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2013/3 塾ジャーナルより一部抜粋

「今、オプション教育がおもしろい」
アンケートに見る生徒募集への貢献度

     

 5教科(国、算・数、理、社、英)をメインに指導し、学力向上や合格実績を打ち出すノーマルな生徒募集の方法では、生徒は集まらなくなっている。少子化が尾を引き、塾にとっては死活問題だ。だが、塾長も手をこまねいているわけではない。中には「オプション教育」を導入し、成功している事例もある。

 今回の特集は、アンケートの結果を元に「オプション教育」の導入状況や生徒増につながっているかを検証し、今後の可能性を探る。

 最初に、オプション教育という表現だが、教育業界ではあまり使われていない。オプションとは「選択権」「自由な選択」などを意味する単語で、日本では車関係やコンピュータ用語として、よく使われている。しかし、本文ではあえて「オプション教育」(以下オプション)という表現を使わせていただく。

 特集を組むにあたって意見を聞く機会があった。愛媛で3教場を展開する塾長は「オプションという考え方ではなく、メインの指導教科から離れて、新しいメインディッシュを作るという考えもある。決して5教科にこだわる必要はない」と柔軟に話す。塾業界の専門家は「いろいろと商品を並べることには賛成しない。本業に資するのであればいいが」との意見だ。

 実際のところ、どうなのか。塾ジャーナルでは読者500人を対象に1月の上旬から中旬にかけてアンケートを実施した。テーマは「この時期だからこそ必要な差別化」であったが、生徒数50人以上の塾から1,000人以上(指導対象学年は幼稚園から高校生まで)という塾まで幅広く、約4割の回答があった。ただし、大手塾は教育産業という位置付けで商品を自社開発しているため、回答いただいた塾の規模は(例外もある)、個人塾から中堅塾と考えることができる。

圧倒的に多い
オプション教育の導入

 まず、「オプション教育を導入していますか」には84%が「導入している」。「導入していない」が16%と圧倒的に「導入している」が多い(グラフ@参照)。「導入していない」と回答した塾の中でも、「今後、導入を考えていますか」の質問に71%の「考えている」という回答だった(グラフA参照)。これだけをとってみても、塾長たちのオプションへの興味は大きいようだ。一番重要な「生徒募集に役立っていますか」には58%が「役立っている」という結果であった(グラフB参照)。

 どれだけのオプションを導入しているかには、この場合商品と呼ばせていただくが、なんと最高が8商品と回答する塾があった。一番多かったのは1商品、その他順番に2商品〜7商品という結果が出た。導入しているオプションの内容だが、人気の上位ベスト3は検定で占めた(グラフC参照)。ダントツに多かったのが漢字検定、次いで英語検定、接近して数学検定の順となった。これらの三大検定をオプションというには異論を唱える方もあるかもしれないが、先述の塾の主要教科指導をメインとするならば、検定はそれ以外ということで、お許しを願いたい。

 その他、数は少ないが、思考力検定や日本語検定の名が上がった。思った以上に多かったのが作文教室だ。国語力の強化や地域によっては入試に出題されるということも、導入の要因のようだ。そして英会話教室は、社会人対象という塾も含め、作文についでの順位となった。

 次に回答のあった「導入には勇気のいる」理科実験教室と「時代を象徴する」ロボット教室だ。差別化ということでいえば、1、2を争うオプションだろう。ロボットには夢があり、子どもたちにはあこがれだ。それを自ら組み立てられるとなれば、やってみたいというのは当たり前。また、理科実験教室は学校での実験が少なくなり、それでは塾でということで出番となった。個人で小豆島に設立された藤原学園実験教育研究所の「星くずの村」はあまりにも有名だ(26頁記事参照)。反面、取り組みやすい速読やパズル道場も能力開発につながることもあり、人気が出てきているため見逃せない。習い事の一つとして、単独の教室が多いそろばん教室や習字教室も塾と併用して開校しているところが増えている。特にそろばんは開校のハードルが低く、生徒募集に貢献していると聞く。

 結果、差別化のためのオプションといえども、塾に求められている「子どもたちの学力向上、勉強に対するモチベーションのアップ」などに塾長たちは忠実であることがわかった。

三大検定にみる
人気の要因

 誰もが知る認知度の高い三大検定。正式名称は日本漢字能力検定(漢検)、実用英語技能検定(英検)、実用数学技能検定(数学検定)。今回、トップに支持された漢検は漢字という特性から子どもから大人まで親しまれている。平成23年度の志願者数は229万人。個人受検だけでなく、塾、学校、企業などでの団体受検が多く、受検者の年齢も幅広い(3歳〜101歳)。合格者数を見ると117万人。約50%だ。一番受検者が多いのが3級、次いで4級、準2級といったところだ。

