マナビネットオープンスクール2022 ●掲載:塾ジャーナル2022年7月号/取材:塾ジャーナル編集部

新校長が語る、学校の未来
大きく羽ばたけ!「二松から飛翔へ」

二松学舎大学附属高等学校(東京都)

漢学塾「二松学舎」の流れを受け継ぎ、論語を通した「心を育てる」教育で、自分で考え、判断し、行動する力を育んでいる二松学舎大学附属高等学校。勉強だけでなく、特別活動も頑張る「学習・部活動・行事」の三兎を追う生徒を応援している。
2022年春、校長に就任した鵜飼敦之先生は「生徒には、本校でたくましさとしなやかさを兼ね備え、高い目標に向かって挑戦し続ける姿勢を身につけてほしい」と語る。新校長が思い描く学校づくりについて、インタビューした。


新校長が生徒に伝えた
3つの大切なこと

今年の4月から、二松学舎大学附属高等学校の校長に就任した鵜飼敦之先生。長く都立高校の教壇に立ち、東京都教育委員会時代には学校支援や教員研修を担当。この春から九段下の同校に着任した。

日本史の教員だった鵜飼校長。二松学舎大学の前身・漢学塾「二松学舎」が創設された1877年(明治10年)頃は、西洋から様々なものが日本に入ってきた時代だったと振り返る。

「そんな時代に、二松学舎は東洋の精神に根ざした教育を目指して創設されました。私は日本史の教員として、グローバル化する社会において、活躍するためには、まず自国の文化や歴史を理解することが大切だと考えてきましたので、建学の精神に共感しました」

鵜飼校長が生徒に最初に伝えたのは、「授業を大切にしよう」・「特別活動に積極的に取組み、仲間と切磋琢磨し、自分を磨こう」・「凡事徹底」の3つだ。

1つ目の「授業を大切に」では、鵜飼校長は5月中旬までにすべての教員の授業を見学した。どの教員も授業前に教室に入り、授業準備をしながら、生徒とコミュニケーションをとっていることがわかった。また、生徒も教員の話に耳を傾けて熱心に授業を受けている。「『授業ファースト』が実践されていると感じました」と話す。

同校は「特進コース」・「進学コース」・「理系コース(2年次に特進および進学コースから選抜)」・「体育コース(野球部)」があるが、特進コースでも授業は6限まで。勉強と部活動の両立ができるようにしている。2つ目の「特別活動に積極的に取組む」が実現できる環境がある。

二松学舎は野球部の活躍が有名だが、ダンス部も人気が高い。高校生の全日本大会の常連で、ダンス部に憧れて入学する生徒もいるほど。部活動は全部で34あり、生徒は充実した高校生活を送っている。

3つ目の「凡事徹底」は、当たり前のことを当たり前にやること。「『時を守り、場を清め、礼を尽くす』。つまり、時間を守り、掃除や整理整頓をし学習環境を整え、挨拶をする。の3つです」と鵜飼校長。

着任当日、鵜飼校長は生徒から「新しく来られた校長先生ですよね」と話しかけられた。「フレンドリーで、気さくな生徒たちという印象を受けました。本校の生徒は挨拶がきちんとできていると思います」と話す。

鵜飼校長は「校長便り」の名前を「二松から飛翔へ」と名付けた。

「高校生活は3年間ですが、人生100年の時代、卒業してからの方が長い。高校時代には様々な学びや経験を通して自分を磨き、将来大きく羽ばたいてほしいと思っています」


(左)英語研究部では、スピーチコンテストへの参加や英検の勉強など、楽しみながら英語を学ぶ
(右)校内持久走大会でゴール! 生徒たちのやり切った表情が清々しい

真面目で素直な生徒
さらに上を目指してほしい

就任時、鵜飼校長が感じた二松学舎の生徒の印象は「真面目で素直」。しかし、「さらに上のレベルを目指すには、自分で課題を設定し、解決できる。そんな力を付けてほしいと考えています」と話す。

同校には、基礎学力を定着させるための「ベースアップ講習会」や校内予備校の「学び舎」、卒業生によるチューター制度など、様々な学力アップのプログラムが用意されている。

「今後はそれらを活用し、生徒たちの学力がどれだけ定着し、どのように伸びているのか検証していきたいと考えています」

ここ数年新型コロナで中止になっていた、オーストラリアへのターム留学も今年復活する予定だ。高1、2の希望者が対象で、ホームステイしながら、オーストラリアのケドロン高校に通う計画が進んでいる。

目の前が二松学舎大学という恵まれた立地の同校。高大連携としても、キャリア形成プログラム「二松学舎『学び』のコース」を実施。高校2年生の希望者を対象に、二松学舎大学の教員が特別にリレー講義を行っている。これまでに「中国学入門」・「国際社会と政治学」・「メディア学」・「日本の小説を読む」・「経済学と経営学」など、二松学舎大学で学べる様々な内容の講義が行われてきた。大学での知的な学びに触れ、大学の学部選びにつなげてほしいと考えている。


桜の名所である千鳥ヶ淵がほど近く、春になると一帯は華やかに

心を育てる「論語」教育
アットホームな雰囲気に共感

2023年度の入試では、出願基準を一部変更する。

特進コースA推薦は5科19以上だったが、20以上に変更。こちらは厳しくなったが、進学コースのC推薦(単願のA推薦の基準は満たさないが第一志望とする試験)は、5科15以上に「9科28以上」が加わり、多方面の評価をみるようにした。進学コース全体も「全科目内申に2がない」が「1がない」に変わった。

特進では、検定による加点に「2級以上は+2」がプラス。さらに中学3年間の欠席・遅刻・早退の合計は各20回以内に。昨年までB推薦(埼玉県・千葉県)と併願優遇は中学3年生時だけだったが、3年間の出席状況が基準に加わった。

学校見学会では、今年から午前中の9時半からスタートする回を設けた。

「土曜日の午前中なので、実際の授業の様子を見ていただくことができます。生徒による学校紹介の時間も設けました。参加した中学生からは『先輩が話していたあの部活が楽しそう』『こんな行事を自分も一緒にやってみたい』と、一番印象に残っているようです」

入学者が同校を選んだ理由は「校風・方針」が一番多いと鵜飼校長。「学校を見に来られて、このアットホームな雰囲気にひかれる方が多いようです」

さらに保護者の共感を呼んでいるのが、心を育てる「論語」教育だ。3年間週に1回、論語を通して、思いやりや豊かな生き方について学んでいる。「ぜひ、本校に足を運んでいただき、生徒の様子を見て、雰囲気を感じてほしいと思います」と鵜飼校長は話している。

二松学舎大学附属高等学校 https://www.nishogakusha-highschool.ac.jp


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