絶大な効果を上げる
遡行学習に究極読解
「英泉塾では入塾テスト(あし切り)を行っていません。ですから、生徒たちの学力の幅は広い。トップ層だけでなく、全体の底上げに注力しています」と語る英泉塾代表の安田卓史さん。
創立者である安田佐和子さん(現英泉塾塾長)が36年前の創立当初から目指していた、「本当の教育で子どもたちを育てる 生徒一人ひとりを生かす教育」という理念は今も変わらない。
この塾の大きな特徴の一つに遡行学習がある。
「中学3年生の場合、進行中の授業と同時進行で、中1から中2までの範囲も速習してしまう遡行学習を行っています。数学など積み上げ式教科では、中1の範囲である文字式・方程式の利用がわからなければ、中2の連立方程式は解けない、ましてや中3の数学は理解できません。だが、塾というのはそこには目をつぶり、一生懸命『授業』を進めてしまっているのです。それでは根本的な問題解決にはならないでしょう」
もちろん、基本は日々の授業なので、別枠で速習コースを設け、1年間で3年分の勉強を実施する。
こうした英泉塾での徹底指導の効果で、埼玉県の高校入試において重要な指標となる北辰テストで5科目の偏差値が10ポイント以上あがる生徒も増えた。入塾当時は目標にもなっていなかったレベルの高い高校に合格するという結果も出始め、全体の底上げがなされている。
また、英泉塾には創立当初から30年以上にわたって培ってきた確固たる国語科指導ノウハウ「究極読解」(国語は必修科目)がある。
「人間は言葉を通じて物事を認識し、考えを整理する。ですから、すべての教科の基本は国語となります。文字情報を的確に処理する能力やイメージ力がなければ、数学の文章問題なども解くことができません。豊かな語彙、読み取る力、他者理解能力など、読むことに習熟し、読解力を深めるトレーニングに取り組んでいます」
短期間での成績アップに欠かせない教材に「ミラクルロード」がある。これは基礎の反復トレーニングで、テストに出題される情報だけを絞り込んだ専門教材だ。通常の授業の他に、この教材を使って、演習と暗記を繰り返す遡行学習授業も行っている。理解から応用問題を解くという成功経験を積むことで、生徒の学習意識が向上、成績も目に見えてアップしていくことになる。
クラス編成に関しては学力に応じ、15名程度の少人数制を基本としている。「教師が一人ひとりをくまなく見ることができ、適度な緊張感とつらい取り組みも、みんなで頑張っているという相乗効果、連帯感も生まれるのです」。
●運営のポイント
募集対象は「公立トップ校・上位校を目指す生徒」と明確に
●指導のポイント
遡行学習法、国語科徹底指導、「ミラクルロード」使用などで確実な成績アップを図る
『夢実現プログラム』で
意欲を引き出す
速習法など通常の倍になる勉強量をこなすためには、子どもたちの心に変容を促すことが重要となる。10年、20年後にどんな自分でいたいか、子どもたちにイメージさせ、夢を実現させるために今、何が必要かとやる気を奮起させる。これが「夢実現プログラム」の取り組みだ。
「このときのルールはふたつ。一つは目標は人から与えられてはならないということ。どんなことでもいいので、将来なりたい自分の姿を自分の頭にイメージすること。もう一つはその目標を最短で達成する、効率の良い行動選択を行うということ。そして行動と結果を振り返り、うまくいったことを繰り返し行っていくように指導していきます」
生徒が勉強する意味を自分で見出すことができたなら、あとは勉強を「自動化」できる環境をつくってあげさえすれば、急速に成績アップが達成できる。
一方、生徒を正しく成長させるためには、教師たちもトレーニングを欠かせない。子どもたちに意欲を引き出させるような働きかけ、言葉かけ、言葉の選び方などロールプレイングで学ぶ。
「わかりやすい授業を行うことは当たり前、英泉塾における講師採用のポイントは、情熱と人間力。勉強では得られない、本来持っている明るさや心の広さなどを重視しています」
●運営のポイント
子どもたちの意識変容を促すイベントを行う
意識変容を促せる先生を育成する
『保護者セミナー』で
家庭との信頼関係を構築
英泉塾では進学セミナーも含め、年4回『保護者セミナー』を開催している。このセミナーでは、勉強方法や進学情報のみならず、家庭教育や親子のコミュニケーションスキル、また社会情勢についての講座も行い、保護者からの高い評価を得ている。
「保護者の方々は『高校に合格すること』が最終目的になってしまいがち。しかし、これからわが子がどういう人生を歩んでいくのかということを常に頭の片隅に入れておいてほしい。例えば、今の子どもたちが社会に出る頃には、現在にはない新しい職業ができていて、現状の価値観では対応できないでしょう。ですから、世の中の状況変化も我々と一緒に学んでいきましょうと伝えています」
その他にも毎月送るニュースレターで塾の取り組みを解説する、面談で実際の様子を報告するなど、塾と家庭がタッグを組んで、子どもたちを支える絆をつくることを積極的に行っている。
2016年3月開校予定の3校目英泉塾(埼玉県戸田市)にさらなる夢が広がっていく。
●運営のポイント
塾は教育の場であるとともに情報発信の場でなければならない
時代が変わっても変わらない確固たる基本理念を持ち続ける
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