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中学・高校受験:学びネット

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2016/9 塾ジャーナルより一部抜粋

ズームアップインタビュー この人に聞く117
Z会グループに加わり、一層の躍進
サービス充実に期待

     

株式会社 栄光
代表取締役社長 山本 博之さん

 1980年「栄光ゼミナール」創立、生徒一人ひとりに沿った指導が支持され、6年後には生徒数1万人突破。以後36年間、独自の教室展開・指導システム・商品展開で、直営教室網を形成してきた。21世紀に入り、教育関連企業とのM&Aや業務提携による教育サービス、ソリューション事業の開拓が加速。昨年11月には、Z会グループに加わり、今後の一層の躍進、サービス充実が期待される。6月22日には山本博之氏が新たに「株式会社栄光」の代表取締役社長に就任した。

社長の使命は
栄光を元気にすること

── 栄光代表取締役社長への就任おめでとうございます。

山本 身の引き締まる思いです。株式会社栄光の舵取り役として、今回、社長に任命されたことに大きな責任とやりがいを感じています。

 私の使命は栄光を元気にすることだと思っています。生徒数が直営最多とか、売り上げ規模が大きいとかは確かに強みではありますが、それらを超えて、塾の価値をもっと高めて参りたいと考えています。

── 山本社長と「栄光」との出会いをお聞かせください。

山本 実は一度別の仕事に就いた後、転職で栄光に入社しています。入社から早35年、もともと子どもが好きでこの仕事を選びましたので、教え子が成長していく姿を見るのが大きな喜びでした。

 はじめの15年間は教室勤務、エリアの責任者、教材開発などを担当していました。栄光は教師個々の力量だけに頼らず、全教室、同じ教材、同じシステムを利用する指導に早くから取り組みましたが、その基盤整備の段階に携わったことになります。

── その後はどのようなお仕事をされていたのでしょうか。

山本 その後の20年間は栄光グループの出版社や、株式会社エデュプレス、株式会社エデュケーショナルネットワーク(EN)などで、教育業界、塾業界に長くかかわってきました。特に、この6月まで社長をしていたENは、私学や学習塾の皆様が主なお取引先です。最終ユーザーである生徒のために、教育業界、塾業界は何をしなければならないのか、そのために我々は何ができるのか、ENでは仲間とともに考え続けました。

 ですので、直接栄光ゼミナールに携わっていたわけではないですが、さまざまな観点から栄光ゼミナールを見てきた自負はあります。

企業同士の価値観が一致し
提携から統合へ

── 昨年からZ会グループの一員となりましたが、大きな変化はありますか。

山本 Z会も栄光も目指すのは同じところなので、グループに加わって戸惑ったり、違和感を覚えたりすることは、実は驚くほど少ないのです。目の前の生徒のために最高の教育を提供したい。その点で両者の価値観が一致していたということが非常に大きいと思います。

 両社さまざまな分野の責任者たちが話し合いを重ね、統合後のグループの姿を描いてきました。企業同士の提携にはお互いが持っているものを交換する、融合する、ないものを新しく作り出す、の三段階のプロダクトがありますが、そのすべてにおいて検討を行っており、今後、成果を出したいと考えています。

 どちらの企業も長い年月を経て、多くの教育ノウハウを蓄積してきました。膨大な教育コンテンツもあります。教材のデジタル化が急速に進んでおりますので、両社の教材のプラットフォーム化などは、近々の課題として取り組んでいます。

── 栄光の考える「よりよい学び」とはなんでしょう。

山本 生徒が自分の目標に向かって、情熱をもって主体的に取り組みたくなるような学びです。

 当然ですが、生徒一人ひとり、目標も個性も価値観も違います。画一的な目標や方法を押し付けては、自ら学ぶ意欲は生まれません。だからこそ、栄光は「生徒一人ひとりに最適な学びを提供する」という考え方を大切にしています。“その1人の生徒”には何が必要か、私たちは何をすべきかを考えて日々行動することを、職員には意識づけています。

栄光メソッドの復習部分を
より効率、効果的に

── 具体的な取り組みとしてはいかがでしょうか。

山本 「一人ひとり」へのこだわりが一番わかりやすいのは、自ら学ぶ力を育てる「栄光メソッド」の中で、復習部分に位置づけている「CATS@Home」でしょう。CATS(Computer Assisted Training System)は、単元学習後にプリントで理解度をチェックし、結果を登録すると、その生徒が苦手な問題だけを集めた生徒専用の復習プリントが印刷できるシステムでした。このシステムが誕生したのは、ネット通信が一般化していない20年ほども前のことです。

