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2015/7 塾ジャーナルより一部抜粋

幼児教育の原点は
知識を問題解決に生かす
思考や想像力を育てること

  ジーニアス・たけのこ会 代表 諌山 静香  
     
 英才教育・知能開発・幼児教育などの言葉があふれているが、いずれも知識を詰め込む教え込みの過剰が目立つ。大人の雛形を作ることで、幼児が本来持っている創造性の芽を摘み取る結果になりかねない。

日本の幼児教育の現状

 ネットの時代、知識はわざわざ自分の頭に蓄えておく必要などない。幼児の知能が伸びるのは教え込んで物知りを作ることによるのでもない。知能とは自分の頭で物を考え、判断して、目の前の問題を解決する能力を意味している。習ったことを応用して自分で新しい創意工夫をする子、これこそ時代が要求している子どもの姿ではあるまいか。急がば廻れの諺にもあるが、今輝く子どもを作るのか、将来、光となる子どもを育てるのかの選択によって教育の方針は異なってくると私は思う。

 アナログ学習が特効薬にならぬのではないか、と一抹の不安を持つ向きもあるかもしれない。しかし、私の経験から述べさせていただくなら、早い子どもなら1、2ヵ月で誰の目にもビジュアルな形で変化が現れる。

 例えば、まず落ち着きとか、明るさとか、根気の良さの形で現れ、それが学校での成績の向上につながっていくという形を取っていくのである。

 目の前の問題と真摯に向き合うには、根気と忍耐、そして何事にもとらわれない柔軟な発想が不可欠だ。幼児教育の原点は知識そのものを教えこむことではなく、知識を問題解決に生かし切れるような思考力や、柔軟な発想を生む想像力を育てることであると私は確信している。

 四則計算は得意だが、文章題になると苦手だという子どもたちが少なくない。その原因はどこにあるのか。それは国語力だろうか。それも一つかもしれないが、大きな原因は、数概念に関する3つの不変性(@1対1の対応に関する不変性、A順序に関する不変性、B数の合成・分解に関する不変性)が身に付いていないことが要因だ。幼児の段階から感覚を磨き、情操を養い、知能を練る教育こそ、やはり教育の根本に他ならない。

幼児・低学年教育で
大事なこと

 紙をデジタルで置き換えることは、良いことばかりなのだろうか。デジタルに移行することで失うものはないのか。

 近年、デジタル教育が脚光を浴びている。プログラム学習のみで幼児・低学年の教育を行うのは困難だ。果たしてデジタル教材に頼って、視覚的・感覚的に理解した子どもたちは、文以外では表現できないような内容を前にしたとき、そこに横たわるギャップを飛び越えることができるのだろうか。

 理学博士である新井紀子氏は御自著の中で述べている。

 「小学生にとってまず必要なのは、フェイス・トゥ・フェイスの指導の中で、思考力や判断力の基礎となる学力や、学ぶ方法を伝えていくことだ。また、先生の話や友達の意見をよく聞き、自分の意見をクラスの中で発表できるようになることだ。

 そして高学年になるにしたがって、非言語的な表現を言語化でき、またバックグラウンドが異なる人々に対し、自分の考えをしっかりと伝えることができるようにトレーニングを積んでいく。顔を見たこともなく、言語も異なるインターネットの向こう側の人とコミュニケーションするのは、このような基礎ができた上でのことだ」

 このように、幼児期の知的能力をその後の学校教育に結び付けるところに、幼児・低学年教育に携わる魅力があると思う。私たちは、未来の日本を担う無限の可能性を秘めた人材を育てている。短期的成果に一喜一憂してはならない。その子の将来の自立を手助けする必要がある。

 そのためには、子ども自身に抑制する力である耐性を育まねばならない。耐性をつけるためには、@物を与えすぎない、A指示しすぎない、B手を貸しすぎない、C何でも許しすぎない、の4つの「すぎない」を実行することが重要となる。

 最近、自分でやり遂げる喜びを子どもから奪っている過保護な親も増えてきているが、それは子どもたちを愛しているように見えて、実は彼らからその成長に必要な自信と自立の喜びを奪っているのだ。

 数理色板・積木は必ず両手で試行錯誤しなければならない。そこには丁寧さがある。命や物をぞんざいに扱わないことこそ、何気ないレッスンの中にも学ぶことが無限にあることに気づく。幼児・低学年期にこそ経験しておきたい貴重な体験だ。

私の行う
幼児・低学年教育

 では、何をすれば、幼児・低学年期に基礎・基本である土台を入れることができるのか。それは「数」という抽象的世界を具体物とともに教えることだ。そこでどのように自分の頭で考える力を育てるかが重要となる。これは難しい問題だが、確かに言えるのは、試行錯誤の習慣をつけることが、能力を伸ばす第一歩になることだ。人間として大切なのはよりよく生きていくための能力だ。美しいものを見れば美しいと感じ、景色を見て「ああ素晴らしい」と感じる感覚だ。

