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2015/5 塾ジャーナルより一部抜粋

〜永遠に未完の塾学〜

第7回 商売成功の秘訣は、「客を選ぶ」こと

俊英塾 代表 鳥枝 義則(とりえだ よしのり)
1953年生まれ、山口県出身。
京都大学法学部卒業後、俊英塾(大阪府柏原市)創設。公益社団法人全国学習塾協会常任理事、全国読書作文コンクール委員長等歴任。関西私塾教育連盟所属。
塾の学習指導を公開したサイト『働きアリ』(10,000PV/日)には、多くの受験生
や保護者から「ありがとう」のコメントが。
成りたい人格は「謙虚」「感謝」「報恩」…。

今春の生徒募集は
久々順調

 わが塾が最大の塾生数を誇ったのは、今から十五年ほど前であっただろうか?その後、いくつかの大手塾の進出もあって、少しずつ、少しずつ、生徒数は減少していった。

 募集時期には、少しでも入塾数を増やしたいと、応募者の間口を広げるためにいろいろな手を打った。しかし、どの策も成功を収めるには至らず、まず小学生、次に中学一年生と減少して、塾は活気を失っていった。

 もはや万策尽きたかと絶望しかけていたある日、目にとまった経済誌の記事が私に衝撃を与えた。

 『顧客層を絞ったニッチな商売ほど、永続性に富む』。

 ドラッカーの言葉「ニッチ戦略の弱点は永続性の欠如である」に真っ向から反するこの言葉が、私には神の声に聞こえた。

生き延びる道はこれだ!

 今年の募集戦略をこの一点に賭けた。

 その結果、私の賭けは大成功。募集が順調なだけでなく、今年は新規入塾生の学力も例年になく高い。

傲慢な人間は
客を選ばない

 私は、この記事左下、プロフィールの「成りたい人格」に、『謙虚』を掲げている。いかに私が傲慢な人間であるかの証明である。

 こういった傲慢な人間は、自分は何でもできると根拠なく思っている。

 宮沢賢治ではないが、「学習障害のおそれがある」と聞くと、『大丈夫、私が何とかします』と請け負い、「どこの塾へ行っても成績が…」と嘆く親には、『うちの塾だけは、しっかり伸ばします』と励まし、「あと一か月で偏差値を5ほど上げて」と頼まれたら、『これでさらに塾の名を上げるぞ』といきり立つ。

 神様でも無理!だが、子どもさん相手だと時々奇跡が起こるから、自分の馬鹿さ加減になかなか気がつかない。

塾講師が
一番苦しむのは…

 自分は何でもできると思っているから、教室で、子どもに対しても傲慢極まりない。態度が悪い塾生は、「授業料をいただいている親御さんに申しわけない」という大義名分を振りかざして叱り飛ばす。

 だが、偶然見かけたツイッターの一節で目をひらかれた。

 ある大学教授の言葉「僕は遅刻や授業中に私語をする学生を教壇から怒鳴ることはありません。何故ならそのような学生は説教を受ける感受性を持ち合わせておらず、怒鳴ると真面目で誠実な学生だけが傷付くことになるのです」

 そうだ、授業中に怒ったり怒鳴ったりしないといけないのは、そういう怒られるような人が塾に来ているからだ。

 自分は、勉強を教えるのが好きで、学習した子どもたちが成績を伸ばしてそれで笑顔になってくれる姿を見たいから、この仕事をしているのだ。

 だったら、そういう人だけにお客さんを絞ったらよい。保護者が、自分の子にあった塾を探してそこを訪れるように、塾もお客さんを選択して、自分の塾に合ったお子さんだけにお客さんを絞るべきだ。私は、そう決心した。

得意分野に客を絞る

 私は、自分の塾に何ができて何ができないのか、わが塾は何が得意で何が不得意なのかを、考察した。

 今更ではあるが、自塾の講師の年齢構成から検討を始めた。全員が、経験十五年以上のベテランばかり。真面目に勉強だけをしたくて塾に来ている子を教える技術と能力は相当高い。しかし、子どもたちを上手に乗せたり、わいわい活気づけるには、皆、歳をとりすぎている。

