新生「ラトナディアコース」に
志願者多数。受験倍率約60倍
今年度で高校30周年、中学25周年を迎えた大成は、地域に根ざし、貢献する学校として地元の信頼も厚い。
大成では教育理念に合わせた4つのコースを展開している。中高一貫で難関大学突破の実績を積み重ねる「ステューディアコース」。高校では今年度よりステューディアコースの5年次編入コースとして生まれ変わった「ラトナディアコース」。部活も勉強も高みを目指す「プラウディアコース」。そして2014年にスタートし、1年間の長期留学の後、難関大学を目指す「英語留学コース」だ。
注目はステューディアコースの編入コースとしてリニューアルしたラトナディアコース。一般入試の志願者数は定員20名に対して1,191名と実に約60倍。入学を勝ち取った生徒は、その勉強量の多さに圧倒されながらも、コンスタントに学びを習得しているという。また、朝礼や学内外イベントなどもステューディアコースのメンバーとともに参加、編入後の学校生活がスムーズに行くよう、調整中だ。
今年度の現状を足立 誠理事長・学校長は「公立が優位な愛知で、わざわざ私学を選ぶのはやはり保護者の方に大きな期待があるからです。ステューディアコースに編入したいというラトナディアコースの生徒の中には、オール5の子が二人もいました。上位層の子が敢えて受験してくれることについて、その期待に答えなければと思います」と熱く語る。また、田村宏昭高校第二教頭はステューディア・編入コースの生徒の様子を「入学当初はみんなついていくのに精一杯だった。今でも7〜8時間授業が普通。そんな中で、将棋同好会やクイズ研究会などの楽しみを見つけて、それぞれ気持ちを切り替えながら勉強を頑張ってきました。今は随分落ち着いています」と語る。
「ステューディアコース」入試変革
一芸に秀でた子どもを募集
一方で、ステューディアコースは、学力向上はもとより「躾」面にも力を注ぎ、人間教育と進学実績のバランスの良さから人気が高い。選抜は4科型と2科型の学力重視型で行われていたが、来年度からは伸びしろのある子どもたちを発掘していく「かがやき型」を加えることになった。
2020年の大学入試変革では、知識をどう使うか、中学・高校時代に何に取り組んできたかが評価対象となる。そこで小学校時代に何に取り組み、どんな成果を出しているかを表現力と合わせて評価するのがこの選抜方法だ。
「例えば、ピアノでコンクールに出た。英検3級を持っている。書道の有段者である。児童会会長になり、こんなことに取り組んだ、など。いわゆる何か一芸を持っており、それに取り組んだことで、何を得て、将来どうつなげていきたいかを3分でスピーチしていただきます。もちろん学力試験もあり、小学校レベルの基礎学力がきちんとついているかは見ていきます」(杉浦和彦中学第二教頭・渉外部長)。
地元の子どもたちの才能の掘り起こしであると同時に、積極的に自己表現やアピールができる生徒をカンフル剤に、クラスや学年をより活性化させ、相乗効果を生んでいきたいという意向だ。
今年で3学年揃った英語留学コースは、いよいよ来年度の大学入試に向けての取り組みが始まっている。難関大学合格への期待も、現時点でかなり高い。この英語留学コースもゆくゆくはステューディアコースに組み込み、大成の強靭な柱を作る予定だ。
野球もサッカーも準強化部へ
「プラウディアコース」の文武両道
「プラウディアコースにおいては、ステューディアコースとともに、強い柱として成長させたいですね。入る間口も出る間口も広げ、子どもたちの成長と夢の実現に貢献していきたい」と力強く話す足立理事長・学校長だが、何よりも嬉しいニュースがある。今年のリオデジャネイロオリンピック女子柔道48キロ級に出場し、銅メダルを獲得した近藤亜美選手はプラウディアコース出身なのだ。本校にはときどきOBとして顔を出し、後輩たちの目標となっている。近藤選手もまた、後輩たちが頑張っている姿が励みになり、自分の力を後輩に役立てたいと言う。 |
このように柔道では全国的に名を馳せる大成だが、平成の三四郎と言われる古賀稔彦氏のご子息である古賀兄弟もまた同校出身。弟である高3の玄暉君は日々、同校の道場で稽古に励んでいる。身近に全国区で活躍する先輩がいると、後輩たちの刺激になり、士気があがると神谷兼正中学第一教頭は言う。もちろんプラウディアコースの方針である文武両道として、勉強も手を抜かないという教えは徹底してきた。
今後はさらにサッカー部、野球部にも力を入れる。サッカーでは人工芝を整備。近々照明も充実させる予定だ。このグラウンドでJリーグの元監督によるサッカー講座をボランティアで開催し、地域の子どもたちに喜ばれており、運動も勉強もしっかり指導するという校風は、地域の保護者からの熱い視線を受けている。
野球部は、かつて尾張の強豪として名を馳せていた。現在でも、入試の志望動機の中に「大成で野球をやりたい」と言う生徒が毎年現れるという。伝統復活を目指し、今年からは準強化部に指定した。
常に時代の先を見つめながら改革を進めてきた大成中学校・高等学校。その根源には「何事においても最高峰を目指し、勝利を勝ち取る」という校章に由来する教育目的が横たわっている。
先生同士の連携も大事にしているため、問題点もすぐに共有、スピーディーに解決に当たることが可能だ。より良くなるための変化を辞さない大成の姿勢は、さらに多くの実りをもたらすだろう。
|