 学習塾からの受検の現状はどうだろうか。「平成23年度では約48万7,000人、塾数(団体数)だと約1万4,000団体ですから、全体の志願者からしても、かなりの割合です」と同協会は話す。塾でも条件を満たせば(実施規程あり)準会場として登録でき、公開会場に行かなくても、自塾で受検できることも受検者が多い要素だろう。特に塾が漢検を導入する理由の一番としては「中学生・高校生は受験を見据えて漢字検定を受ける方が多いですが、小学生の場合は学習サイクルができるという特徴があるからだと思います」とのこと。受検をし、合格することでさらに次の学習へとモチベーションを高めることができる検定は、塾の先生にとっては強い味方だといえる。塾の中には塾生以外に保護者や地域住民にも漢検受検を勧め、地域活性化までつなげているところもあるというからたいしたものだ。

 以上のことを考えると、漢字というのは身近でやりやすい題材なのだろう。

 導入数では漢検に次いで2位となった英検。協会の創立は東京オリンピック開催1年前1963年(今年50周年)というから、三大検定の中では一番の老舗だ。同年に実施された1回目の検定には3万7,663人という、初年度としては予想以上の志願者があった。

 「翌年のオリンピック開催に向けて、日本がいよいよ国際化に向けて英語が必要だと認識されたこともあるのでしょう」と協会担当者は分析をする。

 年間の志願者は現在約230万人。志願者の推移は17年前がピークで、その後、上下しているものの、最近はまた増加しているという。小学校の英語導入が影響しているようで、10年前と比較して11万5,533人から19万3,711人と1.7倍の増加だ。塾からの志願者は同じく2002年度と2011年度の比較をすると、1.6倍の伸びだという。これは10歳までの子どもを抱える英会話学校や塾が団体受験を行っている結果をもとに比較したものであるから、それ以上の年齢を含めるとさらにアップすることは間違いない。

 中学からの受検というイメージがあった英検だが、最近では海外旅行などでシルバー世代の志願者も増えており、英語がより身近なものとなっている。

 導入数3位に入った数学検定。第1回の実施日が1992年と、英検の1963年、漢検の1975年と比較すると後発ではあるが、近年の躍進ぶりには眼を見張るものがある。

 初回の受検者数5,500人から2006年以降は年間30万人を超え、検定を実施する教育機関や学校も年間1万5,000団体を超えた。「昨年の受験者数は約31万7,000人。団体受検の条件が10人から5人と変わり、受検しやすくなったこともあります」と担当者はいう。財団法人設立以来の累計受検者数は350万人を突破している。11年前に導入した塾は「数学力を測る指標になるし、合格するためにきちっと履修をさせます」と話す。同協会が実施した調査では「数学検定の活用は、学習意欲の向上につながるか」に対して、実施校の先生は95.7%、受検者は91.4%「つながる」という高い評価が出ている。

 それぞれの評価が出たものの、多くの塾が導入している現状では「もはや三大検定は差別化の要素にはなりえないのでは…」と回答する塾長もあり、これもまた然りだ。

オプションを
メインの教科として

 工夫をすることで、生徒を増やしている塾がある。小1から小6生を対象に個別指導・スタディルームを運営している京都の海星学院は、国・算・英の科目に作文や右脳というオプションをメイン教科として導入、生徒募集に成功している。江川塾長は「夏休みの宿題に作文が出ますが、学校から書き方について具体的な指導はありません。作文が書けない子が増えており、保護者は切実です」と話す。そこでニーズを察知し、作文・右脳(能力開発)を主要教科として扱ったという。

 週1回の通塾であれば、最大2時間授業を受けることができるので、2科目から4科目(選択制)習うことも可能だ。授業料は週1の受講料で済む。授業料は当初、月額3,500円に設定したため、保護者からは「なぜ安いのか」と不審がられる始末。段階的にアップしたら納得してもらったというから、おもしろい。さて、その後の生徒数だが、3年後4,920円にした途端、一気にブレイクし、30人程度だったのが100人を超えるようになった。ただ、これで儲けを得ようとは思っておらず、中学への進級につなげたいという考えだ。

 同じく埼玉で集団指導の童学創舎が、速読教室をオプションという形ではなく、国語の授業に合体させ、受講率を上げている。井上塾長は開塾時、子どもたちの国語力の低さや本をきちっと読むことができなかった現状に驚きを隠せなかったという。どうすればいいかと模索していたときに速読に出会った。塾長が小さいときに、まとめて読んだ方法と同じだったこともあり、「まさにこれだと思った」と話している。

 「授業料のことや時間が増えるとなると、子どもたちにはできないだろうなと思い、通常のコースの中に組み込みました」。これで授業料も押さえることができた。

 80分の国語の授業で、前半40分を速読講座。後半40分を国語授業。集団指導にこだわる塾長だが、国語だけは個別指導とした。「私の中ではあくまでオプションですが、コース設定のときにオプションにしてしまうと、良いものが受講されずに終わってしまう。メインに入れることで受講率のアップが期待できます」。

 生徒数は現在90人超、うち速読は70人近くが受講している。

小学生の獲得に強い味方

 導入塾ベスト10内に入った脳トレ算数教室「パズル道場」は、北海道から沖縄まで約900ヵ所の塾で実施されている。小学生を対象としているだけに、中学生をボリュームゾーンとした塾にとっては小学生を獲得できるとあって、魅力的なオプションとなっている。「簡単にいうとパズルという遊び感覚あふれる教材や、教具・ツールを使って“センス”の育成を図るもの」と担当者。例えば空間把握能力や仮説思考能力を遊び心を通じて養うことが狙いという。子どもたちの意欲を喚起する仕掛けには事欠かないだけに、小学生が喜んで通いたくなるのは当然だ。

