現在の日本の教育と並行し
確実に英会話力を身に付ける
岩下代表は、工作機械のエンジニアとして社会人生活をスタートし、のちに予備校講師、英語塾運営と得意の英語で活躍してきた。常に時代のニーズと本当に必要な英語教育を探求し続けてきた経験を生かし、「より正直に、素直に」教育業界に向き合おうと決めたという。
「インターナショナル・スクールもそうですが、ご両親が一生懸命働いていただいたお給料の中から決して少額ではない教育投資をして、どれほどのものが得られるのかということを常に考えています。結果を出す投資でないと意味がない。
今まで多くの子どもたちを見てきて、日本の通常の学校教育と、今後、日本が踏んでいくであろう新たな学校教育の中で、世界を見据えて英語を学んでいく子どもたちを育てることは絶対可能だと考えたんです」
最近では、一般の区立小・中学校から進学校、そして進学先の大学から海外へ留学する生徒たちが増えているという。同校でも、都立国際高校からカリフォルニア州立大学に進学、行動心理学を学んで、同校のスタッフとなった生徒がいる。目的意識があれば、子どもたちの勉強意欲は増し、それに向かう英語力をつけるのが一番現実的であると岩下代表は思い至った。
子どもたちは何を学ぶためにどこの大学へ行くのか。当然、海外の大学にも対応できるよう、英語力は必要だ。その英語力を従来の日本の教育体制の中で確立できるのなら、英会話能力を身に付けるのにインターナショナル・スクールである必要はない。岩下代表はインターナショナル・スクールに行かずとも英語を話せる人がいるのはなぜかを突き詰め、英語習得の手法を解き明かし、2013年にプログラムとして確立した。
英語はあくまでツール。グローバルコミュニケーションとは英語ではなく、その人が「何を語るか」であり、意思疎通のための土台が重要だ。本来持っているリベラルアーツによって、意思疎通の手段としての英語力が生かされるが、逆にリベラルアーツがなければ、英語が話せてもコミュニケーションにはならない。よって「翻訳能力」を身に付けていけば、通常の日本の小・中・高校に通いながらでも十分英語が話せるようになるというのが代表の考え方だ。学校教育に合わせてbe動詞から分詞構文まで(中1履修内容から高3履修内容まで)、日本語から英語への変換能力を育てていく。教室での実践を重ね、それが証明されようとしている。
実はとても簡単にできる
英語特化コースの導入
そんな英語指導の第一人者である岩下代表だが、世情に合わせた塾での英語特化コースの導入については、「特別なことをする必要はない」と語る。
「もちろん、小学校からの英語教育実施が塾業界の追い風になり、市場になるというのは事実ですが、複雑に考える必要はないと思います。ご自身の塾でやっている中学校の授業を小学校に落とし込めばいいんです。新しいシステムや外国人の先生はいりませんし、持っているノウハウで学年を落とすだけなら、今すぐできると思えるでしょう?」
どの塾にも積み上げたノウハウがあり、それを生かせばいいと、実にシンプルな考え方だ。
実際、岩下代表も独自の「構造論英文法」でさまざまな試行錯誤を繰り返し、現在の授業内容に落ち着いているという。
同校では、構造論英文法の履修開始学年を前倒しすることを目的として、小・中学生向けに4技能習得に長けた自立学習システム「レプトン」を7年前に導入。学年ごとの履修内容を2年先行していくことで、早い段階で受験に対応する英語力を完成させている。受験期には数学をはじめとする他の教科を徹底的に学ぶことを可能にし、難関大学チャレンジへの体勢が整う。
「英語に特化した塾のはずが、理系に強い塾になってしまった」と岩下代表は笑う。
現在、レプトンだけで84名が学び、構造論英文法とレプトンの過程をすべて終えれば、大学受験や海外留学でも全く問題はない英語力が養えるという。今年度も東大、慶応大をはじめとする難関大学合格者を排出し、入塾希望者は増える一方だ。
プログラム開発と教室展開
時代を見据えて、フットワークを軽く
TALKゼミナールのターゲットは高学歴で日々英語に触れる機会があり、子どもたちにも相応の英語力をつけさせたいと思っている保護者の子どもたちだ。翻訳家、大手企業の同時通訳、開業医、経営者、証券会社関係者と高所得者層の入塾者がメインという。
月謝は英・数・国の3教科週4日の指導で月額8万円ほど。小・中・高・大すべての受験に対応し、特に英語教育が進んでいるため、中学受験は追い風だ。30名でMAXの教室は現在満卓。入れ替えを行い、約120名の子どもたちが通っている。英語が確実に話せるようになるとの口コミで、入塾待機者も出ているという。
その生徒たちを、現在4名の正社員と、8名の講師が教えている。今後、教室の展開とスタッフ増員にも力を入れていく予定だ(本年7月に茗荷谷2号館を開設)。
今後の課題は、入塾者全員が確実に結果を出せるよう、現在のプログラムを進化させていくことだ。
子どもの学習方法には「文字で学ぶ」「聞いて学ぶ」「目で見て学ぶ」「感性で学ぶ」の4パターンがあり、現プログラムは「文字」と「聞く」パターンの子どもは確実に結果が出せるという。ただし、「目で見る」、「感性」パターンの子どもが100%結果を出すには至っていない。
「『感性』の子はペーパーテストでは結果が出るが、『目で見る』子は結果が出せない。おそらく今の日本の学校制度の中ではちょっと難しいでしょう。彼らが結果を出す方法に対する答えがまだ見えていないんです。今後、映像の技術が進んだり、芸術系の高校が増えていくことが解決の一助になると思われます」
引き続き、研究を続けていくという。
時代の流れを正直に読みながら、シンプルかつ柔軟に舵取りしていく岩下代表のフットワークの軽さは、今後の急激な時代の変化にもびくともしないことだろう。
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