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2013/11 塾ジャーナルより一部抜粋

第7回 教育フォーラム
今後の大学入試制度改革と英語教育の方向性

  2013年7月6日(土)マイドームおおさか 第6会議室
主催/関西教育ネットワーク
 
     
 6月6日の日本経済新聞一面に「センター試験廃止へ」の文字が躍った。高校段階の「到達度テスト」を新設し、AO入試、推薦入試にも活用しようとする検討が「教育再生実行会議」で行われる見込みとの記事だった。小学5・6年生の英語必修化、大学入試へのTOEFL導入など、教育制度改革に向けての議論も活発化している。大学入試は変わるのか? 小・中・高の英語教育はどうなっていくのか?

 さまざまな疑問が出されている現在、文部科学省高等教育局の浅田高等教育企画課長を招き、大学入学者選抜や英語教育に関する現状を解説してもらった。また、そのような状況下で私学はどう生き残りをかけた取り組みをしているのか、注目の龍谷大学付属平安中高等学校の平井正朗校長補佐から講演していただいた。

昨今の大学入試制度改革と
英語教育の実情

株式会社総研コーポレーション 代表取締役社長 岡田 雅氏

 グローバル化とともに企業構造が変化し、それに対応できる人材育成が急務の課題になっています。世界経済は数社のグローバル企業による独占状態が加速し、日本企業にも外国人がCEOとして参入。一部のスーパージェネラリストとわずかなアドミニストレーターが企業を動かしているのが実情です。こういう時代に高度な人材をどう育成するか。「持たざる国」である日本が人的資源をどのように確保していくか。これは国家レベルの問題です。

 高度な人材育成策を進めていくと、当然、大学間格差が生じます。グローバル人材育成は一握りの上位校が担うことになるでしょう。では、その他の大学はどうするのか。政府は大学進学率60%超を目指していますが、進学率が高まれば、大学が学生を育てる道筋は一本では難しくなる。こうした教育環境の中で、英語教育をどう位置づけるのかも大きな問題です。

 これらの課題を考えていくと、センター試験のような統一試験が本当に良いのかという疑問も生まれます。上位校と下位校の選抜法も当然異なってくるでしょう。また、「試験形態」の改革も必要ではないのか。今のように正解がひとつしかない問題を解く形式ではなく、正解に至る過程を記述させる問題も必要ではないでしょうか。

 中国では、30、40代の富裕層は、家庭教師を自宅に呼んで勉強をさせる時代に突入しています。上海師範大学が出版する英語、数学、物理のテキストを見たことがあるのですが、その内容は日本より遥かに高度。日本の大学レベルの内容を中国では高校生が学んでいる。中国の大学入試統一試験の問題を見ても、日本の高校生は太刀打ちできないと実感させられます。海外の留学状況や入試制度をもっと研究した上で、日本の教育制度をどうすべきかを真剣に考える時代になったと言えます。

今後の大学入試制度改革と
英語教育の方向性

文部科学省高等教育局 高等教育企画課長 浅田 和伸氏

 昨年12月に第2次安倍内閣が発足。総理直属の「教育再生実行会議」が設置されました。前回の教育再生会議と似ていますが、大きく違う点があります。今回は下村文部科学大臣が教育再生担当大臣を兼ねているため、司令塔が一つであり、議論や改革のスピードが違います。

 教育再生実行会議は、まず「いじめ問題」に関する第一次提言を提出。これを受けてすでに国会で法律が成立しました。次に「教育委員会制度の見直し」についての第二次提言を受け、現在、中央教育審議会で具体化に向けた議論が進んでいます。さらに5月28日に「大学改革、グローバル人材の育成」に関する第三次提言がまとめられ、6月から「高大接続、大学入試改革」についての議論が始まっています。

 まさにこのテーマの議論が始まるというその日の朝、日経新聞に「センター試験廃止へ」という記事が出ましたが、「議論はこれからであって、まだ何も決まっていない」というのが正確なところです。

