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中学・高校受験:学びネット

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2013/9 塾ジャーナルより一部抜粋

日能研関西本部 進学情報室 室長 森永 直樹氏が語る
中学受験の現場を 見てきた人物が語る
入試の総括と展望

     
 日能研は神奈川県横浜市に本部を置く中学受験に特化した最大手学習塾。日本全国に100校以上の教室を開設し、約3万人の塾生を抱える。中学受験の合格者数は毎年2万件に届くという。人が「学び、育つ期間」の中でも特に9歳からの数年間が大切な時間と位置づけ、「自分の力を使って自分をつくる」経験を重視した学習指導を展開している。日能研グループの一翼を担う日能研関西の進学情報室室長・森永直樹氏は長年、中学受験の現場を見てきた人物。今回は中学受験の意義や私学の真価など、関西圏の情勢を分析しながら語ってもらった。

公立高校の入試制度の
劇的な変化に伴い
中学受験に新たな潮流

 関西における今年度の中学受験者数は1万8,000人弱で、昨年と比べ300人ほど微減した。しかし、中学受験率(統一入試日の受験者数÷小学校卒業生数)は9%と横ばい状態を維持。リーマンショック以前は10%程度で推移していたが、以降、減少の一途をたどり、今年はぎりぎりで下げ止まった感がある。

 また、経済的な理由で受験校の数が減ると懸念されたが、日能研関西の進学情報室室長・森永直樹氏は「唯一、データとしてプラスに転じているのが、総志願者数」だと今年のトピックを語る。午後入試が増えて、それを積極利用しようとする動きが顕著で、併願が増え、1人当たりの受験校が増えたと解説する。受験出願数は多いケースで、男子4校、女子3校くらいだが、実際は入試3日目で、約7割の生徒が入学先を決定しているという。

 特徴的なことは、大阪の公立高校の入試制度の劇的な変化に伴い、公立高校の選択肢が増えて激戦化したため、反対に私学の存在感が増したことだ。

 「トップの公立高校を狙うのは至難の業。だったら、中学から私学を選択するのが得策というムードがあります。公立に向いていた保護者の目線が、少しは私学に転じたわけです」と分析する。

 大阪では京阪沿線の学校、大阪国際大和田、常翔学園など全校が受験率を伸ばしている。府下の男子校は大阪星光学院、清風、高槻、明星の4校だが、午後入試を上手く取り入れ、受験層や校風、地域の違いなど、各校が独自の存在感を確立し、相乗効果で生徒を集めた。日能研のデータによると、明星の午後入試は、兵庫からの受験生が6割で、大阪の受験生を上回っている。明星はカトリック系の学校で、英語教育が盛ん、躾を重視する校風、地元校・六甲と似た教育環境であり、併願校として選択しやすい流れができたのではないかと考えられる。清風の受験率向上も著しい。朝礼での校長講話に代表される仏教に根ざした人間教育も魅力の一つだろう。

 対して、女子の学校選びに近年、変化が生じていると森永氏は指摘する。自立した女性を目指す傾向にあり、進学だけでなく、卒業後の進路まで強く意識し始めている。関西では進学校の範疇で考えた場合は、比較的女子校は少なく、共学に流れるのが現状だが、進学校としてアピールするか、自分磨きの観点で6年間教育をアピールするのか、どちらかでないと生き残りは難しい。生徒を集めているのは、兵庫では甲南女子、大阪は帝塚山学院。女子校が軒並み人数を減らす中、躍進している理由は、女子教育を前面に押し出した思い切った教育方針にある、保護者の目線がそこに向けられ、支持されていると読む。

 中学受験において、兵庫はこれまでは順風満帆の歴史を刻んでおり、灘、甲陽学院という名門校を筆頭に私学あっての兵庫という認識が強かった。しかし、公立高校受験の盛り上がりを追い風に、大阪が攻めの姿勢で健闘したことに直面し、兵庫が本格的な対戦モードに入ったという。総じて、大阪が他府県からも生徒を集めた分、他府県が苦戦を強いられた形だが、「来年は兵庫が話題をつくってくれるでしょう。関西の私学が刺激し合って、市場の発展につながればと期待しています。我々塾業界もより発信力を強めていきたい」と森永氏の言葉に力がこもる。

