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2020/1 塾ジャーナルより一部抜粋

小さな塾を成功に導く秘訣は「内部充実」にあり

株式会社リアル・パートナーズ 代表取締役
株式会社個別教育フォレスト 代表取締役
安多 秀司

     

集客が大事だからこそ
集客を二の次に

 少子化が進み、市場全体のダウンサイジングが避けられない塾業界。子どもの数そのものが減る中でどのように生徒数を確保するのか、経営規模の大小を問わず、どの塾さんも必死の努力を続けておられます。そこで今回は、弊塾・個別教育フォレストを含む小さな塾(個人塾)が、たくさんの生徒さんに来てもらえるための秘訣を一緒に考えてみたいと思います。

 ただ、秘訣とは言ったものの、「こうすれば生徒さんが集まる」といった、都合のいい魔法や必殺技などはありません。確かに、広告上のテクニックやマーケティング理論などは大切でしょう。あなたの教室がどれだけ素晴らしい塾であっても、「ここに素晴らしい塾があるよ」と知ってもらわなければ、生徒さんは集まらないわけですから。

 しかし、私はそこが本質ではないと思います。逆を言えば、「素晴らしい塾」をつくらないことには始まらないからです。ところが、ここをおろそかにしたまま集客ノウハウにばかり走ってしまう塾さんも散見されます。焦る気持ちはわからないでもないですが、順番が違うのではないでしょうか。集客を重視するからこそ、集客ノウハウは二の次だというのが私の考えです。

 塾の中身を良いものにする――すなわち「内部充実」。生徒数や問い合わせ数を増やしたいのであれば、まずは「内部充実」を徹底することに限ります。私は、自ら塾を経営するのと並行してコンサル業務にも取り組ませていただいており、約30の個人塾さんのサポートを行っています。また、今まで300以上もの教室を見学してきましたが、うまくいっている塾さんの共通項は、必ずと言っていいほど「内部充実が徹底している」ことでした。「当たり前のことを言うな」とお叱りを受けそうですが、当たり前のことができていないから生徒募集に苦労するのだとも言えます。小さな塾が成功するためには、結局ここが一番大切な要素なのです。

「入塾させる」「お客を集める」
という発想の危うさ

 もちろん、一言で「内部充実」と言っても、各塾さんによって定義や考えはそれぞれだと思います。ただ、基礎基本は変わりません。

 【表1】をご覧ください。とりたてて変わったことはしていませんが、弊塾ではこうしたことを意識して塾づくりをしています。抽象論のように感じられるかもしれませんが、この考え方が根底にあるかないかが大事なのです。テクニックやノウハウは、あくまでそれを具体化したもの。「あそこの塾はうまくいっているから」と、具体だけを真似したのでは意味がありません。方法論ではなく、その方法論を生み出した原点となる思想を真似すべきなのです。「仏つくって魂入れず」ということわざがありますが、まさに言い得て妙ですね。

 なかでも私が重要だと思うのは、心から生徒さんや保護者さんのためを思っているかどうか。内部充実とは、すなわち生徒さんや保護者さんに喜んでもらうための施策なわけですから、私利私欲ではなく、ただ愚直に「どうすれば彼らを喜ばせることができるか」を追い求めること。その発想があれば、意識しなくても自動的に内部充実につながっていくはずなのです。こうした本質的な部分をやらずに、目新しさや小手先にばかり頼るから良くないのだと思います。

 そもそも「入塾〝させる〟」という自分本位の発想は、顧客に対して極めて失礼な考え方であると自覚すべきです。そういう意味では、「集客」という言葉も使い方を間違えてはならないと思います。私は、「集客」とはお客を「集める」ことではなく、お客が「集まる」という意味だと捉えるようにしています。それに、「入塾させてやろう」「お客を集めてやろう」という考えは、自分が思っている以上に顧客には見透かされているものです。あなた自身も一人の消費者となったとき、そうではありませんか? 「だまされないぞ」という警戒心が常にあるはずです。顧客は売り手側が思っているより、はるかにかしこいのです。

 そうすると、顧客の警戒や想像の上をいくテクニックやノウハウを必死で考え出そうとする人がいるのですが、何度も言うようにそれではズレているのです。そこに知恵を巡らせる時間と労力があれば、どうすれば顧客を喜ばせられるかを考えるほうがよほど早いです。何より胸を張って仕事ができますし、顧客も私たちもお互い幸せなことだと思いませんか?

