マナビネットオープンスクール2021 ●掲載:塾ジャーナル2021年11月号/取材:塾ジャーナル編集部

英仏二ヵ国語と宗教教育で高い教養を
新大学入試で問われる思考力・表現力を育成

暁星中学・高等学校

高1時には希望者を対象にフィリピン(英語)、フランス(仏語)への語学海外研修も行われる


暁星中学校は、今年で創立133年目を迎えた伝統校。1888(明治21)年、フランスの修道会、マリア会によってつくられたカトリックの男子校である。深い教養と高い倫理観を身につけた社会のリーダーとなる人材を多数輩出してきた。暁星が創立以来重視するのが、「英仏二ヵ国語教育」と「宗教教育」である。二つの伝統を軸に、教養に裏打ちされた広い視野を持つ真に「グローバル」な人間の育成を目指す。


二つの伝統~
フランス語教育と宗教教育

フランス語は、第一外国語としても第二外国語としても学ぶことができるが、ほとんどの生徒は第二外国語として週2時間(1年生は週3時間)履修する。中学3年間は必修で、高校では選択科目である。3年間で初級フランス語をマスターすることが目標である。言葉を学ぶことは、その言葉を使って生きる人々の価値観や思考のプロセスを学ぶことでもあるので、異文化を理解し、視野を大きく広げる土台をつくることができる。

宗教の授業は週1時間、全員が卒業まで必修科目として履修する。キリスト教の考え方を学ぶために、「祈りとは」「感謝する心」など、学年ごとにテーマを設定し、皆で考えていく。生命倫理や対人関係など、現代社会が抱える問題について考える機会を設け、「リアクションペーパー」によって意見の共有も図っている。聖書を読み、その言葉に触れることで、「人はどのように生きるべきか」という根源的なテーマと向き合う時間は、人生においてかけがえのないものである。

暁星が強調するのは、「教養の大切さ」である。フランス語や宗教の学びによって得られる複眼的な思考力や人間に対する洞察力は、この時期しか身につけられない価値ある財産である。


一学年4クラスの小規模な学校ということをメリットにしたきめ細かな指導を、学習の面でも、人間教育の面でも行っております。医学部、歯学部に多くの生徒が進学を希望していることもあり、倫理面の教育は特に大切であると考えています

「書く力」の重視と
大学入試改革への対応 中学入試改革も

暁星の授業で重視されているのは「思考力・表現力の育成」である。国語では口頭や作文による意見の発表、討議などを通じて思考の過程をいかに他者に伝え共有するか、ということを重視している。英語でもネイティブ教員の指導のもと、エッセイライティング(高校生は必修)やプレゼンテーションに取り組ませ、文法の暗記に傾斜せず、自己表現のツールとして英語を身につけさせることに力を入れている。

中学生においては同一進度・同一試験によるグレード別授業を導入し、英語教育のさらなる充実を図っている。昨年度からは「スタディサプリイングリッシュ」「ELST」などの英語学習アプリも導入され、家庭での学習を補強している。

知識だけでなく関心・意欲・目的意識も評価の対象となる大学入試への対策も万全で、これまでの思考力・表現力を重視する教育に加え、生徒が自身の学習の記録や部活動での記録を蓄え、必要な時に取り出せるよう「スタディサプリ」や「Teams」を取り入れている。長期休暇や放課後の講習も充実しており、少人数教育の強みを生かし、個々の生徒の志望に合った、きめ細かい指導を展開している。

数年前から、それまで2月3日に実施していた中学入試の日程を2日に変更し、3日午後に第2回入試を行っている。新設された第2回入試では国算2科目の試験が行われ、出題方針の大きな変更はないが、国語では作文を課さないことになった(第1回入試では作文を出題)。また帰国生入試(国語・算数・外国語+面接)も12月6日に実施する。募集定員は第1回約65名、第2回約10名、帰国生は若干名である。


暁星学園に学ぶ生徒たちが、神の声を聞き、真理の光に導かれて、様々な価値観の相違を超えて、他者への思い遣りと寛容の内に自己実現の道を力強く歩み、それぞれの分野における次世代のリーダーとなることを願いつつ、日々教育を行っています。
(左)飯田 雅章 校長

盛んな部活動も生徒主体

暁星といえばサッカー部と競技かるた部の活躍が知られている。競技かるた部は今年度、全国大会で優勝した。最近では水泳部の活躍も目覚ましく、今年度は高2の生徒がインターハイ50m自由形で優勝するなど、大健闘した。その他、運動部はもちろんのこと、将棋部やチェス部、数学研究部、演劇部、3つの音楽系クラブ、4つの理科系クラブなど多数の文化部も人気と実績を誇っている。

これらの実績は生徒一人ひとりの努力のたまものである。生徒たちは部活と学業の両立を目指し、どちらも手を抜くことがない。限られた時間、施設をやりくりし、短時間で成果をあげる練習方法を模索しつづけている。教員はその試行錯誤にアドバイスを与え、見守る立場。主体はあくまで生徒である。


競技かるた部は「全国高等学校小倉百人一首かるた選手権大会」団体戦・個人戦とも全国優勝を果たす強豪校

文化祭や運動会、各種行事の立案、運営も生徒主体で行われる。一つの行事を成功させるには細々としたことをたくさん処理していかなければならない。生徒たちはそれらの体験を、勉強や卒業後の様々な試練の克服に生かしていく。「生きる力」「人間力」の基礎を部活動・委員会活動で培っていくのだ。

多彩な特別活動と家庭的雰囲気

もちろん学校が用意する特別活動も多彩。中3の研修旅行(広島、関西)、高2の修学旅行(北海道)という大きな行事のみならず、卒業生による講話(暁星版「ようこそ先輩」など)や宗教講話、弁護士によるいじめ防止授業、校外学習での教会巡りや文学散歩など、通常授業以外にも学びの視野を広げる機会を多く設けている。また高1時には希望者を対象にフィリピン(英語)、フランス(仏語)へのホームステイが行われる(行事はいずれも今年度はコロナの影響で中止または変更あり)。


(左)情報教室では、生徒が1人1台タブレットを利用できる。オンライン英会話や幾何の授業で利用されている
(右)2020年に竣工したマリア館には情報教室や食堂が入っている。各階に自習スペースがあり、放課後利用する生徒が多い

暁星の一番の魅力は、何といってもその「家庭的雰囲気」だろう。1学年180名弱という人数の少なさで、生徒同士、生徒と教員の距離が近く、絆も深い。学校に顔を出す卒業生の姿もよく見られ、暁星で築いた人間関係は、一生の財産となる。

暁星中学校の受験を考えている保護者が最も気になっているのが、「小学校からの生徒とうまくやっていけるか」ということであろう。入学後にはオリエンテーションが行われ、夏休みには菅平合宿があって、それらの活動や日々の授業、部活を通じて生徒同士は自然と打ち解け合う。万が一トラブルがあっても、担任・学年の教員だけでなく学校カウンセラーが関わって解決を図るなど、支援体制は手厚い。そしてひとたび「暁星の仲間」となれば、利害関係にとらわれない、生涯の友を見つけることができるだろう。


暁星中学・高等学校 https://www.gyosei-h.ed.jp/