 だったら、私の塾には、勉強だけを粛々と教えるクラスしかありませんよと、大きく打ち出そう。

 そう考えて、募集チラシから、「楽しく学ぶ」といった類の言葉をすべて消した。その代わりに、中一、中二の数学の定期テストの得点一覧をずらっと並べた。これは訴求効果が相当大きかったようだ。

 さらに、今まであったコースやクラスで、自塾が不得意であるにもかかわらず見栄で漫然と残したままであったコースの整理にとりかかった。子どもたちのためになるなら、自塾だけでできないものは他者の力を借りようと考えた。

 それで、ベネッセの『進研ゼミ全国塾提携プログラム』に申し込み、SRJの速読(日本速脳速読協会)に加盟した。児童英語や硬筆習字の導入も検討している。

 自分たちは、自分たちの得意なことだけに精力を傾けよう、それを喜んでくれる人だけをお客さんにしよう。

 そういう思いで募集を始めると、なぜそれが一気に地域の人に浸透するのか不思議で仕方がないのだが、こういう人に来てほしいと願った人しか塾に来ない結果となった。

 『顧客層を絞ったニッチな商売ほど、永続性に富む』を、私は確信した。

少子化の時代だから、
客を絞る

 子どもの数が多かった時代には、黙っていても塾には人があふれていた。その時代でも、実は塾は無意識に各塾の得意分野に特化していた。例えば、よくできる子を伸ばすのが得意な塾は、どの地域にも相当数のよくできる子が存在していたから、意識しないでもそういう子どもたちだけを相手に商売をしていけた。

 今は、そんな時代ではない。はっきりと自塾のできる「狭い」得意領域を明示しないと、保護者と子どもは選択してくれない。

格差拡大の時代こそ、
客を選ぶ

 今や親が教育産業に向ける目は相当にシビアである。可処分所得が減った分、目に見える効果が実感できないと、簡単には財布のひもを緩めてはくれない。

 逆に、子どものためになるとわかれば、真面目な親ほど、親が苦労してでも、買って値打ちのあるもの、役に立つものを選択してくれる。

 その意味でも、塾は自塾だけができることをきちんと明示して、それを選択してくれる親の期待に応えるべく全力を尽くすべきだ。

客を選ぶ方法

 私は、大阪桐蔭中学校高等学校を立ち上げられた森山信一先生を、先生には無断で勝手に尊敬している。その森山先生の有名な言葉が、『初心の共有』だ。

 組織は、その構成員全員が、初心、最初に抱いた理想を共有しないと成功できない。これが先生の教えである。

 私は今年の年初め、自塾の仲間に私の想いを語った。仲間も私に共鳴してくれた。それからは、チラシの片言隻句から授業中の講義内容の端々にまで、「わが塾は自分たちの得意なことだけをする、そしてそれを喜んでくださる方だけをお客様にする」の方針を貫いてきた。

 そうすると、仕事が非常に楽しいことを日々実感している。人間、できないことはできない、のだ。

辛抱が浸透をもたらす

 実は、私のこの方向転換は、今年になって突然急に思いついたものではない。数年前から少しずつ考えていたことの集大成でもある。

 去年の三月、年度初めに、顧問税理士の先生に「この売り上げだとしんどいですよ、どうにかしないと。」と忠告を受けた。

 私は、「先生、今、塾を作り変えているんですよ。たった二名のクラスがあるんです。このクラスで今していることが、私の考えている理想の塾の姿なんです。来年の春には必ず結果が出ます。」と大言壮語した。

 一年間、ずっと二名のままだったそのクラス、今春の募集で一気に二桁に増えた。それも、どの子もほとんど学校ではクラスで一番の子ばかり。

 私は、ほら吹きにならずにすみそうだ。

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