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中学・高校受験:学びネット

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2013/9 塾ジャーナルより一部抜粋

SAPIX教育事業本部本部長 広野 雅明氏が語る
入試の本質を見極めた者が語る
私立中学受験の動き

     
 創立25年を迎えるSAPIX(サピックス)は首都圏で43教室、関西圏では3教室を展開する難関中学受験に対応する塾。単に知識を学ぶだけではなく、生徒自身の目でさまざまなことを観察し、その中で疑問を持ち、それを課題として自ら解決する能力を養うことを目標に、詰め込み型受験塾とは一線を画した指導を行っている。その受験のプロが見た現在の中学受験。『戦争』と言われた時代を過ぎた今、私立中学が受験生に選ばれるには何が必要になるのか。現在も第一線で生徒指導にあたる教育事業本部 本部長・広野雅明氏に話を伺った。

進学実績だけでなく
付加価値にも着目
厳しくなる私学選択の目

 今、私立中学受験は、空前と呼ばれたブームが落ち着き、受験率も安定している。景気がわずかながら上昇傾向に転じてきたのにもかかわらず、受験生の数は大きく伸びる気配はない。この状況を「公立校と私立校の価値が近づいてきたため」と、サピックス教育事業本部の広野雅明本部長は分析する。

 少子化が指摘され始めてから十数年近い年月が経つ。その結果、公立中学へ進学する生徒の絶対数は減り、ゆとりができた中学では、生徒一人ひとりにかけられる時間が増えた。また、親も子どもの数が少ない分、しっかりとした躾をするようになり、以前のような荒れた公立中学の姿は少なくなった。さらに安定した環境で指導された子は、学習レベルも高く、首都圏では公立校からの難関大学合格者が増えている。このため、私学でも外観などのハード面ばかり整えて見栄えをよくしていることより、ソフト面、指導内容、保護者のニーズにいかに応えていくかが重視されるようになってきた。

 「学校説明会の参加者も、講堂の壇上で説明する校長先生や広報担当の話だけでなく、校舎の内部の見学や、実際に現場にいる先生や生徒の話を聞いて情報を集め、志望校を決めるようになっています。この中で私学が生き残るには、その学校に行けば得られる何らかの付加価値が必要になっているのです」

 私学では学校を通じて、人の絆を結び、人脈という無形の財産を得られる場合がある。例えば、医学部に進学したいと公立の学校に通う女子生徒が考えたとき、学校や塾を通じて情報を得ることはできる。しかし、同じ学校に医学部を目指す女子生徒はさほど多くない。そのため、どのように勉強を進めるか、効果的な学習法は何かなどを相談できる、同じ目標を持った女子の友人や先輩が少ないというハンデがある。しかし、例えば私立の豊島岡女子学園なら、多くの生徒が医学部を目指しており、大学や病院、企業などにもOGが多いため、周囲の手を借りながら受験できるという有利さがポイントとなる。また、難関大学へ進学実績以外でも魅力的な付加価値があれば、生徒の人気は高い。例えば雙葉学園なら、英語の他にもフランス語教育もあり、さらにキリスト教に基づく指導と日本女性としての立ち居振る舞いを授業を通して身に付けることができるので、海外進出時に活躍できる糧になる。

 また、中学から高校時代の思春期には、同時に反抗期を迎える生徒も多く、家庭での学習指導が難しいとされる。このため、親の代わりとなって、しっかりと生徒を指導してくれる教師がいることが保護者の安心につながる。これを充実させているのが広尾学園。学習塾のスタイルを取り入れて、生徒一人ひとりの進度にあわせて行われる繰り返し型の小テストや、帰国子女を受け入れて、生徒同士の刺激の増加、土曜講座の充実化などを最先端の設備を用いて実践し、人気を上げている。

 「現在、私学の中でも注目されているのが、きっちりとした学校改革を進めて、進学実績をメキメキと上げている学校です。攻玉社や世田谷学園は、以前なら残念なことに本命の学校に行けない子が『仕方なく』行く学校と言われていました。しかし、内部改革に成功した現在では、第一志望として受験する生徒も少なくありません。また、埼玉の開智学園のように、中高一貫でありながら、一定の水準をクリアすれば、高校の外部受験も可能にするシステムを取り入れ、人気を上げている学校もあります。

