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2016/5 塾ジャーナルより一部抜粋

〜永遠に未完の塾学〜

第13回 「賢い=ませた」子を作るのは、予習

俊英塾 代表 鳥枝 義則(とりえだ よしのり)
1953年生まれ、山口県出身。
京都大学法学部卒業後、俊英塾(大阪府柏原市)創設。公益社団法人全国学習塾協会常任理事、全国読書作文コンクール委員長等歴任。関西私塾教育連盟所属。
塾の学習指導を公開したサイト『働きアリ』(10,000PV/日)には、多くの受験生
や保護者から「ありがとう」のコメントが。
成りたい人格は「謙虚」「感謝」「報恩」…。

最初にお断りしておくが、この稿で、個別指導塾や、学習塾の定期テスト対策を誹謗する意図は全くない(自塾自体が個別指導クラスを併設しているし、定期テスト対策中心の塾でもある)。

20年前に驚愕した出来事

 20数年前、いまはもう存在しないある大手塾の幹部が、「参考にしたら…」と、その塾の進学資料をみせてくれたことがある。

 さすがに大手進学塾、合格実績に占める上位校の比率は眼を見張るものがあった。ところが、紙をめくって、個別指導クラスの合格不合格の欄を眺めた私は、わが目を疑った。

 進学先に、難関校は皆無だった。さらに驚いたのは、その合格率の低さであった。

 その後、個別指導ブームがやってきた。つい最近まで、塾業界の売り上げを牽引してきたのは、個別指導塾の成長である。親が塾に求めるものを、個別指導こそが満足させてくれると保護者が信じた時代が、結構続いたのだ。

 その余慶として、個別指導の指導方法も洗練され、個別用教材も改良を重ねられてきた。個別指導に対する懸念は、今や完全に解消されたと信じたい。
しかし、一抹の疑念は残ったままだ。

個別指導のちらしの特徴

 わが地域に折り込まれる個別指導教室のチラシ、そしてその教室内の掲示を見ると、圧倒的に上のような表示の羅列が多い。

 それだけ、この表示に親と子が「引っかかる」のであろう。

 さらにこれは、うまい手でもある。

 普通の中学生だと、前回成績がよかったら次は油断して下がる、それで親に怒られて次回は挽回して上がる、といったパターンの繰り返しが一般的であろう。だとしたら、その生徒は、実は成績は全く上がっていないのに、一回おきに、成績アップを教室内で、あるいはチラシで、顕彰されることになる。

 ある時に気づいたのだが、この、何点アップを広告で謳っている個別塾のチラシで、入試の合格実績を併記しているところは、まずない。

 逆に、難関校の合格実績を競っている大手塾のちらしで、この、定期テストの矢印アップを載せているところなどは皆無だ。

 このことから断定できるのは、いまだに個別指導の塾は定期テストの成績アップは得意だが入試に対応できる応用力の涵養は苦手、難関校志向の大手塾はトップ校に合格させるための指導だけを志向していて学校の定期テストなどは眼中にないということではなかろうか。

中途半端な個人塾の進む道は?

 では、われら中途半端な個人塾、難関校合格を謳って「よくできる塾」という見栄を満足させつつ、大手塾に優秀者を奪われた現状から「学校の成績を上げてくれる」と地域に喜ばれて塾生を集めたいという色気から脱却できない小規模塾、二律背反の夢をいまだに追い続けている零細塾は、どうしたら生き延びられるのだろうか?

個別指導と一斉授業の違いは、予習と復習の違い

 私の塾は一斉指導クラスと個別指導クラスを併設している。わが塾に限って言えば、じわじわと成績を上げていく生徒は、一斉指導クラスの子の方が多い。

 私は長い間、その原因は講師の力量の違いにあると思っていた。一斉授業は、経験豊かなベテラン講師が担当する。個別指導は、学生講師を中心とした若い講師が指導する。そうしないと、塾としては採算がとれない。

 ところがこの歳になってふと気づいたのだが、一斉授業と個別指導の違いをもたらしているのは、教えるものの能力の違いではなくて、「予習」メインの講義(=一斉授業)と、「復習」中心の授業(=個別指導)の差異に尽きるのではないかということだ。

 やや話は横道にそれるが、自学自習の教材であるベネッセの進研ゼミは、二つの履修方法を学力別に選択させる。ある程度理解できている人は授業テキストを先に読み、理解した上で演習テキストでの問題練習へと進む。自信のない生徒は、先に演習問題をして、できなかったところを説明テキストの解説で読むように勧められる。

 私は最初、逆ではないかと思った。わかっていない子が、いきなり問題を解くのは無謀だ。先に説明を読んで、解き方なりを理解した後に問題にチャレンジするべきではないのか。

 しかし、今は進研ゼミの意図がよくわかる。講義テキストは予習なのだ。そして予習は、「できる子」でないと自力では無理だ。さすが進研ゼミ、勘どころを押さえている。

 あるレベルにまだ達していない中学生が、一斉授業のクラスを毛嫌いし、個別指導を受けたがる理由もそこにある。

 予習をするには、年齢が要求するレベルより少し上の、一定の「ませた」学力に達していることが必須である。

合格と不合格を分けるもの

 長いことこの仕事をしていると、とても素直でなんでも言うことを聞いてくれる子どもほど定期テストでは点がとれても本番に弱いこと、こちらの指導することのうち納得できないところは上手に聞き流すくらいの生意気な奴ほど入試、真剣勝負には強いことに気づかされる。

 また、中学受験クラスの小学生を担当して一番安心なのは、ませた子がそろっている学年に当たったときだ。休憩時間に交わされる子どもたちの会話があまりにもおっさん、おばはんくさくてにやりとさせられる年は例外なく、全員が難関校にあっさりと合格してくる。

 高い学力を持っている、あるいは知能指数が高いとは、つまるところ、その年齢の他の子よりは「ませている」ということに尽きる。

 逆に、努力しているのに空回りばかりしている可哀想な子どもは、例外なく「幼い」。

早く「おませ」にする方法

 奈良の西大和学園の先生が、いつまでたっても成長しない私を可哀想に思って助言をしてくださったことがある。

 「今のゆっくりしたペースではなくてもっと早目にカリキュラムを進めないと、うちには合格できませんよ。」と。

 聞いた時は、何をおっしゃっているのか想像もできなかったが、今はわかる。

 子どもたちにさせる予習の目標を、「どれだけ同年齢の子より先に進むか」に設定することが、実は「学力を高める」、「実力を伸ばす」ということなのだと、先生は示唆してくださっていたのだ。

 学力が高い子どもとは「ませた」子のことであり、よりませた子を作るにはできるだけ先のことを「予習」させるしかないと、先生は教えてくださっていたのだ。

 それに、予習を先に進めれば進めるほど、復習として応用問題を解く時間的な余裕が生まれてくる。

個人塾の生きる道

 個人塾には、様々な学力の子どもたちが参集してくる。そして、個人塾は人が好いから、ついついできない子に目を向けて、定期テスト対策に偏りがちになる。

 しかし定期テストで安易に点を取らせようとすると、結局、基礎的な問題の反復練習という付け焼刃に終始してしまい、それでは入試で、ますます大手塾の後塵を拝することになる。

 高い学力とは、どれだけ同年齢の子より「ませているか」であり、上手にませさせる効果的な「予習」のやり方を見つけた個人塾だけが、この厳しい時代を生き延びることができるのだ。

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