 各校とも積極的に学校改革に取り組んでいるが、「選ばれる私学」になるには、保護者の期待にどう応えるかを明示できなくてはいけない。保護者の期待とは、高い学力と豊かな人間性の育成であり、それを実現するためのプログラムがどのように組まれているのかが焦点となる。

 「やっぱり私学にはかなわない」と思わせる何か、ICT(教育情報通信技術)やiPadを導入してプレゼン能力を磨く、高い耐震基準を満たした校舎の建設など、予算投入できる私学の特徴をリアルに表現するのも有効だろう。さらに、それをいかにPRするかという発信力も問われている。

受験の意義を
アピールするために
塾の果たす役割は大きい

 日能研では9歳からの数年間を「人として学び、育つ大きな可能性を秘めた時期」と位置づける。自我を激しく主張する9歳前と思春期を迎える12歳以降との狭間期は、コミュニケーションを育む素地が芽生える頃。そんな子どもたちに学習を通して、「9歳の壁を乗り越える」指導をしている。

 森永氏によれば、保護者アンケートで9割以上が「中学受験を体験して良かった」と回答したという。その理由として1番に挙げられたのが「学力」がついたこと。難しい入試問題を解いて、合格点が採れるまでになった子どもを誇らしく思う気持ちが綴られている。2番は「子どもの成長」。立ちはだかる難問に向かう子の姿を見守り、伴走した親ならではの実感だろう。3番が「志望校への入学」。その後に「親子の絆」が深まったことと続く。

 中学受験が「志望校への入学」の歓びに勝るものを経験させることに驚かされる。それは異口同音に受験を振り返る生徒の声と重なる。「一番勉強したのは小学校時代。好奇心の塊のような時代だから楽しかった」と悲壮感はない。彼らは大人になってからも「中学受験を体験したことが、今の自分のベースになっている」と幼い日の原風景として心に刻んでいるようだ。

 中学以降の学習はどうしても暗記中心になりがちなのに対し、中学受験は思考力を鍛える要素が強く、その機会がある場合とない場合では、「学び、育つ」成長の度合いに大きな差が出ると森永氏は語る。中学受験は入学できる学力だけでなく、将来に向け、伸び代のある学力をつけると言えるのかもしれない。

 また、「成績が伸びない」「誰かに抜かれるのでは」というつらい現実に直面し、自分と向き合う貴重な体験を積むことになる。だから、人としても成長できるという側面がある。

 日能研は小学3年から6年までを5段階に区分したステージ制を採用している。授業は集中力を増すことに重点が置かれ、新しい知識を得る喜びを体得させて、学習意欲につなげる。講師と生徒との対話を重視するのは、一方的な授業では思考力・運用力が養われないからだ。また、勘違いや思い込みを防ぐため、予習は奨励しないという。

 講師陣の配属にも慎重だ。得意とする指導分野を見極めて、適材を適所に配属する。低学年を引き付ける授業と6年生を引っ張る授業とでは、必要とされる資質が全く異なるからだ。そのうえで「生徒の力をどれだけ伸ばせるか」が重要で、全員に最難関を突破させる指導力が求められるわけではない。

 進路指導については、原則保護者の意向を重視する方針だが、中学受験が短期決戦となった現在、上手く指導しなくては、生徒が進学の道を失う危険性もある。そのための情報発信は頻繁に行い、合格に向け、全力で応援するのが塾の役割と、そのスタンスは明快だ。

 設立36年を迎える日能研関西。現在25教場で6,000人の指導に当たる。今後は大規模校を拠点化するより、通塾の安全面から、中・小規模であっても地域に根差した教室を数多く展開する予定だ。他塾の進出も歓迎し、同じ目標に向かって歩むいい競争相手として、切磋琢磨する関係でありたいという姿勢だ。

 森永氏の目標は塾の連携に留まらない。中学受験率の回復を意識した活動を学校と連動し、強化したい考えだ。例えば「男子校の良さをすべてご覧いただけます」と中学受験の意義を積極的に訴え、学校説明会だけでなく、講演会などのイベントも含め、学校の特色をアピールする手段を模索している。

 「府県をまたがる行動が制約される学校に代わって、塾が一致団結すれば効率的です。これからは塾の果たす役割は多岐にわたるでしょう」と意欲をみせる。

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