 幼児期に急速に発達する知的能力は、結局、この人間がよりよく生きていくための知的能力だ。外山滋比古先生は言っている。

 「私たちは冷めた知的ゲームを高級な知的活動として子どもに教え導くのではなく、熱く煮えたぎるマグマのような幼児期の知的活動を少しでも長い期間続けさせるように促すことこそ、真の『教育』であると考えるべきだ」。そして、この「人間がよりよく生きていくための知的能力を高める教育」に非常に適した教材を理学博士である故小林茂広博士が考案した。それは私がご教授いただき、実践している数理積木・色板を用いた数と図形の融合学習だ。

 今年の5月に「数と図形の融合学習」の理解を広く深めるために社団法人を設立した。

 これはデジタルとアナログの融合、つまり数と図形の融合学習ができるという点と文部科学省も推奨しているオープンエンド(多解性)の教材であるという点で非常にバランスが取れた教具だ。そして、この教具の基本理念として最も重要なことは、紙と鉛筆を用いて頭で考えるのではなく、具体物を手で試行錯誤させ、答えを見つけさせる操作発見学習だ。子どもの手を通して、数や図形の持つ面白さを経験させて、自分のアタマで考えさせ数理的認識一つひとつを確かなものにすることができる。自分のアタマでじっくり考えたことは、知識よりも圧倒的に長く記憶に残る。それは、大きく三つの点で子どもたちが自分で考える習慣を付けることを助け、思考力の増進に目を見張るような効果を発揮させる。

考える習慣と
思考力の増進

 一つ目は、指先の調整能力を育てるということだ。自分の指を思い通りに動かし、思ったことを自分でできるようになることは、肉体的自立と精神的自立、さらに知的自立につながる。そして自立しているからこそ、周りのことを感じる中で感性が育つ。自分で考える中で思考力が育つ。自分で問題を解決する中で、広い視野・注意力さらには想像力が育つ。

 二つ目は、具体物を手で考えさせるのは、紙と鉛筆で考えさせるより、より多くのことが実験できるということだ。マッチ棒3本でできる三角形が4本ではできない、という大発見は三角形を鉛筆で書かせても経験させることはできない。

 三つ目は、手を十全に使いこなすことは楽しいということだ。そして、人が楽しいと感じることには、常に発見や新鮮な驚きが伴い、それこそが学習の原点となる。

 学ぶことの楽しさを幼児・低学年期に徹底的に経験した子どもと、幼少期から知識の先取り教育ばかりさせられた子どもとでは、その後の成長で決定的な違いが見られる。

 耳で聞いたことは忘れやすいが、自分の目で確かめたことは記憶に残る。自分の手で物を操作して試行を重ねた経験は理解を深める。そして、深い理解が未知の問題に遭遇した際、過去の経験に照らして解決法を考える新たな想像力や能力を生むのである。経験による想像力の獲得によって未知と言う壁を乗り越えることができる。

アナログ算数で
数の概念を

 幼児・低学年期の算数教育で、従来多く見かけるのは、初めにおはじきなど具体物を使って数を読ませて1から10までの数字を段階的に教え込む。次に数の順番がわかれば、1+2などの数式による加減算に移行するという分離数しか教えない方法だ。そして、子どもが正答できさえすれば、かけ算、割り算を教えるのだ。これでは先を急ぐあまり、数概念を育ててやることはできない。

 現代はスピードの時代で、なんでも時間を短縮して成し遂げることに重きが置かれている。しかし、計算技術を早く教え込むことに何の意味があるのか。これでは子どもが数の意味や計算のしくみを理解することができない。1m、1cm、1mmの違いを掴みかねている子が増えているという現実を目の当たりにして、幼児期からアナログ算数で数の概念をしっかり叩き込む指導の重要性を痛感している。便利な物を教え込むのではなく、不便な思いをさせて、自分で便利な物を発見させるのである。

 例えば、九九にしても暗記させるのではなく、何回も足し算する面倒を十分経験させて、掛け算の便利さに気づかせる。そして発見したことは、必ず明確な言葉で表現させるのである。具体的な事実を言葉で抽象する習慣を「数と図形の融合学習」は重視する。なぜなら算数は図形(アナログ)と数量(デジタル)との融合した世界であるからだ。数だけが先行しがちな今の算数教育は、子どもにとって、決して親切なわかりやすいものではないのだ、ということをご理解いただきたい。

 やはり具体物を用いることが幼児・低学年期の教育の中では非常に重要だ。

 経営学者Robert E.K.は、『The Gold-Collar Worker』の中で「ゴールドカラー層」という概念を提示した。ゴールドカラーの出現は日本の親たちにどのような変化をもたらすのか。

 即答を求める敏捷性を尊重するような教育の下では、小器用な人間は育つかもしれないが、じっくり自分の頭で物を考える落ちつきや創造力のある優しさを育むことは不可能だ。人類が幸せな21世紀を生きることができるか否かは、教育がどのような人材を育てるかにかかっている。

 すべてに技術が優先権を持った感のある今日、小林博士の教えは単に算数への入り口を開くだけではなく、豊かな情操と人間の心を育てる血の通った教育の方法であり、私もそれを目指すものである。

●諌山静香氏プロフィール
大学を卒業後、カナダで英語を学びました。その後、小林博士に空間把握育成を学び、おかげさまでジーニアス・たけのこ会は30年目の節目を迎えることができます。今年5月に「数と図形の融合学習」の社団法人を設立しました。

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