 一方、中央大学附属横浜や東京都市大学等々力のように、大学の系列化になり、進学システムを強化して学校改革につないだ学校も注目されています」

 下火に落ち着いたとはいえ、2013年の中学入試人口は微増。2014年も公立中高一貫が人気にはなるだろうが、入試全体の人口が大きく伸びることは期待できない。その中で、入学希望生を増やすため、多くの私立中学が学校改革を今も着々と続けている。「高額な費用などを伴うハード面の改革などは一朝一夕ではできないが、ソフト面の改革が進んでいるなら、うまくPRすることで、受験生数は増加可能だろう」と広野本部長は語った。

中学入試の本質を知り
合格した後でも
人生の糧となる指導を

 広野本部長が所属するサピックスでは、平成元年に小学部を設立。この25年間で、首都圏で43教室、関西圏では3教室を展開し、難関中学受験合格に力を注いでいる。卒業生は年間5,000人前後、開成や麻布などの都内の有数の進学校だけでなく、ラ・サールや灘中といった全国区でも屈指の難関中学にも合格生を輩出している。ただし、中学受験合格をゴールとする受験対応のみの詰め込み教育は実践していない。

 この指導法は、中学受験の本来の意味を知っているからだと、広野本部長は語る。

 「中学受験で合格しても、そこからが本当のスタートなのです。中学入試をさせる保護者の方々が本当に望んでおられるのは、6年間で志望大学に入る学力をつけるだけではない。子どもを公立の中学・高校で育成する以上に、いろんな意味で大きく育ててほしいということ。ですから塾では、その助走としての中学受験指導を行う必要があるのです」

 多くの中学受験対応塾で行われている長時間・多数回通塾による指導は、サピックスでは行われていない。1週間での通塾回数は低学年で3回。その後、学年ごとに増えていくが、6年生後半でも週4回だ。これは長時間授業を受けると、生徒たちが理解した気分になってしまうのを防ぐため。その代わり、家庭での課題を多く出し、授業で習った内容を塾のない日に復習させる。これにより、自分の力で本当に理解できているかを確認し、知識を定着させることができる「効果的学習」が実践されている。さらに、その知識の定着度を次の授業のテストで確認。この繰り返しで、少しずつ確実に生徒の学力のレベルアップを導いている。

 「教えすぎない、教わりすぎない授業。これが生徒自身の復習する習慣につながっています」

 復習による知識の定着と自立学習の姿勢、さらに講師はもちろんのこと、他の生徒の話を聞いて考える集中力も身に付けられるサピックスの授業方式には、保護者の信頼も厚い。また、どうしても家庭学習では学習量が足りない、理解できない部分を教えてほしいという生徒の中には、「プリバート」という名称の個別指導システムを受講することもできる。

 しかし、それだけ信頼が厚くても、基本的には進路相談は受けるが、いわゆる「進路指導」は行っていないと広野本部長は言う。本人の希望する学校の求める成績と、現在の学力との差を考え、何をすれば合格ラインへ導けるかを考えるのが、塾の本来の仕事なのだ。そのため、中学の情報はしっかりと入手し、どの学校が6年間という時間の中で、中だるみせずに最後まで面倒見よく子どもを引っ張ってくれるかを判断して生徒に助言している。

 「授業で教える大切な問題や要点は何年経っても変化はありませんが、それに対する生徒の見解は、毎年さまざまに変化します。また、保護者の方々もより良い指導を子に与えるためにさまざまな新しい要望を出されてきます。そして、それに応えられるよう、我々も努力をしています。生徒たちへの指導を通じて、私たち講師陣は、保護者から鍛えられ、生徒からは成長させてもらっているのです」

 都立の一貫中学は現在11校。例年、多数の受験者を集め、東大現役合格生を輩出するほどレベルも高く、私立中学との併願受験を希望する生徒も多い。もちろん、東京以外でも同じことがいえる。だが、両方合格した生徒の中には、都立ではなく、あえて私学を選択し、入学する子もいる。生徒に選ばれる学校になるため、学校関係者が一丸となり、より良く個性的な学校改革を進めていくのが、これからの生き残りの必須条件となるだろう。

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