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2013/9 塾ジャーナルより一部抜粋

塾におけるストロークの活用法 〜子供の心に栄養を〜

第3回 なぜストロークを与えられないの?

大咲 元延 (おおさき もとのぶ)
1975年に学生起業家として英会話教室を開設。その中で数多くの取組みを実践し、独自のノウハウを確立。現在は中小企業診断士として、さまざまな業種の中小企業をサポート。心理カウンセラーとして経営者の悩み相談も受ける。日本交流分析協会の交流分析士として、各地で講演やセミナーを実施。著書も多数。
URL: http://www.oosaki-k.com/

ストローカーになろう

 人は常にストロークを与えてほしいと願っています。しかし、他人にはどれだけのストロークを与えているでしょうか。

 今日一日を振り返って、誰にどれくらいのストロークを与えたかを書きとめるとしたら、数行で終わってしまうかもしれません。自分自身に対して行うストロークを書くページは、毎日白紙で終わっていることでしょう。

 人はそれぞれ自分の心の中に「ストロークの壺」をもっています。この壺は、素焼きでできているため、少しずつ中身が流出していきます。また、ディスカウントをもらうと、壊れやすい性格を持っています。だから大切に扱い、毎日ストロークを補充していかなければいけません。他人からもらうストローク、自分自身へのストローク。身体が栄養を必要として食物を摂るように、心はストロークを栄養として摂取します。身体が食べ物を食べないと衰弱するように、心もストロークを摂り続けていかないと弱ってしまいます。

 ストロークの壺は常に満たされていることが必要です。満たされているからこそ、他人に良好なストロークを与えることができます。自分が満たされていて、他人にストロークを与えることができる人を“ストローカー”と呼びます。

言葉を尽くす

 アメリカ人の夫婦や家族は、顔を合わすたびに「愛してるよ」とか「大好きだよ」「あなたはきっとできると信じているよ」など肯定的な言葉をかけ合います。元々が、いろいろな国から来た移民の国だから、常に言葉で表さないと相手に自分の意志を伝えることができないということかもしれません。

 その点、日本人はいちいち言葉で言わなくても通じるという「以心伝心」を大事にします。ただ最近は、なかなかこの日本人の美徳が通じない人が多いように思われます。やはり他人に思いを正確に伝えるのであれば、言葉を尽くすことが必要です。

 これは自分自身に対しても同じことが言えます。将来このようになりたいと紙に書いていつも眺めていると、気がつくと紙に書いたようになっていたというのはよく聞く話です。これも自分自身に肯定的なストロークを与えていた結果です。

ストロークを与えない理由

 ストロークを与えることが必要だと、頭で分かっていてもできない人がいます。その中のいくつかをあげ、その対処を考えてみます。

@ できているところよりも、悪いところが目についてしまう

 ほめるよりも先に注意をしてしまうという、指導する立場にいる人にはよくありがちなことです。こうすればもっとよくなると分かっているのに、マイナス面に目が向いてしまいます。認める事よりも注意をすることが先にきてしまうのです。

 注意をして悪いところを改めてもらうことは必要です。しかし相手に肯定的ストロークを十分与えていることが前提です。これを与えずに否定的ストロークである注意をすることは、相手にとってディスカウントととらえてしまいます。

 先に肯定的ストロークを与えておいてから、悪い点を指摘する、また自分で気づかせるようにもっていくようにします。そういう手順を踏まないと、「あの先生はうるさい」「いつも小言ばかりいわれる」と接触を避けてしまいます。これでは本末転倒です。

A ストロークを与えると、図に乗るから

 「ウチの生徒は、ちょっと褒めるとすぐ調子に乗るのです。クラスを引き締めないといけないから」という先生がいます。昔の日本の教育がそうでした。人はストロークをもらうと、心が満たされて安定します。するとモチベーションが上がり、成果の向上につながります。

 ほめられることもなく怒られてばかりいた人と、良いところは認め、悪いところは指摘してもらう人、どちらが成長するでしょうか。アメとムチといわれように、両方が必要です。肝心なのは、ほめた後の対処です。

 ある小学校の先生がこのようなことをしていました。クラス全員の前で、ある生徒の行いをほめた後に、全員で拍手をします。拍手の最後は、まるで手締めのように三度手を打ちます。それが終了の合図となって、気持ちを切り替えるのです。この手締めをしてほしくて、ほめられる行いをする生徒がたくさんでてきたということです。

B そのレベルに達していないから

 先生が思っているレベルが高すぎて、生徒がなかなかそこまで到達していない。だから肯定的ストロークを与えないというものです。レベルを低くする必要はありません。でもそこに到達する努力をしていることは認めてあげましょう。努力の過程が認められるのは学生の間だけです。社会にでれば、結果がすべてです。だからこそ、今のうちに頑張っているところをほめてあげましょう。

 生徒が頑張っているということをきちんと認めてあげることは、生徒にとって大きな励みになります。先生が思っていても口に出さないのは、無視されたのと同じです。無視する事は最悪のディスカウントです。少しでもストロークをしましょう。修正はその後で間に合います。

C 与えても与えなくても同じだから

 このように考えてしまう人は、今まで自分一人の力ですべてやってきたと確信している人です。その過程で、自分はストロークをもらったという記憶がないのかもしれません。自分がそうだったから、人も同じでストロークを与える気にならないのでしょう。

 しかし、人はほめられたり認められたり励まされたりすることで、勇気が湧き、やる気がでます。それもほんの一言の励ましでいいのです。冷静なやり取りは重要ですが、それだけで周囲の人との人間関係が良くなり、元気になるとは考えられません。

 自分は今まで生徒にそれほどストロークを与えていないなと思ったなら、試しに数名の生徒の良い点を認めてあげてください。きっと生徒が先生を見る目が変わってきて、自主的な行動をするようになることでしょう。

D 自分が満たされていないから、与えられない

 現代人は、忙しすぎてゆとりがない人が多いようです。特に塾経営者は、日々の授業のほかに、生徒募集、講師管理、生徒管理、保護者対策などやるべき仕事はたくさんあります。このような中においては、自分の気持ちを維持することで精いっぱいで、人にストロークを与える余裕がない状態が続いています。こういった人の大半は、自分のストロークの壺が空っぽの状態です。

 まず、自分で自分に肯定的なストロークを与えることから始めます。毎日寝る前の30分間、自分の好きな音楽を聞くことで、自分が頑張っていることへのご褒美にします。

 また、他人からのストロークが自分の心に届いていないかもしれません。今日一日、人からもらったストロークについて思い起こしてみましょう。きっと自分が気づいていないけれど、他の人からもらった言葉があるはずです。

 このようにして、まず自分のストロークの壺を一杯にしましょう。壺が満杯になってこぼれ出した時、他の人にストロークを与えることができるようになります。

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