 「到達度テスト」に関しては、従来から中教審の高等学校教育部会で検討しています。自民党の教育再生実行本部からも、これを大学入試に活用してはどうかという提言をいただいていますが、具体的なことはまだ何も決まっていません。下村大臣もはっきり仰っているとおり、高大接続の問題は高校などの教育現場に与える影響が大きいだけに、関係者の不安を招かないよう、丁寧な議論が必要です。教育再生実行会議でも、時間をかけて丁寧に議論することにしており、何らかの方向性が出るのは早くて9月、あるいはそれ以降になると思います。

 高大接続というと大学入試だけが注目されがちですが、本来は、高校教育の在り方、大学教育の在り方とセットで考えなければならない課題です。貴重な高校時代の3年間をどう過ごさせたいのか。そのために高校教育や大学教育は、そして高大接続はどうあるべきなのか、子どもたちのために大人が知恵を出し合うべきです。

 私も大学の入学者選抜が今のままで良いと思っているわけではありません。しかし、仮に大学入試の在り方を大きく見直す場合には、必ず十分な準備期間を設けます。決定後すぐに実施することはあり得ません。少なくとも、今の高校生が大学に進学する時に仕組みが大きく変わっていることはありません。

 教育再生実行会議の第三次提言は、(1)グローバル化に対応した教育環境づくり、(2)社会を牽引するイノベーション創出、(3)学生を鍛え上げ、社会に送り出す教育機能の強化、(4)社会人の学び直し機能の強化、(5)ガバナンス改革、財政基盤の確立による経営基盤の強化の5本柱です。

 この半年間、大学改革に関する議論は「グローバル」と「イノベーション」を中心に進んできたというのが私の印象です。アベノミクスの第三の矢である成長戦略を担う高度人材をどう育成し、競争力を高めていくか。日本では生産年齢人口が減少していますが、世界全体では人口は増え続けています。その中で、日本がこれからも世界に伍(くみ)して競争力を保ち、豊かな国として発展していくためには、何としても国民一人ひとりの力を高めなければならない。そのためにも大学改革を含め「教育再生」が求められています。

小学校3年からの
英語教育開始に向け
学習指導要領改訂の
前倒しも含め、検討中

 英語教育については、教育再生実行会議の第三次提言で、小学校英語の抜本的拡充(実施学年の早期化、指導時間の増加、教科化、専任教員の配置等)、英語教員に対する研修や海外派遣の充実、少人数での指導体制の整備、グローバルリーダーを育成するスーパーグローバルハイスクールの支援、海外留学に対する支援の強化などが提言されています。

 7月3日の読売新聞に「小学校の英語教育は中学年から導入、民間を活用」という記事が掲載されました。この中で下村大臣は、「諸外国では小学3年から英語教育を始めており、3年が開始の目安だ」というお考えを述べておられます。第三次提言では「学習指導要領の改訂も視野に入れ、諸外国の英語教育の事例も参考にしながら検討する」とされています。私が校長を務めた品川区では、すでに全区立小学校で1年から英語の授業を行っていますが、そういった先行事例等を集め、研究している段階です。

 大学の入学者選抜でTOEFLを活用すべきという強い意見があります。一方では、TOEFLに限定する必要はない、むしろ日本に合ったものを作るべきだという意見も根強くあります。いずれにしても、TOEFLや英検のように定評があって何回でもチャレンジできる検定は、大学入学者選抜にも活用できると思います。

 国家公務員の採用試験では、2015年から外部の英語試験を導入することが決まっています。我が国の大学の国際化を牽引する「スーパーグローバル大学」を、文科省としても重点的に支援していく考えです。特にそういった大学では、海外大学との連携、外国人教員の積極採用、入学者選抜等での英語外部試験の活用にも積極的に取り組んでほしいと思っています。

 平成23年に公表した「国際共通語としての英語力向上のための5つの提言と具体的施策」では、中学卒業段階では英検3級、高校卒業段階では準2級から2級程度を目標に掲げています。教員に対しては、英検準1級、TOEFL PBTなら550点、TOEICなら730点以上を目標に設定しています。教員の英語力については、教育委員会や私立学校が採用時に一定基準を設ければ、すぐにでもできるはずです。

 日本企業が世界に市場を求めて海外展開していく上で、英語のできない日本人より、母国語も英語もでき、異国での生活経験がある優秀な外国人のほうが良いと考えるのは自然なことです。日本への留学生だけでなく、現地で外国人学生を採用する企業も増えています。こういう状況下で、社会の中で自分の居場所を獲得できるだけの能力を、英語力も含めて身に付けさせていくことが、これからの学校の重要な仕事になります。

