マナビネットオープンスクール2021 ●掲載:塾ジャーナル2021年7月号/取材:塾ジャーナル編集部

CHALLENGE(挑戦)、CHANGE(変化)
CONTRIBUTION(社会貢献)
私学の新たな価値が、生徒の未来を創る

青稜中学校・高等学校

中高とも学年にとらわれず、生徒一人ひとりの人間性の成長を目的にフィールドに飛び出して様々な体験をする自然体験セミナーを実施。


青稜中学校・高等学校はどこへ向かおうとしているのか? 「究極の『普通の学校』になってきていると思います」と語るのは、募集広報部部長の伊東充先生だ。「学校が挑戦して動いている限り『前に進んでいる』実感はあります」。ライブ配信限定のオンライン説明会には毎回平均600名の視聴者を集める「普通の学校」が、学年や教科ひいては世界を超える大胆な取り組みで存在感を際立たせている。寄り添い、刺激を与え合い、新たな私学教育を切り拓く教員と生徒の「今」を追う。


青稜史上、最も挑戦的で
進化が止まらないフェーズに

「まず教員自身が挑戦し、楽しがるところを、子どもたちに見せないと。この一年で気づいたのは、挑戦する『最初の一歩』は1ミリでも良いこと、一歩を踏み出すと世界が変わることです」

募集広報部部長の伊東充先生の目が輝く。青稜中学校の中学2・3年生は、毎週月曜日6・7時間目になると自ら所属する「ゼミ」に喜び勇んで向かう。教科や学年の枠を取り払った「ゼミナール」は、SDGs活動や探究、文学や音楽史や気象の研究、美術やスポーツにプログラミングと、各教員が好きなテーマで展開する。生徒も学年の上下なく、発想の豊かさやプレゼンテーションの上手さなど、メンバーの特性に一目置きつつ協働するという。14講座それぞれの成果はめざましく、近隣のパン屋では、パンのデザイン・単価計算・利益換算などを研究した生徒考案の新商品が大好評。昨年、校長に就任した青田泰明先生が担当する「2030~未来への挑戦~」では、SDGsに取り組む企業を招き、ワークショップを通して様々なコラボレーションを行った。ミネラルウォーター自販機を介したペットボトルの完全回収の実現や、青稜生が企業に持ち込んだエコ活動もある。アイス自販機から出るプラスチック串を回収して箸へとリサイクル。完成した箸は高3生の卒業記念品に。昨年度、学内アイス自販機の売上は全国2位、それも立派な社会貢献と伊東先生。

「世の中はいろんな形で回っている。世の中の最前線で戦う企業の活躍を知り、いまの社会の現状に根づくSDGs活動を模索しています。自販機を一つ置く、そんな小さな一歩から『置いたらどうする?』と考えて動き出すと世界を見る目、風景が変わる。いまの子どもは道徳的かつシビアでリアリスト。壮大な環境保護に向き合うより心の琴線に触れやすいと思います」

また、中1では週1回1時限を「読書の時間」に充て、ビブリオバトルを初開催。「めちゃくちゃ盛り上がっています!」と伊東先生も興奮気味だ。
「生徒たちのプレゼンが積極的で切り口が巧み。教員もすごく惹き込まれて、良い影響を受けているみたいです」

オンライン帰国生入試が成功
学校に向き合う姿勢を大切に

ほんの「1ミリの挑戦」から驚異的な進化を遂げたのは「オンライン帰国生入試」と「タブレット入試」も同様だ。緊急事態宣言下の休校中に大活躍したGoogle Formsのアンケート機能を発展させ、昨年6月にオンライン・チェックテストを実施した。答案の受信と同時に採点が完了し、成績分布図まで出来上がることに「教員たちが面白がって(笑)システムがどんどんブラッシュアップされ、8月にはオンライン入試の体制態勢がほぼ整いました」と伊東先生。11月のオンライン帰国生入試には、海外在住の中学受験生73名、高校受験生68名が参加。帰国生親子のニーズと熱量の高さに驚いた伊東先生は、PC画面に映る風景にも「進化」を感じたという。

「日本では長袖なのにシンガポールの受験生はTシャツで、窓の外にヤシの木が見える。日本は深夜12時なのにアメリカは窓の外が明るい。『受験界が変わった』と実感しました」

2月の中学入試では1・2日(4回入試)に加え、「より安心して受験いただくために」3日に「タブレット入試」(学内実施)を実施。65名が受験し、1・2日併せて1753名の受験者を集めた。4科・2科選択のうち、2科入試は11〜14倍(2日午前は64倍)の狭き門。大手塾分析による合格偏差値ラインも4〜5ポイント上昇した。

「過去問をしっかり解き込んで、青稜対策を万全にしてきた受験生が手堅く合格した印象です。出会いたいのは『ちゃんと学校の方を向いてくれる子』。いまや勉強・部活・行事・ゼミなど、すべてに前向きに取り組む生徒が大半で、そうして難関大学へ進学する先輩たちが多いです」
今年度の出題傾向は、出題の仕方は変わらないが少し捻った問題が1、2題増えるかもしれない、とのこと。


(左)「面白くなければ学校じゃない(青田泰明校長)」。Interest (興味)の面白さを、教員と生徒が共に追究する14講座のゼミナールを開講
(右)「スポーツフェス」は現中3が自主的に企画運営した。「どんな小さくても、生徒たち自らが考えて動き、楽しめたのなら大成功」

「君たちはスゴイ!」
生徒肯定感が学校の成長を促す

この一年を経て、教員にも嬉しい変化が起きた、と伊東先生。
「『子どもたちの発想力がスゴイ!』『あのクラス、面白いよ!』という発言が自然に口をついて、生徒への肯定感がものすごく高まりました。結果を出そうと追われていた時代にはなかったこと。ゼミや読書の時間は、目標や評価をあえて設けず、子どもの成長や好奇心向上に少しでもつながれば、と始めましたが、とんでもなく良い方向へ波及しています!」

自分たちで考え企画して、動いて形にする面白さを知った生徒たちも、新たな行事を創出した。現中3生による「スポーツフェス」、現高3生による「(文化祭なしの)後夜祭」は、生徒の自発的な提案から昨年実現した。

「ここ数年、新校長も『自分たちで考えて動けばいい』とボールを生徒に投げていたんです。スルーして避けていたのが、昨年はキャッチして投げ返してきてくれた。それがどんな剛速球でも、キャッチしてくれる大人がいるので、教員たちは良い様に使われています(笑)」

コロナ禍で学校行事が尽く中止になり、大人は『生徒たちがかわいそう』という固定観念で括りがちだ。
「子どもたちはどんな状況下でも、ちゃんと伸びていく。大人の教育論なんて軽く凌駕するキャパシティとか発想力を持っている。トライ&エラーが存分にできる土壌を、臆せず未来を切り拓ける力を、育てるのが学校だと再認識しました」

「打てば響く」環境が、生徒と教員の双方向で生まれている青稜。新しい時代のコール&レスポンスを教育界に響かせてくれそうだ。

青稜中学校・高等学校  https://www.seiryo-js.ed.jp/