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2018/11 塾ジャーナルより一部抜粋

医学部入試の最前線 2019年度 国公立大学医学部の動向 第9回

 

私立・国公立大学医学部に入ろう.com 平野 晃康

 
     

 2025年には後期高齢者が約 3500万人(人口の約3 0%)に 達すると予想されています。政府 は労働人口の減少に対応するため、 医療費抑制と病院の効率化を目指 した病院再編成を進めており、 2025年までに病床数を約2 0万 床削減し、病院に収容しきれなく なった高齢者は在宅あるいは施設 での介護を受けることを目指して います。厚生労働省の試算によれ ば介護施設や高齢者住宅を含めた 在宅医療等で対応する患者数は 29・ 7 万 人 〜 33・ 7 万 人 と な る み こみで、これを支える医療機関の 整備が急がれます。一方、地域医 療に携わる医師の数は不足してお り、特にへき地や離島では深刻な 問題になっています。

 この問題を解決するため、卒後、 指定地域・指定診療科に進むこと を前提とする地域枠が年々増やさ れており、2019年度もいくつ かの大学でその傾向がみられまし た。

 一方で、研究や最先端の医療に 取り組む医師を養成することも課 題となっています。日本では年々、 論文数が減少しており、研究力の 低下が懸念されています。また、 グローバルに活躍する人材の養成 も必要とされています。

 2019年度入試における変更 点は、大きく3つに分けることが できます。1つめは地域医療を支 える地域枠の充実という流れ、2 つめは国際バカロレア入試や英語 の外部検定試験で一定以上のスコ アを必要とする募集枠の新設とい う流れ、3つめは主に私立大学医 学部でおこっている、入試方式の 増設という流れです。

 1つめの地域枠の充実という流 れは、国公立大学の筑波大学(推 薦入試:地域枠)、徳島大学(AO 入試)、横浜市立大学(特別推薦入 試(地域医療枠))、大阪市立大学 (AO入試、推薦入試(地域医療 枠))、私立大学の埼玉医科大学 (推薦入試:埼玉県地域枠)、東海 大学(センター利用入試:神奈川 県地域枠)、川崎医科大学(地域枠 入試)などに見ることができます。 これは、一般入試などの募集人数 を減らして地元出身者あるいは卒 後地元に残る意思のある学生を募 集する枠を増やすという流れで、 例えば埼玉医科大学では一般入試 の募集人数が前期・後期合わせて 17名 減 ら し 、 卒 業 後 埼 玉 県 に 残 る ことを前提とする推薦入試(地域 枠)を新設し、1 8名を募集します

 2つめの流れは、筑波大学(国 際バカロレア入試、海外教育プロ グラム特別入試)、横浜市立大学 (国際バカロレア入試)、兵庫医科 大学(一般入試B:高大接続型) などです。国際バカロレアとは、 母国以外の国で働く人の子弟が母 国での大学進学を可能にするため に作られた国際基準で、近年、こ の資格を持つ学生を募集する国際 バカロレア入試を新設する大学が 増えています。全体としては少な い人数ですが、帰国子女など、日 本国内の高校出身者とは違う背景 を持った学生を募集することで、 多様性を持った医師を輩出するこ とを目的としていると考えられま す。また、兵庫医科大学の高大接 続型では英語の外部検定試験で一 定のスコアを取った学生を募集す る枠で、学力に多様性を持たせる ことを目的としていると考えられ ます。

 3つめの募集枠を増やす流れは、 愛知医科大学や関西医科大学など、 主に私立大学に見られます。愛知 医科大学では公募制推薦入試の募 集人数を5名減らし、センター利 用入試(後期)5名の募集人数を 新設しました。関西医科大学では、 センター利用入試の募集人数を5 名減らし、センター・一般利用入 試の募集人数を10名増やしました。 これには2つ目の流れで説明した ような学生の多様性を増やすとい う目的の他に、一つひとつの募集 枠での募集人数を減らすことで、 学生を確保する機会を増やすこと を目的としていると考えられます。 学生にとっては受験する機会が増 えますが、同時に倍率は高くなり、 合格水準は上がると考えられます。

 このように、医学部入試の募集 方式は年々複雑化しており、地域 枠や研究医枠、卒業後も大学に残 ることを前提とした募集枠など、 入学時点から将来のキャリアがあ る程度絞られている募集枠が増え ています。

 これから医学部受験を考える皆 さんは、こうした流れをよく理解 し、受験する入試方式には卒後キ ャリアの制限がないか、募集人数 の変動に伴う入試難易度の変化は 考えられるか、などに気を付けて 受験校を選ぶようにしてください。


平野 晃康 プロフィール

 名古屋セミナーグループ 医進サクセス室長を経て、 現在は私立・国公立大 学医学部に入ろう.com 代表。医学部受験の指 導と正しい入試情報の 普及に努める。入試情 報誌「私大医学部入学 試験を斬る2013」(名古 屋セミナー出版)を編集・ 執筆、医療系データブッ ク(大学通信)にコラムを 寄稿。

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