 その後、ご家庭のパソコンでCATSが使えるように改良し(CATS@Home)、3年前にはiPad miniなどで使えるようアプリ化しました。それと同時に、解説動画を大量に投入しました。自分が間違った問題の解説動画だけをまとめて視聴できるよう自動設定されているため、わずか数度タッチするだけで、復習用動画を視聴できます。生徒一人ひとりの課題解決がスピーディーにできるようになったのが大きなポイントで、「iPad mini学習」とも呼んでいます。欠席時のフォロー動画や、模試の実施日当日から見られる模試解説動画なども非常に人気で、教室の自立学習室でも利用できるよう、教室にはWi-Fi環境を整えました。

 塾の学習と家庭学習をこのシステムで完全に連結させ、より効率よく、効果的に学習してもらうことが目的です。今春からは、中学生向けの定期テスト対策機能などを追加しました。生徒たちは自分の学習スタイルの一部として、さまざまな場面で活用しています。

── なるほど、「一人ひとり」を非常に大切にされていることがわかります。

山本 今後はもっと重要になってくると思います。今から2020年に向けて、教育は大きく変化します。文部科学省が言うところの「明治維新以来の教育大改革」です。高大接続改革や英語で求められる技能の見直し、英語教育の早期化、学習指導要領や入試問題の変更など、さまざまです。

 ちょうど過渡期にあたるこれからの子どもたちと保護者は、大改革の影響に直面します。進路選定、学校選択、学習や受験への取り組み方は、従来とは大きく変わるでしょう。

 そうなったときに保護者の方が知りたいのは、制度の変更点だけではないはずです。改革、大きな変化を受けて、「じゃあ、うちの子はどうしたらいいのか」「うちの子に最適な学習は? 進路は?」という疑問が必ず出てきます。疑問を解消し、期待に応えられる塾でありたいと思います。そのための準備、研究を今、進めているところです。

高大接続改革に向けて
入試の対策を準備

── 具体的に、教育改革にはどのように対応していく予定ですか。

山本 すでに高校入試問題の中には「思考力・判断力・表現力」をみる新傾向問題が、各県より出題され始めています。高大接続改革は、現在の中学2年生以下が大きく影響を受けますので、高校入試でのこの傾向はますます高まるはずです。中学生への指導の段階から、早期にこのような入試傾向を見越した対策を行う準備をしています。

 また、高大接続改革の影響を最も受ける高等部ナビオでは、すべての科目で授業中にもiPad miniを利用し、クラスの生徒全員の回答を共有して話し合ったり、複数人でよりよい回答を検討したりという新たな取り組みも始めています。

 また、英語4技能を高めるには、4技能をバラバラに学ぶのではなく、統合的に学習することが重要だと考え、グループのシェーン英会話と連携した英語教育を推進しています。ナビオではシェーン英会話のネイティブ講師による、英語で政治学や化学を学ぶ「REAL ENGLISH」コースが大変人気です。小学生を対象に、シェーンのネイティブ教師と日本人教師が指導をする英語コースも検討しています。

── 今後、小学校で必修化されるプログラミング教育にも取り組まれていますね。

山本 栄光ロボットアカデミーという小学生のためのロボット製作&プログラミング教室を昨年から始め、現在5教室を開校しています。ロボットやプログラミングの知識はもちろんですが、総務省の調査で発表されているように「21世紀型能力」の育成に効果があることを、教室を運営してみて実感しています。

 栄光ゼミナールでも「ジュニアサイエンスコース」という小学2年生、3年生向けの月1回の特別コースで、「ロボット入門」というロボット製作&プログラミングの授業を行っています。首都圏の栄光ゼミナール88教室で開校していますので、栄光は実は大規模なプログラミング教室でもあるのです。

── 栄光の今後の展開を教えてください。

山本 2020年に向けての教育改革では、従来の入試問題、学習方法が変容する可能性すらあります。いま出されている改革案を見ると、従来の学習だけではうまくアウトプットできず、合格という目標を達成できない恐れがあります。

 子どもたちの、広く言えば「21世紀型能力」を高める学習法を考え、それを指導システムに組み込んでいくことは容易ではありませんが、Z会とのグループ統合という強みを生かすときなのだと感じています。

 次の教育サービスの価値を創造するために、粘り強く取り組みたいと思います。何より、私たちが提供する学びを通して次の世代である子どもたちが、未来を拓く新たな力を獲得してくれることが願いです。

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