分析する。

「本校では、『日本の将来を担う研究者や技術者』を育てることを目指して、教育活動を行ってきました。課題研究を始めて5年。独自の研究活動を進める中で、国内外の大学、地域の科学館とも連携し、『科学大好き人間を地域で育てよう』と地元の小学生に対して科学の魅力をアピールした取り組みが、高く評価されたのではないでしょうか」

さて、早速今年4月からスタートした「SSH」の中身であるが、メンバーは、主に理数科1、2年生と科学クラブで構成される。活動内容は4つのステージ(図1参照)に分けられ、学校内外で魅力溢れるプログラムが互いに交叉する。1つ目と2つ目は、大学や研究機関など、外部との連携である。4月末、1泊2日で研修に参加、日本科学未来館を始めとする東京お台場周辺の最先端の科学館や研究施設を見学し、発表会(ポスターセッション)を行った。生徒は、科学する楽しさを体験するとともに、話の聞き方、まとめ方を学び、学習や研究活動への目的意識を高めることができた。5・6月には大学・研究所との連携で、水質・土壌・大気の分析方法や、磁石と電気の力(ローレンツ力)、花の色の秘密(酸化と還元)についてなど、将来、最先端科学につながる実験を大学などの研究室で体験した。続いて、地球科学、ロボット、情報通信など多くの講座が予定されているが、大学教授や大学院生との対話は、いろいろな事象に対して興味を持ち、研究活動へ進むきっかけともなる。3のステージは「課題研究」。実習の中でみつけた疑問や問題点をテーマに仮説をたて、実験し、細部にわたって検証する。4のステージは「研究発表」。発表技術は、学外の専門家と本校の教諭が連携して指導する。日本語と英語の発表の仕方の違いなども取り入れて、わかりやすいプレゼンテーションの方法を学ぶ。こうしてまとめた研究成果は、校内外へ発信する。

最先端につながる身近な課題に興味を持ち、それについて研究し、まとめて発信する。その中で、また新たな課題をみつけて…を繰り返す。以上のような「SSH」のプログラムは、北高が独自に続けてきた『課題研究』と深く関わっている。「課題研究」は、興味があり、探求したいテーマをみつけて、1年間にわたり、実験・検証・調査・考察してまとめ発表するというもの。テーマは自由で、特に理系分野を意識することはないが、理数科では1年次に基礎実験実習講座や巴川水質調査が設けられているためか、科学系の課題を選ぶ生徒が多い。情報収集、実験・検証、パワーポイント作成、発表、追実験を経て、論文発表で完成とするが、「SSH」と同じく、ただ自分たちが学ぶだけで終わるのではなく、必ず他の誰かに向けて発信することが大事であると捉えている。発表することにより、曖昧なところや新しいテーマが明らかになり、次の段階が見えてきて学習自体が深まる。

昨年は、地域の小学生にもっと科学のおもしろさを知ってもらうため、『科学大好き人間を地域で育てましょう』をテーマに、静岡科学館る・く・るで科学教室を本校理数科生62名が行い、130名の5、6年生が参加した。もちろん、後で「発表に関して、説明はわかりやすかったか、おもしろかったか?」などのアンケートをとって、検証することも忘れない。小学生は高校生の説明を楽しみ、高校生は小学生の熱心な様子に感銘を受けたという結果を得た。また生徒は、プレゼンの際の気持ちを伝えることの大切さを実感すると同時に、大きな達成感も味わった。「SSH」により、北高従来の課題研究はさらにレベルアップすると思われ、非常に楽しみである。

国公立大へ3年連続30名を突破
今年度の目標は60名合格へ

生徒一人ひとりの夢と目標に合わせたさまざまな学科・コースの設定と、北高独自の『三位一体』連携教育の相乗効果はますます顕著で、大学現役合格率98.1%、国公立大学への合格者数は3年連続して30名を超えた。

合格実績の大半を占めるのが、現役での国公立大学・有名私立大学合格を目指す「理数科」と「国際コミュニケーション科」であるが、近年は普通科でも国公立大への受験指導に力を注いでおり、今年度は国公立大60名合格を目指す。

大学へは進みたいが文系・理系の決定はまだ、クラブ活動にも打ち込んでゆとりを持って勉強したいなど、1年次には明確な目標を決めていない「普通科進学コース」は、2年進級時に希望に沿ったコースを選択できる。理数科・国際コミュニケーション科と比べると、授業時間数には違いがあるものの、普通科進学コースA・Bでは、7時間授業と講座で補ってほぼ同等になる。「潜在意識を持つ生徒も多く、指導次第では急激に伸びます」と金丸氏。その成果は今年既に表れ始め、クラブ活動を充実させながらの厳しい条件にもかかわらず、普通科進学コースから静岡大、滋賀大、山形大や他の国公立へ合格、これからの伸びが予想される。また、国公立の実績だけでなく、難関・有名を含む私立大へは全体で計154名が合格。中には、国際コミュニケーション科から上智大へ進学し、成績優秀で奨学生として認められ、実力の程を発揮した女子もいる。

個別指導の先生が、生徒一人ひとりをしっかりと把握し、適切なアドバイスをした好例であろうが、進路指導においては、学校をあげてのサポート体制がある。以前より、教員全員を対象に、大学の進路指導についての勉強会を繰り返し実施しており、生徒の希望、状況に合わせてきめ細かな対応ができるよう、データをもとにベストの選択肢を探す。今後どのように、より生徒のモチベーションを高めていくか、また国公立へ希望を向けさせるかも合わせて模索し、いっそう目標へと近づけていく意気込みだ。

 

 
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