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中学・高校受験:学びネット

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一宮女子高等学校

 
  大学合格者数、2年で3倍以上 可能性に気づかせ、大きく伸ばす 普通科と専門3学科
 
どう生きていけば幸せになれるのか――この問いかけから始まる教育の実践で、大学合格者数を急激に伸ばしたのが一宮女子高校だ。学校運営においては「例年通り」という言葉は一切登場しない。常に改善点を見つけようとする教員と、“なりたい自分”に向かって日々励む生徒とが一体化して見える学校だ。2007年、普通科では、特待生制度を導入、商業科でも新たな試みが始まる。

校 長: 内田 憙男
住 所: 〒491-0938 愛知県一宮市新光町6-1
電 話: 0586-45-2102
交 通: JR「尾張一宮」・名鉄「名鉄一宮」、徒歩15分、専用バス5分
学生数: 737名 (2006.9.1現在)
ホームページ: http://www.ichinomiya.ac.jp

 

幸福に生きるための根本原理に気づかせる

なぜ勉強しなければならないかを考えあぐね、将来の進路に無関心といわれる最近の高校生も、「こんな風に生きたい」という漠然とした理想は持っているものだ。一宮女子高等学校での学校生活は「あなたは、どんな人になりたいですか」という問いかけから始まる。この問いかけに、生徒は“なりたい自分”を発見し、それを実現する可能性を意識し始める。たとえ壮大な夢や目標であっても、それに必要な資質を今後身につければ、“なりたい自分”になることは可能だ、ということに気づかせる。それが同校のモットーとする教育哲学だ。

“やりたいこと”は、常に“やらなければいけないこと”の向こう側にある。このことに気づいた生徒は日常の学習に意味を見出し、社会のルールやマナーの重要性を理解し、周囲に対する感謝や思いやりの気持ちを育てていく。教員は生徒一人ひとりに寄り添い、夢の実現までに越えるべきハードルを、適切なアドバイスと励ましによって、乗り越えさせていく。いくつかのハードルを越えた生徒は「どう生きていけば幸せになれるのか」の答えを、すでに自分の中に見つけ、自信を得ることで、ますます学習意欲が高めていくのである。

元来、進学実績や偏差値を上げることが教育の主目的でないことは言うまでもない。生きることの意味を考えさせ、幸福だと感じる生き方を実践させる教育を行うことこそが学校の本質であると考える。普通科の生徒の95%が進学し、2006年の四年制大学合格者が一昨年に比べ、3倍以上に増えた。国公立大にも生徒を送り出し、偏差値をここ数年で20ポイント以上も上げてきた。精一杯であることの気持ちよさを知った生徒が、精進した結果である。

普通科への特待生制度導入と情報会計科で、どこまでも『伸ばす主義』宣言

さまざまな好成績や記録を残す学校とは、生徒に負けず劣らず、教員も元気なものだ。同校の教員も、オリジナルテキストの作成から研修会、さらには公開授業による相互評価制で、わかりやすい授業の提供に努めている。オリジナルテキストは授業時間ごとの学習のポイントがまとめられ、自宅学習しやすいよう工夫されたものだが、毎年、改善点を話し合い、改訂が加えられる。教科担当者間でこうした機動性が発揮されることから、校内ネットワーク態勢の緊密さが見て取れる。

授業はわかりやすくて当たり前。その上、“面白くなければ授業じゃない”が同校のキャッチフレーズでもある。そのため、教員は心に迫る感動や発見、エピソードを授業に盛り込むよう、常に心がける。感動とともに覚える記憶は、脳のメカニズム上、強く記憶にとどまり、より効果的な学習成果をもたらすからだ。実力に差が出やすい英語と数学などで習熟度別授業を実施し、完全理解に徹しているのも“面白い授業”の一環だ。

2007年度に向けた新たな取り組みとしては、普通科に学業成績面での特待生制度を導入する。成績優秀者は、規程により、入学金及び授業料の全額免除または、半額免除を受けられるというもの。広報課長を務める野田紘秀教諭は「現段階で各10名程度を考えている。本校と公立校との併願受験を考えている受験生にも制度を知ってもらい、利用してもらえれば」と話す。

もう一点、これまで「商業科」としてきた専門学科は「情報会計科」へ名称変更を行う。各種検定試験で上位級を取得した生徒の大学への推薦入学を推進するための一歩であり、「簿記や情報処理検定などで1級を取得している生徒を推薦入学の対象としている国公立大学もあり、本校からは十分に進学のチャンスがある」と野田教諭。昨年度、商業科では▽簿記検定1級取得者4名、2級取得者2名▽ワープロ検定1級取得者14名、2級取得者28名▽情報処理検定1級取得者28名、2級取得者44名▽そのほか文書デザイン検定、秘書技能検定、ホームページ作成検定、データベース検定で1〜2級取得者は合わせて80名以上に上っている。

こうした資格の有利性は、就職希望生徒1名に対し、5社以上という求人状況(昨年度)にも表れている。近年、専門学科からの進学率も伸びており、商業科で62%、家政科75%、食物調理科も62%に達し、この状況を受け、他の専門学科でも、大学進学を視野に入れ、教育内容の見直しを進める考えである。

そもそも3学科もの専門学科を設置していること自体、全国的にも珍しいが、同校では女子に特化したカリキュラムが組まれているため、より効率的に専門分野を学ぶことが可能だ。野田教諭は「食物調理でも、女子に人気の高い製菓やベーカリーといった実習を集中して行えるのはメリット。共学なら選択授業にして、男子向けに別立ての実習も取り入れざるを得ず、コスト高となり、保護者に負担がかかってしまう。女子に特化した教育は授業料や施設費を抑制する」と女子校のメリットを説明する。

教員の人間味を生徒に伝える対話

校内では、どの生徒も屈託なく挨拶を投げかけてくる。しかも笑顔で、とにかく元気が良いという印象が先にたつ。行事や部活動では大いに盛り上がると聞けば、納得がいく。「中学時代、成績が芳しくなく、特に打ち込む部活動も持たなかった生徒が、入学後、何事にも積極的に取り組むようになり、大学へ進学して行く例は少なくない。そんな生徒の成長ぶりを知った中学校担任は、驚きを隠せない様子」と、野田教諭は入学後の人間的成長が進学意欲に直結していることを強調する。

では、それほどまでに生徒をたくましく成長させる土壌とは何か。一言で言うなら“教員力”にほかならない。同校の教員は、とにかく生徒との対話を大事にする。それは言葉によるもののみならず、教員自身が人生に向き合い、日々喜んだり、時として苦しんだりしながら、成長しようとする姿をありのままに見せることでもある。数学や英語といった教科指導を通して、教員の人間味が生徒に伝わる環境こそが、生徒との対話の機会を増やし、「どう生きるか」の命題を共有する土壌となりえるのだろう。

この夏、ソフトボール部が2年連続インターハイ出場を決めた。弓道部は惜しくもインターハイには手が届かなかったものの、東海大会準優勝といった好成績を残した。ユニークな部活としては「補習部」があり、難関大学への合格を目指し、毎日、勉強に励んでいる。通常、部活の顧問は1〜2名だが、「補習部」を担当する教員は12名と、教員の方もヤル気満々。運動部と「補習部」を掛け持ちする生徒もいる。まさに“やりたいことは、やらなければならないことの向こう側にある”を、生徒と教員が共有し、ともに歩んでいる学校なのである。

同校のホームページを、ぜひご覧いただきたい。そこには生徒と教員との日常がありのままに綴られ、訪問者の目を惹きつける。愛知県の高校で最も更新頻度が高い理由は“毎日がニュースな学校”だからである。

 
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