マナビネットオープンスクール2021 ●掲載:塾ジャーナル2021年7月号/取材:塾ジャーナル編集部

「未来の学校」へ! 新校舎が着々と完成
千葉商科大学との「攻めの高大連携」

千葉商科大学付属高等学校

「企業の困りごとを解決する」をテーマに、お弁当開発に取り組んだ商業科の生徒の皆さん


新校舎建設の一期工事が終了し、いよいよ2021年9月から新校舎での学びが始まる千葉商科大学付属高等学校。
来年度から普通科を「特進選抜クラス」と「総合進学クラス」に改編。基準を満たした生徒は、2年次に特進選抜へと移行できるようにする。逆に「特進選抜クラス」から「総合進学クラス」にも移行可能とする。
また「実学」をキーワードに、高大連携もさらに進化。共通の教育ビジョンを策定し、同じベクトルを向いての高大一貫教育がさらに加速する。校長に就任して3年目、変化の歩みを止めない浅川潤一校長にインタビューした。


普通科を2クラスに改編
意欲ある生徒は2年次特進選抜に

2022年度からは3クラスに分けていた普通科を「特進選抜クラス」と「総合進学クラス」の2クラスに改編する千葉商科大学付属高等学校。これまで普通科は「特別進学クラス」「選抜進学クラス」「進学クラス」の3クラスで、基準をクリアすれば2年次に「進学クラス」から「選抜進学クラス」に移行することができたが、特別進学クラスは固定したままだった。それを2クラス制にすることで、特進選抜へと移行できるようにした。

「高校生の学力はいつ伸びるかわかりません。高校に入ってから勉強が面白くなってくるとグングン伸びてきます。意欲のある生徒がさらに上を目指せる場所をつくることが、コース改編の一番の目的です」と浅川潤一校長。来年度からは「特進選抜クラス」と「総合進学」のカリキュラムを揃えることで、よりチャレンジしやすくする。

また土曜授業は「土曜講座」に変更。1年生は勉強習慣を身につけるために全員参加する予定だが、2、3年生は入試対策や小論文、キャリア教育などの講座を受講する。

今年の春の卒業生は国公立大学に6名合格と大躍進。「近年の中では非常に良い結果となりました。これは生徒をはじめ、教科・担任の先生たちも頑張った成果だと思います」と浅川校長は話す。

魅力あふれる新校舎
生徒も校舎建設に携わる

1期工事が終了し、9月からは待望の新校舎に移る生徒たち。すべて校舎が完成するのは、2023年で5月には竣工予定だ。

新校舎建設という貴重な機会を学びにも生かそうと、同校では「新校舎建築スクールプロジェクト」を実施。希望する生徒に建築現場を見学などができる講座を開いている。

さらに新校舎内に設置する、学校の沿革を紹介するコーナーは、生徒たちがデザインを担当。生徒たちも一緒に校舎建設に携わっている。

新校舎ではICT環境も完備。全館FREE.wi-fiで、教室には黒板ではなくホワイトボードと100インチのモニターを設置。生徒が所持するiPadとつないで、双方向の授業も展開できるようになっている。

図書館は廊下との壁をなくし、気軽に入りやすい開かれた空間デザインにするなど「未来の学校」づくりが着々と進んでいる。

「新校舎の魅力はまだまだいっぱいあります。新校舎に移る日を、生徒も教員もワクワクしながら待っています」と浅川校長は嬉しそうに話している。

高大連携で実学を学ぶ
「金融リテラシー教育」

「攻めの高大連携」を実現すべく、千葉商科大学との高大連携はさらに加速している。
昨年、高校と大学の双方が目指すビジョンを明確にするため、学校法人千葉学園の教育ビジョンを策定。その内容は以下の通りだ。

■社会と連携した実学教育を基本とし、幅広い視野を持って社会の発展に貢献できる人材の育成を図る。
■グローバルな視点を持って、様々な課題に取り組むことのできる、人材の育成を図る。
■高い倫理観を持って、課題解決に主体的に取り組める人材の育成を図る。
■地域の発展に資する人材の育成を図る。
■豊かな人間性と教養を備えた人材の育成を図る。

この5つのビジョンでキーワードとなるのは「実学」。なかでも「金融リテラシー教育」を大学の力を借りて進めていこうと考えている。

「金融といっても、いわゆるお金儲けの話ではなく、どのようにして経済は回っているのかという、リテラシーの基礎部分を高校で学んでほしいと思っています。最終的には、千葉商科大学に進学し、会計士あるいは税理士育成のプログラムにつなげていくことも視野に入れています」と浅川校長。

千葉商科大学商経学部3年の時に、公認会計士の試験に合格した山口晴天さんは同校の普通科出身。高校2年の時に簿記の授業を選択し、簿記に興味を持ち、高校時代に日商簿記3級を取得。大学1年で日商簿記2級、2年で日商簿記1級に合格。その後も勉強を続け、公認会計士の資格を取得した。

「山口君は、まさにこれから本校がやろうとしていることを、先駆けて実践してくれました。高校の時、普通科に在籍しながら授業で簿記を学んだことが彼の転機になったのだと思います。本校の強みは地歴公民と並んで、簿記が選択できることです。現在はオールCUCでのグローバル連携と資格取得(簿記、ITパスポート)をはじめ、総合探究の時間で高大連携をし、千葉商科大学の先生と共同でSDGsに取り組んでいます。高大一貫教育の高校での学びが、大学進学後の大きなアドバンテージになります」と浅川校長は話している。


(左)新校舎のコンセプトは「未来・地域・生徒同士が『つながる』校舎」。ルーフテラスや階段ラウンジなど、生徒同士が交流できる空間が数多く用意されている
(右)高大連携プロジェクトとして、SDGsに関する授業を大学・高校教員合同で実施

球場で販売するお弁当を 市川道の駅で和菓子を
企業と共同開発

「国際教育においては語学の修得に留まらず、世界的な視点を持つことが一番大事」とも話す浅川校長。大学と連携し、異なる価値観や文化を持つ人々と、協働して課題を解決していく力を身につけさせたいと考えている。

地域の発展に資する人材の育成の一環として、地域企業とのコラボも進めている。商業科では2020年度「企業の困りごとを解決する」というテーマで、弁当店を運営する株式会社ほそや様と共同で商品開発に取り組んだ。

開発したのは、ZOZOマリンスタジアムで販売するお弁当2種類。市場調査を行い、人気商品をおかずに盛り込んだりと工夫を重ねた。また、和菓子「八矢庵」様と共同開発したRice Cake Barを市川道の駅で販売している。

「企業の方々も高校生を育てようという視点で、学びの場をつくっていただき、本当にありがたいと思っています。挨拶や言葉遣いもきちんとできるようになり、人間的にも成長させてもらっています。進学実績だけでなく、人間力も育てていきたいです」と浅川校長は話している。

千葉商科大学付属高等学校  https://www.hs.cuc.ac.jp/