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中学・高校受験:学びネット

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2014/7 塾ジャーナルより一部抜粋

世は資格ブーム
年間1,000万人を超える受験者が

  塾教師のための資格・検定ガイド
株式会社集学舎 取締役副代表 片岡 秀樹
 
     
 本稿は塾の先生のために書かれた資格・検定案内ですが、今回は英検や漢検といった教科指導に直結するものをあえて外し、異なる観点からのガイドをしたいと思います。世は法律系資格100万人、語学系500万人、趣味的な資格も加えると年間1,000万人を超える受験者がいるという資格ブームです。

《ブラック・ジャック症候群》
からの脱出

 私たちクオードでも、「進路アドバイザー」「防災管理者」「キャンプインストラクター」などユニークな資格をスタッフに取得させていますが、先生方の中には「公的権威にもたれないことこそ、塾教師のあるべき姿。資格ブームなど、時流や権威におもねる馬鹿が踊らされているだけ」とお考えの方もいるかと思います。

 実は私自身も若い時はそんな風に考えていました。そして「実力さえあれば資格なんて不要。教員免許など持たないが、俺の教務力はピカイチだ。たとえるなら、無免許の医者だが手術の腕は超一流というブラック・ジャックこそ塾教師の理想」というようなことを信じていたのです。

 そんな私が《ブラック・ジャック症候群》を脱して資格取得の道に入ったのは、20代の終わりです。当時の私は経験を積むごとに成長を実感できた時期を過ぎ、新しい刺激を求めて首都圏の大手塾数社を転々とした後で、自分の将来像が見えなくなっていました。

 ちょうどそんな折、結婚式で再会した大学の友人たちがやけにまぶしく見えたのです。ある者は記者として各地の現場を飛び回り、ある者は証券マンとして数千万の取り引きをこなし、またある者は建築会社で巨大プロジェクトにかかわっていました。同年代の友人たちが着々と社会人・ビジネスマンとしてのキャリアを積み重ね、大舞台で活躍するようになっているのに対し、教師の生活はいつまでも続く賽(さい)の河原の石積みのようなもの…塾・学校を問わず、多くの教師がいつしか「擦り切れたテープレコーダーのような存在」と化してしまう原因がここにあります。

 危機感を覚えた私は、社会人としての常識を身に付け、教師としてのモチベーションを保つために、資格・検定の勉強をスタートさせました。今でこそ230種300個も資格を持っている私ですが、教員免許も「科目等履修生」制度を利用して、仕事を続けながら取得したくらいで、当時は運転免許すら持たないゼロからの出発でした。

 (なお、「ブラック・ジャック症候群」の呼称は、実は不当です。B・Jは医大卒業後インターン経験もしており、独学我流の人ではありません。手塚に至っては医師免許だけでなく、医学博士の学位も持っていました)

「キャリア教育」としての
資格活用術

 では、授業で資格はどう役立つでしょうか。私は「教員免許(中学社会・高校地歴・高校公民)」所持者ですが、それより、歴史ならば「学芸員」、地理ならば「旅行業務取扱管理者」、公民法律分野なら「行政書士」、経済分野なら「FP(ファイナンシャル・プランナー)」として得た知識を活用することで、生徒たちの興味を引く授業をしています。環境問題には「eco検定」や「公害防止管理者」、福祉なら「ホームヘルパー」、流通事情であれば「販売士」という具合に、授業を盛り上げる資格はいくらでもあるものです。

 なぜこうした話に子どもたちが関心を示すのかといえば、教科書で学んだ知識とリアルな社会との接点を感じ取るからだと思います。資格の話を通して、子どもたちは自分たちが学んでいる知識が、将来役立つ具体的な職業や社会生活をイメージできたのです。

 大切なのはこうした授業が、実は「キャリア教育」そのものだということです。ニートやフリーターの増大にみられる若年層の深刻な雇用問題を踏まえ、勤労観や職業観を早期から育てていこうという「キャリア教育」は、いま教育の分野で最も重視されている領域ですが、残念なことにこれは教師が最も不得手とする分野です。

 マスコミはよく学校の先生の社会性のなさを話題にしますが、自分の教科のことしか知らないという点では塾の先生も似たり寄ったりです。いや、浮世離れの度合いでいえば、手堅く公務員を選んだ学校の先生よりロマンティストの分だけ、始末が悪いと言えるかもしれません。

「社会人基礎力」
向上のために

 話を戻すと、教育と子どもたちの社会化ということは切り離せないのですが、社会経験の乏しい大人がどのように子どもたちに社会のことを教えるのか、これが学校・塾問わず共通の課題であり、私はその克服のヒントが資格取得にあると思うのです。

 現在、私は教務のかたわら、役員として会社経営を行っています。そこでは法務・労務・経理・マーケテイング・研修・物流・システム・安全管理・広報・社会貢献・不動産取引など多岐にわたる業務があり、「コンプライアンス・オフィサー」「ビジネス著作権検定」「金融業務検定」「マーケティング・ビジネス検定」「マナー・アドバイザー」「情報処理技術者」「防災管理者」「屋外広告物主任者」「CSRサステナビリティ検定」「宅地建物取引主任者」等々、資格取得を通じて得た知見が活用される場面も少なくありません。

 こうした領域は一般企業に勤めていれば、多かれ少なかれ日常業務の中で慣れ親しんでいるものですが、それに対して塾教師はなかなかビジネスのいろはが身に付かない仕事です。大手塾では経営機能は本部に一括され、現場の先生は法務も経理も素人のまま、社外文書ひとつ作成したことがなく、取引先と交渉した経験もないという状況でしょう。

 ですから、講師としては優秀な先生だったのに、本部勤務や校長など管理職になった途端マネジメントスキルのなさが露呈するというのがよくあるパターンで、また、大手塾から独立して個人塾を始めた先生がつまずくのも、ビジネスのノウハウに未熟だからです。

 そこで、チェーン塾に属する方は「ビジネス文書検定」「ビジネス電話検定」「プレゼンテーション検定」など、まずは簡単なビジネス系検定から手を付け、社会人基礎力のアップに努めてはいかがでしょう。また、独立をお考えの方や現在個人塾を経営されている先生は、「ビジネス実務法務検定」「税務会計能力検定」「企業情報保護士」など、契約や会計、情報管理などのノウハウを身に付ける勉強を始めるのがいいと思います。

 最後に、特に取得を勧める8つの資格・検定をまとめておきますので、参考にしていただければ幸いです。

片岡秀樹氏 プロフィール

1964年、千葉県生まれ。株式会社集学舎取締役副代表。QUARDちはら台校校長。
塾教師歴26年。首都圏大手塾数社に勤務の後、2003年クオードに入社。国語科主任、社会科主任、『QUARDTIMES』編集長、木更津校校長などを経て、現在に至る。
取得資格・検定合格は、併せて239種316個。(2014年6月10日現在)
(財)社会通信教育協会に「まなびの達人・あそびの達人」として表彰される。

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