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2014/7 塾ジャーナルより一部抜粋

医学部をタダで卒業できる、自治体奨学金と目的別大学

第3回 
無料で卒業できる医学部の王道?目的別大学への進学について

NPO法人 私立大学医学部へ入ろう.COM 平野 晃康
名古屋セミナーグループ医進サクセス室長を経て、現在はNPO法人私立大学医学部へ入ろう.com代表。私大医学部受験の指導と正しい入試情報の普及に努める。入試情報誌「私大医学部入学試験を斬る2013」(名古屋セミナー出版)を編集・執筆、医療系データブック(大学通信)にコラムを寄稿。

 今回は多額の奨学金が拠出されている自治医科大学・産業医科大学・防衛医科大学校について紹介し、卒後キャリアを含めてこれらの大学に入学することが得と言えるかどうかについてお話ししようと思います。

@大学概要

1)自治医科大学(栃木県)
【自治体奨学金によって学費が全額賄われる大学】

 自治医科大学は、昭和47年に全国の自治体が共同して設立した医療系大学で、地域医療を担う総合臨床医を育成することを目標とした教育を行っています。学費は全額貸与で、授業料を初め、全ての費用が必要ありません。

 また、全寮制で、寮の使用料は月額8,500円、ただし、食費や衣服には実費が掛かります。大学のHPのモデルでは月額85,000円程度がかかることになっています。

2)産業医科大学(福岡県)
【労働者の健康管理に貢献する産業医を育成する唯一の大学】

 産業医科大学は産業医学・産業保健を担う医師の育成を目的として、昭和53年に設立されました。

 私立大学ですが、公益財団法人産業医学振興財団が修学資金を全員に貸与しているため、6年間で必要な学費は1,130万円と私立大学医学部としては破格の安値です。

 様々な産業に従事する人々の職場における健康を守るために、予防医学・治療医学や、職場での労働者の健康管理の方法を学ぶ産業医学というカリキュラムが設置されており、卒業と同時に産業医としての資格を取得できるのが大きな特徴です。

 昔から学費が安いことから有名な大学ですが、実際は1,130万円の負担があるなど、国公立と比較すると決して安い大学ではありません。これに加えて生活費が10万円程度はかかると思われるので、むしろ高額な大学の部類に入ります。

3)防衛医科大学校
【防衛省職員として採用し、医師として幹部自衛官となるべき者を育成】

 防衛医科大学は昭和48年に設立された防衛省の組織で、大学ではありません。学生は特別職国家公務員という身分を与えられ、毎月108,300円の給与と賞与が年間319,000円支払われるうえ、全寮制で制服、靴などは全て貸与あるいは支給されます。入学といわず着校という事からも、大学に入るのではなく、就職するというのが正しいのです。

 防衛医科大学の教育の目的は、将来、自衛隊において医師として幹部自衛官となる者を育成することです。そのため、カリキュラムには防衛医学や総合臨床などの科目が含まれ、1人であっても様々な状況の患者に対処できる力を身に付けることができます。

A 各大学でかかる学費と生活費、返済義務

 次のページに、各大学でかかる学費・生活費と返済義務免除の条件についてまとめました。これに加えて各大学とも6年間で50万円弱の書籍費がかかります。また、自治医科大学は学費がかからないものの、それ以外の生活費として月間8万円程度が掛かりますし、産業医科大学は奨学金が学費の一部でしかないので、授業料として1,130万円がかかり、そこに生活費が加わりますから、月間200,000円以上が必要となります。

 昔から、自治医科大学・産業医科大学・防衛医科大学校は富裕層でなくても通える国公立大学医学部以外の大学として有名でした。しかし、本当の意味完全に無料で卒業できるのは防衛医科大学校のみであることが分かります。

B目的別大学に通った場合のキャリアについて

 自治医科大学は地域医療に奨学金を受けた期間の2分の3倍の年数、産業医科大学は産業医として9年間(初期臨床研修や大学院在学期間を含む)、防衛医科大学は9年間の自衛隊員としての勤務が必要です。

 いわゆるエリート医師のキャリアプランでは、2年間の初期臨床研修後、2年程度の臨床経験を経て、後期研修を3~4年積んで専門医を取得します。この段階では内科や外科、といった大きなカテゴリでの専門医の状態です。ここからさらに臨床をしつつ学会発表や論文投稿を行って、最初の専門医取得から5年目頃にさらに細分化された専門医を取得します。例えば、小児専門医→小児神経科医のように、より細分化された専門医を取得するのです。その後、大学病院や大病院で技術の研鑽を積んだり、海外研修をして専門性を深めます。

 しかし、自治医科大学では卒業後すぐに無医村のような地域での勤務をする義務があるため、上記のような専門的なキャリアを積むのが大幅に遅れ、多くの場合は専門性の高い医師になる機会を完全に逃してしまいます。

 産業医科大学は初期臨床研修2年の後に4年ないし5年の後期研修を受けて産業医の資格を取る事が義務であり、ここを考えるといわゆるエリート医師のキャリアプランと変わりません。産業医の専門家という考え方をすれば、十分に専門性を深めることができます。

 防衛医科大学では9年間のうち、部隊に所属する必要があるのは3年程度で、残りは防衛医科大学病院あるいは自衛隊中央病院における研修です。両病院ともに、先進医療を駆使することから、専門医としての研鑽を積むのが全く不可能というわけではありません。ただし、部隊配備中は症例も限られることから、専門医としては普通の医科大学を卒業した人より遅れをとることは避けられません。

 このように、医師になりたいからと目的別大学に行くと、必ずしも自分の思い通りの将来像を得られるとは限らないのです。これらの大学は、お金のない学生に便宜を図るために無料になっているわけではなく、名前の通り、大学が目指す目的を達成するために奨学金を出しているということを忘れてはいけません。

 このシリーズはお金が無くても大学に行けるか?ということをテーマにしてきましたが、最後に、お金が無くても、工夫すればかなり安く進学することはできるが、一方で、ただ大学に行きさえすればよいのではないということを考えてほしいと言って、筆を置かせていただきます。3回にわたる連載でしたが、さいごまで読んでいただき、ありがとうございました。


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