 このシンプルにして王道な発想こそ、小さな塾が生き残る唯一の方法だと私は信じています。

退塾数に着目

 では、自塾が内部充実できているかどうか、どうやって判断すれば良いのでしょうか。その大きな目安が「退会を出さない(退塾数が少ない)」ことです。内部充実が徹底できていれば(その塾に満足していれば)基本的に退会は出ないはずですから、退塾数は自塾の内部充実度を測る良い物差しになるのです。

 具体的な数字で考えてみましょう。年間退塾数は、「非受験生(高3・中3以外の生徒)の年間平均生徒数×0.1」くらいがボーダーラインです。例えば非受験生が50名なら、「50名×0.1=5名」となり、年間退塾数が5名を超えた場合、内部充実に問題があると言えます。一度みなさんの教室でも算出してみてください。

 残念なことに「生徒が集まらない」「チラシの反応がない」という塾さんに限って、退塾数が非常に多い傾向があります。入れることばかりに力を注ぎ、出て行く(=退塾)ことに対しての意識が非常に低いです。「入塾2名、退塾0名」は、数字の上では同じプラス2名ですが、実質は全く違いますよ。おそらく退塾した5名の保護者さんは、「あの塾はオススメしない」とママ友に話すでしょう。すると、地域の評判がどんどん下がっていき、今度は入塾が鈍り出します。

 こうなるともう負のスパイラル。取り戻すのは容易ではありません。一方で退塾が0名だと、良い評判がジワリと広がり、紹介の問い合わせ増につながります。目の前の生徒数だけを見るのではなく、退塾数に注目しなければならないのです。

地域による傾向の違い

 内部充実を目指す上で、地域によってニーズやトレンドが時間差で訪れることにも意識しておくのがポイントです。やはり最先端は東京でしょう。東京から発信されるトレンドは、2~3年後には関西・東海の主要部、4~5年後には日本全国に広がっていくイメージです。最近はそのスピードも激しくなり、各1年くらいずつ早まっている印象です。

 ですから、東京発信のコンテンツやプログラムにアンテナを張って情報収集に努め、「これは!」と思ったものは早いうちからテスト導入しておくのも一つの手です。みなさんの地域に浸透する前に準備でき、地域の先駆者として優位に立てます。逆に東京で浸透し切れなかったものは、広がらずに失敗で終わるわけですから、いい意味で様子見をすることもできます。

 東京在住の方は、一層のアンテナの感度が求められますが、その分、全国レベルの第一人者になれるメリットも存在していると言えるでしょう。

小さな塾だからこそできること

 小さな塾の生き残りを語る際に、必ずと言っていいほど出てくるのが大手さんとの戦いです。確かに、大手さんの資本力や知名度は、個人塾にとって脅威でしょう。しかしその逆で、個人塾には大手さんに真似できない強みだってあるのです。その強みとは、主に3つ。

 1つ目は、「小回りが利く」ということ。もう少し言うと「何でもできる」ということでしょうか。例えば、毎日ずっと開いている教室をつくるもよし。テスト前は早朝特訓するもよし。ユニークな合宿や特訓をするもよし。保護者さん・生徒さんとLINEでつながって24時間対応してもよし。そう、塾長の判断次第でなんでもできる、なんでもアリの環境が個人塾には揃っているのです。

 「あそこはぶっ飛んでるなー!」と言われるような塾も、結局はこれが一番の差別化だったりするわけですが、やろうと思えばそれを止めるものは何もありません。あなたが判断しさえすれば、今すぐに右にも左にも舵を切れるのです。教室で使用する教材一つとっても、大手さんのような標準教材の制約もなく、自由に選べます。1対2の個別指導塾でも、時代の変化に合わせて、1対3や1対4に舵を切り替えることもできます。「○○専門塾」という打ち出しで、教科や学区に特化した塾をつくることも可能でしょう。

 大手さんは教室数、生徒数・社員数も多く、商圏も広いため、簡単に舵を切れるわけではありません。大きな組織であるがゆえに、一つの判断・決断をするのに、やれ稟議だ決裁だと、どうしても時間がかかってしまいます。

 すると個人塾に必要なのは、経営者の踏み出す勇気だけ。大手さんよりどんどん先に新しいものを取り入れたり、実行したりすることが可能なのです。仮に、私が大手さんの立場であったとしたら、目の前にいいものがあってもすぐに使えないというのは、相当なジレンマとストレスを感じるのではないかと思います。

 2つ目は、「異動が存在しない」ことです。大手さんであれば、数年単位での異動は当たり前。生徒さんが卒業後にふらっと教室に立ち寄りたくなっても、全く知らない先生しかいないのであれば、いくら同じ場所にある教室でも、それはもう違う塾ですよね。「あなたがいること」「ずっといること」、それが大きな強みであると理解してください。

 もちろん、私たち自身に魅力がなければ、卒業した生徒さんが顔を出してくれることはありません。だからこそ、生徒さんが通塾してくれている間、常にMAXでコミュニケーションを取り、信頼関係を築き上げていきましょう。ちなみに、一部の大手塾さんの中には、この強みを理解して、ほとんど異動を行わない塾さんもあります。やはり、異動がないからというだけでは強みにはならないことを肝に銘じておく必要があるでしょう。

 3つ目は、「個人塾は、自分に合った顧客を選べる」ということ。私たちも人間ですから、生徒さんや保護者さんとの「相性」ってありますよね。シンプルに言えば、自塾でお手伝いしたい・応援したいと思える生徒さんや保護者さんに入塾していただくことが、私たちも力を発揮しやすい状態になるということです。

