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2014/1 塾ジャーナルより一部抜粋

塾におけるストロークの活用法 〜子供の心に栄養を〜

第5回 ストロークを与えるためのスキル

大咲 元延 (おおさき もとのぶ)
1975年に学生起業家として英会話教室を開設。その中で数多くの取組みを実践し、独自のノウハウを確立。現在は中小企業診断士として、さまざまな業種の中小企業をサポート。心理カウンセラーとして経営者の悩み相談も受ける。
『インターネットテレビ「大阪の社長tv」に出演中』
URL: http://www.oosaki-k.com/

ストロークを与えるためのスキル

 第1回から第4回までは、ストロークの重要性について述べてきました。第5回と第6回では具体的にどのようにストロークを与えていけばいいのかという、スキルについて述べていきます。どれも特別なものではありません。しかし、意識して使わなければつい忘れてしまうものばかりです。

 甘いお菓子ばかりを食べていれば体に良くありません。常に栄養のあるものを摂取していないと身体はボロボロになってしまいます。心も同じです。刹那的な面白おかしい言葉のやり取りや人を傷つける言動ばかりの中にいると、心はすさんでしまいます。様々なスキルを用いて、心に栄養を与え続けていきたいものです。

 基本的なスキルとして、「挨拶をする」「話を聴く」「共感する」があります。これらについては、ご理解いただけると思いますので、それ以外のスキルについて述べていきます。

具体的に褒める

 条件付きプラスストロークです。本来は無条件プラスストロークがいいのは当たり前ですが、今、目の前に起こったことに関してすぐに褒められるというのは嬉しいものです。

 そのためには常に目を配っていなければ褒めることはできません。相手からすると、「そんな細かいところまで見てくれているんだ」と自分を大切に扱ってくれていると感じます。褒められたことによって、「よし、これからもっと頑張ろう」とエネルギーが充満し、行動の方向性が定まります。

 ただ、日本人は褒めるのが下手だと言われています。人を褒めると、自分が損をしたように感じてしまうので褒めないというのです。人を褒めるのは最終的に自分に返ってくると考えましょう。多少打算的ではありますが、とにかく1日1回は誰かを褒めてみる訓練をしてみるといいかもしれません。

 他人を通じてその人を褒めていることを伝えるという手法もありますが、塾では褒める対象は子供です。生徒には、直接その場で簡潔に褒めるという方が効果的です。

その人を応援する

 高校野球で観客席の盛大な応援は、球児たちにがぜんやる気を出させ、時には実力以上のプレーを見せてくれます。自分を常に見てくれて、どんな時も応援してくれている人がいるというのは心の支えになります。くじけそうになった時も、「あの人が応援してくれているからもう少し頑張ってみよう」と思うことができます。

 人間は生まれてくるときも死ぬ時も1人です。しかし、誰にも自分の存在を認められずにいるのと、「あなたをしっかりと応援しているよ」という言葉と共に、自分を支えてくれる人がいるというのでは雲泥の差があります。

 「どんな時もあなたを応援しているから」と伝えることで、心がくじけそうになった時に踏みとどまる勇気を持つことができます。応援する人の存在そのものがストロークになります。

信じる

 犯罪者の母親が、本人に向かって「他の人が何と言おうと、私はお前を信じているよ」という場面があります。犯罪を犯したことが明確で、周りの人が本人を責めていても、母親だけは信じて味方になってあげる。側に寄り添っていてあげる。それで犯人のかたくなな心に日が差して救われるそうです。自分を信じてくれている人に背くことはできない。その結果、心が解放され全ての自白につながります。

 人を信じるということは、それほど簡単なことではありません。時には周り全部を敵にするかもしれません。だが状態がどのようであっても、「自分を信じてくれる」というのは、大きなストロークです。

 先生が一人の生徒に向かって、「先生は、君が必ず希望の高校に合格できると信じているよ」と面と向かって言ったとしたらどうでしょうか。その気持ちに応えたいと思うのではないでしょうか。生徒の底力を信じてあげ、直接伝えるというストロークを与え続けてほしいものです。

辛抱強く待つ

 人間には、器用な人とそうでない人がいます。器用な人は結果をすぐ出せます。しかし、必ずしも皆がそうではありません。右往左往して、あちこちに頭をぶつけながら少しずつ進む人もいます。そういう人もいつかは結果を出すことができます。それを信じて辛抱強く待ってあげましょう。

 すぐ結果をだす能力があるのにやらないというのは論外です。人の見極めは大切ですが、その人なりにベストを尽くしていると判断できたら、プラスストロークを投げかけながら待ってあげましょう。

 決して「早く!」とか「まだできないの?」というディスカウントは投げかけないようにしましょう。

アドバイスする

 大人と子供の間の知識と経験の差は歴然としています。大人が持っている知識を噛み砕いて具体的に子供に伝えることで、悩みは一挙に解消され良い方向に進んでいくことが多くあります。伝える内容が具体的であればあるほど、相手にとっては有効なストロークになります。

 ただし注意すべきは、「あなたは○○しなさい」「あなたはこうすべきだ」など指示をするアドバイスは決してしないということです。このように言われた相手は決していい気持ちはしません。指示や命令をしてほしくて聞いたのではないからです。特に今の子供は、「上から目線」を嫌がります。

 アドバイスは、「私はこう思う」という自分の気持ちを伝えることが肝心です。これを心理学では「I(アイ)メッセージ」と呼んでいます。前の指示する言い方は「YOU(ユー)メッセージ」と呼ばれ、強制的、強圧的なニュアンスを含みます。

 自分本位の言いたいことでなく、相手の役に立つ内容が、本当に相手の心に届くアドバイスであるということを肝に銘じなくてはいけません。

笑顔を向ける

 最強のストロークスキルは「笑顔を向ける」です。笑顔でいることは簡単なことのようですが、意外とできていないものです。周りに誰もいないときは笑顔でいなくても構いませんが、たった一人であっても人がいる時には笑顔でいたいものです。

 ニコニコと笑う赤ちゃんに対して、怒った顔を向ける人はいないでしょう。笑顔で話しかけられると、無意識で誰しも笑顔を返してしまいます。逆に仏頂面をして話すと、相手もむっつりとした顔になっています。相手の顔は自分の鏡です。鏡は先に笑いません。

 笑顔は、「私はあなたの敵ではありません」「あなたに危害は与えません」という目印で、最高、最良のストロークです。笑顔は言葉以上のコミュニケーションをします。

 ただし、笑顔はかなり意識をしていないとできません。普通の顔をしているだけで、他人には「あなたは何を怒っているの」と捉えられてしまいます。あなたの味方ですよという笑顔は意識して作っていきましょう。

大人がとる行動

 塾では、クラスの中でたくさんの生徒と向かい合う時と、一人の生徒と向かい合って話をする時があります。それぞれによって用いるストロークスキルは異なります。しかし、常に与え続けていかないといけないという点は同じです。子供である生徒は、ある意味大人である教師を怖れています。それを隠す行動として、暴れたり悪態をついたりします。これに対して、大人が同じ行動をとる訳にはいきません。大人がとる行動は、様々なスキルを用いて常にプラスストロークを与え続けることです。

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