 パズルが見えない学力の育成と位置付けるなら、集中できる学習姿勢と圧倒的な暗算力をつける見える学力の育成をするそろばん教室。開校のハードルも低く、頭角を表してきた。岡山で集団と個別指導を行っている津高進学ゼミは、一昨年に4歳児から対象にそろばん速算教室を開講。1ヵ月で33人の生徒を集めた。講師は経験のある主婦にお願いしている。その生徒たちが高学年になったとき、塾にシフトしてくれるのが楽しみだという。

 その他、アンケートの回答にはなかったが、塾とテニス教室(津山)の両方を運営しているところや柔道を指導している塾(千葉)もある。対象は低学年から社会人までと幅広い。

差別化教材の2大巨頭

 上位には入らなかったものの、差別化の先頭を走る理科実験教室。「科学するこころを育てるキッズラボ」は、創立21年目、FC運営11年目。商品化しにくいと言われていた理科実験をパッケージ化したもので、コアなファンが導入し、生徒を集めている。現在は大阪府豊中市を中心に直営3校とFC55校(理科実験のみの運営は3校)がある。楠代表は「成功への道は、この商材を通して何をしたいかというビジョンを持つこと」だという。問い合わせにも、どういう趣旨で入れるかを聞く。「すぐの入塾はないし、大変だし」などマイナス面も伝える。それでも…と言われたときには、徹底してフォローをする。導入後1年間は無制限に訪問を重ね、指導していく。信頼関係を築くことも大事だとも。

 こんな事例がある。東京で電気関係の技師をやっていた人物から、北海道の帯広に移住し実験教室を開きたいとアクセスがあった。札幌ならともかく、人口の少ない地域なので、「無理です。失敗しますよ」と断ったという。「それでもいい。子どもたちと一緒にしたいから」という熱意に押され、スタート。ふたを開けてみると、チラシを見たと言って100人が体験会に参加した。その後、入塾のキャンセル待ちが出るほどの教室となり、10年続いている。

 「即効性のあるものはすぐに集まります。でも、すぐに飽きられる。うちの場合は理科実験を通して論理を学ぶ勉強をしますので、飽きることはない。その中でとんがった子たちの能力を引き出すこともできます」。プラス保護者が納得するのは、理系の学力向上と実績という明確なコンセプトだ。

 ここ1、2年の間に注目を浴びているのがロボット教室だ。展開している企業を見ると、大きくはロボット科学教育(Crefus)とヒューマンエヌディーの2社がある。追随して、ロボット教育のテキストとプログラムを開発、エイジ&ソンロボット教室を自塾で開講してしまったという岡山の朝日塾宙SOLAだ。

 同塾の小島塾長は「見えない学力の養成をするために『ロボット教育』を取り入れようと思ったのです」と。手始めは、夏休みの塾のイベントでロボットを題材にした。市販の赤外線センサーがついた、壁に沿って動くロボットだった。不安はあったが、1週間で親子30人くらいが集まった。これで自信がつき、塾の授業に付加したクラスと単独の教室を開講した。ロボット教室の在籍者は現在11人、通常の授業(小1〜小6)に付加したクラスでの受講者は80人から90人がいる。

 「塾は、難関中学に何名合格させたかというナンバーワン戦略をとっています。でも、それだけが塾の存在なのかと疑問です。むしろ学年が小さいときは裾野を広げ、失敗は成功のプロセスだと教えてあげたい。試行錯誤を通して成功の味を知るのがロボットだと思う」

 一方で、企業として商品化を成功させたヒューマンのロボット教室は、全国に500教室(生徒数3,300人)あり、差別化のオプション教育として、生徒募集に貢献している。まだまだ導入のハードルが高いと思われている感があるが、そうではないと同社の山本代表は話す(28頁参照)。

 「塾と比較して大きく違うのは、チラシを校門前で配布したときの子どもたちの反響です。『欲しい!』と自ら取りにきます」

 入塾につながる要素のひとつは、子どもがその商品を好きになり、親の強制ではなく、自ら入塾を希望することだ。ロボットの魅力を最大限に生かしたカリキュラムが功を奏し、メインとオプションが逆転したという塾もある。恐るべしロボットだ。

 人が「良いから」といって、その商品が自塾に良いとは限らない。右頁にある童学創舎の塾長が実践している、オプションをメインの教材と合体させ、新たな授業としたスタイルは、今回の特集のコンセプトそのものだ。いかなる商品(オプション)でも、塾長の工夫、地道な努力なくしては、生徒には受け入れられない。

※さて、次頁からは引き続き「塾長のためのマンスリー・スケジュール」でおなじみの小林弘典氏(PS・コンサルティング・システム代表)による“オプション講座”に対する考え方を執筆いただいた。編集部では「オプション教育」と表現しているが、小林氏の表現する「オプション講座」とは同じ意味であることをここで申し上げておく。

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