ハイレベルだった2018年兵庫県公立一般入試問題
NPO学習塾全国連合協議会西日本ブロック 村田芳昭事務局長
指導にあたったジェイ教育システム
ズの福永洋先生は、2002年から理
科「論理的に教える」シリーズで生物、
物理、化学、地学など理科全般を指導
してきた。
福永先生は「2018年の兵庫県公
立一般入試問題はハイレベルで平均点
は3
6点という結果になっています。天
体の問題もかなり難しく、最後の2問
は正答率が一桁でした」と説明する。
各問別の正答率が、低いものでは2・
5%、50%を超えたものは1問のみで
あった。このように一般入試問題につ
いては塾の先生方も考えさせられる内
容であったという。
今回の研修用の問題は、この兵庫県
の入試問題の他、過去に模試で出題さ
れた問題から抜粋したものが用意され、
まずは模試の問題から先に解説してい
った。
問題は「地球は1年に何回自転して
いるか」「夏至の日と冬至の日で地球
と太陽の距離が近いのはどちらか」
「太陽の通り道が4月2
0日と同じにな
るのは何月何日頃か」「新月・上弦の
月・満月・下弦の月のうち、9月に日
本で南中高度が最も高いものはどれ
か」など全部で1
3問。
福永先生はホワイトボードを使って
板書を行い、1問目から丁寧に解説し
ていった。
夏至・冬至の日の地球と太陽の位置関係は春分・秋分の日から考える
「夏至の日と冬至の日で地球と太陽
の距離が近いのはどちらか」という問
いには「この問題はずいぶん前に、大
阪教育大附属高校の入試問題で見た記
憶があります」と福永先生。
「地球の公転軌道は楕円であり、太
陽は2つの焦点のうちどちらかにある。
だから夏至と冬至では太陽と地球の距
離に差が出ます」と公転軌道を図で示
しながら、説明していく。「それでは
どうやって確かめたらいいか。春分か
ら秋分までの日数と秋分から春分まで
の日数を比べていけばいいのです。今
年であれば3月2
0日から9月2
3日まで
の日数を計算すると、春分から秋分ま
でが187日、秋分から春分までが
178日、その真ん中にそれぞれ夏至
と冬至があるので、夏至がこの部分で
冬至がこの部分、(図参照)答えとし
ては冬至が太陽の近くにあります」と
太陽の周りに楕円の公転軌道を書き、
夏至、冬至の地球の位置を指し示しな
がら解説した。ポイントは春分、秋分、
夏至、冬至がいつなのかを知っておく
ことだ。福永先生によると、それらが
何日なのか知らない生徒が多いという。
ジェイ教育システムズ 福永洋氏
模試の問題を1
3問説明した後、兵庫
県公立一般入試問題へと講義を進めて
いった。正答率の低かった2問は「図
の星座のうち、兵庫県において1月1
日2
0時に南中している星座はどれか、
1つ選んでその星座名を書きなさい」
(正答率2・5%)というものと「1
月3
1日2
2時3
0分に皆既月食が見られた。
その5日後の2
2時3
0分に地球から見て
月と同じ方向にある星座として適切な
ものを、図の星座から1つ選んで、そ
の星座名を書きなさい」(正答率4・
2%)である。この入試問題に関して
は、参加の先生方もかなりハイレベル
であるという感想であった。途中、質
問が出ることもなく福永先生がよどみ
なく説明を続け1時間半の講義は終了
した。
その後、参加者から2、3の質問が
上がり福永先生がそれに答え、質問者
が納得するという形で研修は終了した。
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