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中学・高校受験:学びネット

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2012/11 塾ジャーナルより一部抜粋

ズームアップインタビュー
東海地域に根ざす新ブランド
日能研東海の4年間の躍進

     

株式会社 日能研東海
代表取締役社長 野田 幹人さん

 4年前に河合塾と日能研の合弁会社として設立された日能研東海。公立志向の強い地域で、3年を超える頃には、東海地域で9教室を展開する躍進を遂げた。東海地域の中学受験をメインに、多くの生徒を通学圏内の中高一貫校へ輩出。また、開成や麻布、灘といった全国の難関中学への合格実績も出している。代表取締役社長の野田幹人氏は、河合塾出身ではあるが、日能研東海ならではのオリジナル色を打ち出して、生徒一人ひとりに深くかかわる指導を行いたいと考える企業人であり、教育者でもある人物だ。駆け足で走り抜けた第一創業期を経て、次のステップに進むための今は準備段階だと語る、塾業界のいわばトップアスリートの声を取材した。

わずか4年で9教室を展開
好評価でのスタートダッシュに成功

── まず、日能研東海の設立時のお話からお聞きしたいのですが。

野田 2007年秋に河合塾と日能研で合弁会社を作ることが決まり、翌年1月に会社を設立し、私が代表取締役社長に就任しました。設立に際しては、非常に評判がよく、開校した名古屋駅前校には入りきれないほど入室希望生が集まり、急遽、教室を追加して開校しました。その翌年には5教室を開き、岐阜へも展開を行った結果、3年間で9教室に増えました。現在4年を経過し、生徒数も1,400人近くに増えています。

── 順調なスタートだったのですね。2011年度は教室展開をされていませんが。

野田 しておりません。かなり急激に教室数を増やしているということに加え、社員に関しても日能研東海として募集した人材が中心です。そのため、教室展開などの大きな事業拡大をいったん弱めて、社員研修を含め、顧客サービスで満足いただけるようなスタッフ力の強化などに力を注ぎたいと考えたためです。

── 河合塾ではなく、日能研東海としての事業計画の見直しということですか。

野田 そうです。合弁会社設立時の出資比率としては河合塾が65%、日能研が35%ということで、経営的には河合塾を主にしつつ、授業・教材面では日能研を主軸とした進め方をしてきました。しかし今後は、河合塾のノウハウも取り入れながら、日能研東海独自のカラーを打ち出していかなければと考えています。

── 独自のカラーとは、例えばどのようなことでしょう。

野田 指導体制は各教室長に任せきりにせず、均一の授業が行えるようなマニュアル作成や研修を行っています。ただし、300人を抱える大きな教室と、150人くらいまでの小さな教室では、指導力や授業内容は同じだとしても、対応が異なります。大きい教室では成績によって生徒のクラスを分けることで、それぞれの競争心を刺激することができ、小さな教室では生徒一人ひとりに細かい目配りができる利点がそれぞれあります。どちらを選択するかは生徒や保護者に選んでいただき、その生徒にあった、より良い指導を行うよう、各教室には指導しています。

東海地域に根ざした受験指導を

── 東海地域では中学受験に対する反応はいかがですか。

野田 2002年の完全週5日制、授業時間の削減などの新課程施行以降、公立校の学習への不安などもあり、全国的に中学受験をする生徒は増えました。東海地域は製造業が非常に発達しており、日本でも屈指の好景気にあったため、この地域でも中学受験をする生徒が増えました。しかし、近年の児童数の減少や景気の低迷の他に、2010年より実施された公立高校の実質無償化の影響も加わり、受験者数は数年前の人数に戻っています。また、志望校選びの視点が、昨年から少し変化していますね。

── それはどのようなことですか。

野田 自宅から中学まで通学時間が1時間以内の学校を選択する生徒が増えています。昨年の春の東日本大震災の影響や、子どもを狙う犯罪が増加するなどの社会情勢の不安定さが、親の不安につながっていると思います。私ども日能研東海では、地域に根ざした中学受験をメインとしておりますので、そういった県内にある学校への進学を選択する生徒に対しては、十分な指導を実践しています。