 もちろん、好き嫌いで判断していいというわけではありません。例えば弊塾なら、何度こちらの意図を伝えてもご理解いただけないとか、教室の方針と異なることを求められる場合、残念ながら合わないという判断に至ります。もうこれは、どちらが正しいとか間違っているとかではなく、それなら、相性のいい他塾さんに移ってもらったほうが、全員がハッピーになれると思うからです。

 なお弊塾の場合、最初から受け入れをお断りしているのが、中学受験を考えている生徒さんです。指導できる学生講師がいないためです。以前、私と教室長が現場でバリバリ指導している時は、中学受験生も受け入れていましたが、社員はレギュラーで固定指導しないという方針を決めて以降、受け入れをやめました。

 大手さんの場合、問い合わせがあった生徒さんは、とりあえず全員入塾してもらうのが大前提だと思います。先述した「個人塾は個性が出しやすい」という強みの逆で、「どんな生徒さんにも対応しやすいよう、サービスを水準化・平均化している」のが大手さんの武器であるからです。しかし、入塾後にどうしても合わない生徒さん・保護者さんに「辞めてほしい」と言うわけにもいきません。難しいところですよね。個人塾の場合は、このあたりの判断も自分でできるところが何よりのメリットだと思います。

 ただし、何度も申しますが、相性とは決して好き嫌いのことではありません。合わないというのは、自分たちの力不足で「合わせられない」だけとも言えます。常に自分の受け皿を広げていく努力は怠ってはならないでしょう。

個人塾は羨ましい!?

 いまは大手さんでも、創業時は当然ながら小さな個人塾だったわけです。そうした創業者さんの話を聞いていると、「あのころはほんとに楽しかったなぁ……無茶したよなあ」と、かつてを懐かしんで目を細める方も少なくないようです。そう、この環境、大手さんから見ればうらやましいことなんですよ!

 大手塾さんである限り、経営者さんも現場の社員さんも、「企業」「組織」としていろいろなしがらみがあり、自由がききにくいもの。だから、自分の思いをかたちにするために個人塾を開業されたという方も多いはず。心からその理想を追う気持ちがあるのなら、本当なら無限に力を注げるはずなのです。

 近年は「働き方改革」ということで、労働時間が問題視されるようになりました。しかし、最低でも軌道に乗るまでは、すべてを投げ打ってでも教室運営に集中すべきだと思いますよ。開業間もない、これから開業する、あるいは経営がうまくいっていない……そういう時期や状況において、そこに集中する以上に大事なことなんてあるのでしょうか?

 せっかく個人塾として独立したのです。自分の思いをかたちにしようという志があったはずです。独立を決意したときの夢や志を思い出して、もう一度バカみたいに仕事に集中してみませんか? そうすれば、何からの変化が必ず起きますよ!

塾経営は、楽しいですか?

 ここまで、様々な角度から小さな塾(個人塾)が教室運営する上で大切なことを考察してみました。そこで最後のまとめとして、ぜひ胸に手を当てて自問していただきたいことがあります。それは「毎日を楽しく働いていますか?」ということです。自分のやりたいことや届けたい教育を実現させたくて独立したのに、その意に反してストレスや不安を抱え込むのでは、いったいなんのための独立だったのかわかりません。

 おそらく一日の中で、場合によっては人生の中で、大半の時間を過ごすことになる教室。そして仕事。その時間がストレスばかりであるなら、人生の大半をストレスとともに生きているも同然。あなたは、そんな生き方がしたかったのでしょうか? そんなことはないはずですよね。

 あなたは、なぜ独立したのですか?あるいは、なぜ独立しようとしているのですか? どんな塾づくりをしたかったですか? 誰にどんな幸せを届けたかったのですか? そして、それによって、あなた自身がどうなりたかったのでしょうか?

 自分がどんな人生を送りたかったのか、その原点を忘れないでください。そして、それができるのが個人塾の強みであり、究極の差別化であり、生き残っていく手段になるのだと私は信じます。


安多 秀司 氏プロフィール

大学卒業後、「成基の個別教育ゴールフリー」入社。最年少教室長として3年間務めた後、株式会社スタンダードカンパニーに入社。「個別指導塾スタンダード」の立ち上げに携わり、事業責任者として3年間で30数教室の新規展開を行う。2008年に独立し、兵庫県宝塚市にて「個別教育フォレスト」を設立。開校1ヵ月で35名の入会があり、損益分岐点を超える。現在はキャンセル待ちの塾として地域にトコトン密着した個別指導塾を運営している。その経験をもとに2010年、(株)リアル・パートナーズを設立。コンサルティング、セミナー、メルマガを通じて、悩める多くの塾経営者のサポートに尽力。コンサルタントでありながら、自らも塾経営者としてその第一線に立ち続けるなど、机上論のみに拠らない現場主義のコンサルティングを旨としている。

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