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中学・高校受験:学びネット

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2013/3 塾ジャーナルより一部抜粋

セミナーレポート 穂塾(すいじゅく)から学べ!
自習時間と補習授業をシステムに組む 置き去りにしない、わかるまで教える

     

少人数制学習教室 穂塾(大阪府和泉市)
塾長 西村 治也さん

岸和田市出身。昭和37年生まれ。大学時代に塾講師のアルバイトを経験し、子どもと共に成長できる喜びを見出す。卒業後、塾講師として25年勤務した後、平成23年に「穂塾」を開塾。昨年より、泉州私塾連合会・副会長を務め、活躍のフィールドを広げている。

 大学卒業後、塾講師一筋に歩んできた西村治也さん。一昨年、経営・指導に自らの方針をはっきり打ち出すため「穂塾」を開塾。時代とともに、何事にも指示待ちの態度でいる生徒が多くなっていることに危機感を持ち、「自ら考え、行動する能力を学習を通じて身に付ける」という教育理念を掲げる。生徒のやる気にスイッチを入れるため、「できない生徒を置き去りにしない、わかるまで教える」時間的、心理的余裕が生まれる教育システムを導入。今、その成果が芽吹き始めている。

自習の習慣が身に付き
数学20点が90点の生徒も

 明るい日射しが注ぐ教場は一戸建ての2階にある。1クラスの定員8名の机が並ぶ教室と絨毯が敷かれた自習室に分かれ、階下は6台分の駐車スペースとして使われている。外観を仰ぐと大きな看板が目を引く。車道から道1本隔てた住宅地の一角に建つが、窓は二重サッシを採用し、勉強に集中できる静かな環境が保たれている。

 穂塾は地域密着型学習塾で、中学生は郷荘中学校・和泉中学校の生徒限定で指導している。学校の授業内容や進度に合った授業展開ができることが大きなメリットだ。授業料は、小4は国・算2教科で5,500円、小5・6は英・国・算選択で各5,500円、中1・2・3は英・数必須で2教科1万5,000円。中3を除き、塾生の冬期講習・春期講習は無料となり良心的だ。入塾のきっかけをアンケートで問うと、一番は目立つ看板で、通塾エリアにアピールする広告塔になっている。

 自学・自習の精神を育むために導入した教育システムの1つが、毎週土曜に設けた自習時間。「どうすれば勉強がわかるようになるのか?」「家では勉強する気になれない」といった疑問や悩みを抱える生徒が多いと感じた西村さんは、問題集がずらり揃った自習室を完備。問題集やプリントを使って自習する生徒の傍らで、2人の講師が連携し、どの教科の質問にも答える。わざわざ塾に足を運ぶことで、また仲間を意識することで、競い合う気持ちが芽生える。自由参加だが、テスト前になると満席になる。

 中2の男子生徒の例を挙げると、入塾した1年前は数学が20点に満たなかったが、自習の習慣が身に付くうちに成績が上向いたという。西村さんは「何が良かったんかな?」と問いかけ、「僕、きっちり復習したからかな」という本人の気づきを大切にし、「そうやで!」と勇気づけて、学習の方向性を示したと振り返る。本人の継続的な努力が実り、最近の試験では見事90点を獲得。自信がつくと学習意欲が増し、5教科とも成績が良くなった。この成果は同じクラスの生徒たちにもよい刺激になり、「頑張れば成績は上がるものなんだ」というよい見本になったという。

 さらに、毎週月曜は指名制の補習授業(無料)に充てている。授業についてこられない生徒に対し、授業の前後でフォローするには時間的に無理がある。「わかるまで、できるまで」腰を据えて教えるには、補習授業をシステムに組み込む必要があると西村さんは考える。欠席時の振替授業や途中入塾の生徒にも補習授業を活用し、通常授業の進度に遅れを取らないよう配慮されている。

●運営のポイント
勉強に集中できる環境を整えるため、自習室を完備し、騒音対策を講じる
自習時間と補習授業を教育システムとして導入
中学校を限定し、学校の授業内容や進度に合わせた授業を展開する

1クラス定員8名を厳守し
ノートの取る時間を設ける

 穂塾の授業スタイルは少人数制で、定員8名を厳守している。なぜ8名にこだわるのか?それは西村さんの長年の塾講師の経験で、授業中の生徒の様子に目が届く人数だと確信するからだ。また、良いライバル意識をもたせることが、生徒の成長につながると考え、個別指導にしない。

 西村さんは教壇に立つと、常に生徒の手元をチェックする。どれだけ授業に集中しているか、理解できているか、ノートを見ればよくわかるという。説明が一段落すると、ノートを取る時間を設けるという形で授業が進められる。書くことが授業のスピードに追い付けないと、聞き流すだけになってしまうからだ。内容を理解して書き留められたノートは復習の時の大事な道標になる。

 「ノートが上手く取れるようになると、不思議と成績が上がります。入塾時のノートと卒業する前のノートを比較すると、その差は歴然です」と西村さん。

 一方通行にしない丁寧な授業進行、補習授業・確認テストを実施する時間を支えているのは、1授業90分授業(中学生対象)だ。一般的な80分授業に比べ、年間で約600分の余裕が生まれる。

 生徒との付き合い方にも西村スタイルがある。

 「塾に通う生徒は小4から中3までの多感な年頃。何気ない一言に傷つきもします。威圧的にならない、他の生徒の前では注意しない、言いたいことは7割に抑え、後は自分で考えさせる、を心がけています」

 この心配り、ほどよい距離感が生徒や保護者との信頼関係を築いている。

 開塾以来、大阪南部地域の個人塾で構成される泉州私塾連合会に所属しているが、昨年、西村さんは投票により副会長に任命された。進学ガイダンスをはじめとするイベント、親睦会などを通して他の塾長や塾生と交流し、貴重な経験を積んでいると話す表情は輝いている。

 「穂塾」の名は、故事「実るほど頭を垂れる稲穂かな」に由来している。

 「学問や徳が深まるにつれ、人は謙虚になります。その意味を生徒にも伝えていきたいですね。塾業界も激しい競争社会ですが、私の戦略は誠実さしかありません。授業や人との接し方にも、誠実を心がけています」と西村さんは語ってくれた。まさに「穂塾」の名は体を表している。

●経営のポイント
授業も人との接し方も誠実を旨とし、生徒や保護者との信頼関係を築く

●指導のポイント
確実に生徒の様子を掌握するため、1クラス8名を定員にする
生徒同士によいライバル意識をもたせる
ノートの取り方を指導することで、成績向上につなげる

 

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