 毎年ボストンで開催される「ボストンキャリアフォーラム」という、外国大学に在学、または交換留学で外国大学に留学中の学生、卒業生を対象とする就職フェアがあります。日本企業も多数参加しており、毎年ここで採用していという企業もあると聞きます。留学すると就職活動で不利になるのではないかと心配する向きもありますが、そんなことはない、優秀な学生ならいつでも採用するという企業経営者も多いのです。

私学から見た今後の教育制度改革
〜エンロールメント・マネージメント構築に向けて〜

龍谷大学付属平安中学校・高等学校 校長補佐 平井 正朗氏

 本校への取材では、「組織改革はどうやって行っているのか」という質問をよくいただきます。学校という組織を鳥瞰すると、前年踏襲型の風土、多数決の論理、課題の先送り、OJTの自己研修による第三者の指摘不足、単年度積み上げ型の運営など、まだまだ時代の趨勢に乗り遅れた感があるのは事実ではないでしょうか。学校の活性化には、組織改革などという大袈裟なものでなく、“学校の常識、社会の非常識”と揶揄されないように、当たり前のことを当たり前にやっていくことが我々執行部の役割だと認識しています。

 本校が実践しているのが、「エンロールメント・マネージメント」です。これは入学から卒業までのキャリア教育を総合支援していくスクール・マネージメント・スタイルですが、本校では学校方針に基づき、全教職員が個々の到達目標を明示してPDCAサイクルに落とし込み、授業力、担任力を高める目標管理制度「トライアルプラン」を導入しています。同時に、指導内容を充実し、教師個々の振り返りを徹底するために「授業満足度調査」に始まり、生徒対象・保護者対象・教職員対象の「学校評価」も実施、加えて、「相互授業参観」や「研究授業」を恒常化し、あらゆる角度から現状の課題分析を行い、教員個々が軌道修正できる材料を整えています。

 昨年は、達成率が80%を越えるアイテムが多い反面、「学習スキル」と「自立学習」に課題が散見されたため、2013年度は「授業力と担任力」を大テーマに、授業力向上に向けて、教材・教具の工夫による「教材研究」、生徒の内面理解と授業改善努力による「授業研究」、客観的データ分析による「成果研究」を中テーマとして設定しました。現在、生徒一人ひとりを焦点化して、担任、学年、分掌がチームとなって、それぞれの視点から適切な指導法を検討しています。最近では中学校や学習塾など、さまざまな教育機関の先生方と意見交換する機会も増え、よいものはすぐに取り入れるようにしています。

 「エンロールメント・マネージメント」を推進していくと、教育活動全体が活性化されて、生徒の基本的生活習慣の定着がより安定してきます。今春、本校中学を卒業した学年を例にとれば、精勤率が3年で約2倍に上昇、入学時、偏差値60以上の生徒が約5%であったにもかかわらず、中3では約20%に上昇、また、偏差値40台の生徒も約20%に減少しました。結果、大阪進研V模試の教科別10段階評価で8〜10に位置する生徒が約55%まで増加しています。

 学校としては、上位層を伸ばしたこともさることながら、生徒個々の弱点単元と積み残しを激減させた成果を評価しています。英検では、中3生の91.7%が3級、68.8%が準2級に合格。中学への入学者推移も3年で約3倍になりました。現中3においては4割以上が偏差値60を超えています。また、高校への外部入学者の専願者数も急増しています。これらは組織全体の活性化に伴う相乗効果と言えるのではないでしょうか。

 結論として、“主役”である生徒のためにサポーターである教師がどれだけ汗をかけるか、言い換えれば、建学の精神に基づく学校単位の組織的な取り組みができるかどうか、さらに、真摯な姿勢で生徒一人ひとりに向き合う教師集団の養成ができるかどうかに成否がかかっているような気がします。

※英語教育論については、森上教育研究所のHP「中高大学進学の今を読む 読む進学.com」の平井正朗著「過渡期の英語教育を考える〜TOEFLは高校現場に根づくか?」を参照。

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