── 県外への進学は対応しておられないのですか。

野田 この地域にも、県内にある学校への進学を主軸として教室を展開し、長年実績を積んでおられる塾があります。日能研東海もそういう塾と同様に、設立時より東海地域を中心とした受験をメインに対応しています。しかし、日能研のブランド名で展開する限り、信頼を寄せてくださる転勤族の方の希望で、首都圏や近畿圏などの進学を目指す生徒の学習プログラムも整えています。また、灘中学のような県外の難関私立中学への進学を目指す方からの要望もあり、県外難関私立中学受験クラスも設けました。

── 進路指導はどのように行われていますか。

野田 進路決定は基本的には家庭で決めて行っていただきます。小学校卒業後の大切な6年間を過ごすのは、生徒だけではありません。保護者もまた、同じ時間をPTAとして付き合うことになります。日能研東海では保護者会や個人面談も頻繁に行っており、保護者と話し合う回数もそれだけ多いので、そういった塾の方針を保護者の方は知っていただいておりますから。ただ、私の考えとして、受験校は一校でも多く、とは話しています。

── それはどういうことですか。

野田 一校でも多く受験するということは、それだけ合格する学校が増えるということです。生徒にしてみれば、たったひとつの合格で『その中学しか選べない』という状況よりも、複数受験し、『いくつか合格した中から選んだ中学』というほうが、入学以降のモチベーション持続にもつながります。たとえそれが結果的には同じ中学に入学するのだとしても、合格したという成功体験が生徒の自信になり、成長を促すのです。

大きくても温かい場所
生徒の将来まで
手を差し伸べられる塾へ

── 中学入学後には、塾へ通うように指導などはされているのでしょうか。

野田 生徒には、中学入学後はクラブにも参加して、有意義な中高生活を送るようにと話しています。また、生徒を迎え入れる中学にも、細かなところまでしっかりと面倒を見て、塾の必要がないほど十分な学力を付けてくれるようにと頼んでいます。ですから、学校やクラブをしながら余裕のある子は、塾に通っていただけると嬉しいですね。

── 私立中学校との情報交換はされていますか。

野田 まだまだ内向きの視点をお持ちの学校も見受けられます。そのため、他地域の状況をお伝えする機会を設けるなど、外部の意見を聞いて、風通しをよくしていただけるようにお願いしています。また、公開模試の試験会場として、多くの学校をお借りしています。生徒たちが進学する学校となることもあるので、生徒たちにとっても入試までのモチベーションアップにつながると考えています。

── 子どものことを考えた温かみのある塾という感じがしますね。

野田 生徒を一方的に育てるのではなく、生徒とともに成長する塾だと自負しています。ですから、生徒たちを行きたい学校に合格させるだけではなく、いろいろな話やアドバイスを行い、人生の先までかかわりたいと考えています。そうやって育てた生徒たちが塾のことを周囲に発信してくれる。OBやOGになってもそれは同じでしょう。そういう意味でも生徒たち一人ひとりを大切にしていきたいと考えています。それが浸透したと感じたのが、生徒を集めた修業式の日でした。

── 何があったのですか。

野田 かなりの数の生徒が出席してくれたのですが、中には中学受験に失敗した生徒もおりました。彼らは確かに希望進学先へは行けなかったのですが、その経験と日能研東海で学んだことを礎にして、これからも生きていくと話してくれました。そういった生徒たちが、これからの日能研東海を育ててくれるのだと考えています。

── 最後に、日能研東海の今後についてお聞きしたいのですが。

野田 5年目を迎え、生徒数1,400人、売り上げも8億円を見込めるようになりました。そこで第二創業期へ突入する前に、一度歩みを緩め、自己を振り返ることで、次にやるべきことを整理する必要があると思っております。これは決して足を止めるということではなく、各社員が課題を持ち、目標を定めて走って行ける状態にするための期間です。無論、私たち経営陣も盤石な経営体制の強化といま以上の学習環境の整備、そして、各社員のモチベーション向上のためのスキルアップなどを実践していくつもりです。

── これからのご活躍を期待しております。本日はありがとうございました。

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