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中学・高校受験:学びネット

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2012/9 塾ジャーナルより一部抜粋

中学受験のブームは続く

  株式会社 首都圏中学模試センター 代表取締役 樋口義人  
     

 2012年度の首都圏の中学入試が、2月に終了してから半年が経過しました。

 総受験生数が4万5,200人(昨年4万5,600人)で昨年とほぼ横ばい(0.9%減)で推移していました。

 長期経済的不況が続く中、さらに東日本大震災の影響を受けて、かなり減少(5%減)するのではないかと予測されていました。しかし、東日本大震災を経て、むしろ私立中学校への期待とその進学熱は強くなったようです。

1.私立中学受験の
最も盛んな地域“首都圏”

 何十年にもわたる私立中学校・高校の大変な努力により、今日の私立中学校の受験ブームが起こるようになりました。

 1960年代以前では、東大合格者のトップは都立日比谷高校でした。それが1968年には灘高校(兵庫県)がトップにランクインして、話題を呼びました。その後、開成が31年連続トップの実績を出しています。この開成のトップの座を破る高校は出てこないのではないか、とまで言われています。

 東大合格者数が象徴するように、大学への進学は、私立の中高一貫校が優位という時代が到来して、今日の中学受験ブームが続いてきているのです。

 首都圏では、もともと200校以上の私立中学校が、生徒募集を行っていました。ただし、都立高校全盛時代は、決してその募集活動は楽なものではありませんでした。一部の名門校以外は、むしろ都立高校の受け皿として、それほど学力の高くない生徒を受け入れていました。

 私立中高一貫校は、カリキュラムの工夫、在校生の学力増進に邁進しました。その結果、大学実績においても、その教育活動全般にわたっても、世の信頼を勝ち取れるようになりました。

 ここで、灘中学校・高等学校の中興の祖とも言われている第4代校長勝山正躬先生の言葉をご紹介しましょう。「私立中学校も、駅前パチンコ屋さんと同じです」と。これは、灘も甲陽、六甲が近くにあって競争したから伸びたので、1校だったらここまでになったかはわかりませんという意味です。パチンコ屋さんも、駅前に一軒しかなければ、あまり流行らないのではないかと、おっしゃりたかったのでしょう。

 今日では、首都圏の300校以上の私立中学校が、熾烈ともいえる生徒獲得競争に晒(さら)されていて、各校がそれぞれ生き残りをかけて、改革をしています。その結果、私立中学校の進化が続いており、これは全国でも突出している状態と言えます。

 首都圏の生徒数の全国比が48.1%、グラフにある通り、学校数においても39.1%と圧倒的な占有率です〔表・グラフ1参照〕。首都圏の私立中高一貫校が公立より優位は、今後も長く続くと考えられます。

2.2012年中学入試の結果は

 東日本大震災を経て、保護者の志望校選びに厳格性、確実性を求める傾向が強くなりました。

@卒業生総数に対する、受験生の割合、受験率は14.8%(昨年14.87%)でこれもほぼ横ばいでした。合格率は、102.7%(101.3%)、男子90.5%(88.7%)、女子115.0%(113.9%)でしたのでやや緩和しています。一人当たりの受験校数(併願校数)は、2010年6.56校、2011年6.62校、2012年6.83校と、3年連続増加していて、確実な合格と私立一貫校への進学をねらっていました。

A合格のしやすさの二極化が進んでいました。上位難関校の合格難度は高まり、逆に中堅校の合格はやや緩和していました。

B大学合格実績が、応募倍率に影響していました。巣鴨、栄東、開智などが象徴していたように、昨年の大学合格実績が上昇した中学校の応募者が増加しました。

C大学附属中学校の中で他大学受験実績の少ない中学校が、軒並み志願者を減らしていました。男子校の早大高等学院、慶應義塾普通部、女子校の立教女学院、日本女子大、共学校の慶應義塾中等部、早稲田実業、慶應義塾湘南藤沢等です。他大学受験を前面に打ち出している東京都市大、國學院久我山などは志願者が増加していました。

D東京、神奈川から、埼玉の私立中学校への受験が、試し受験も加わり、増加していました。震災の影響とも考えられる、遠距離通学が敬遠されて、他の都県間の受験は減少し、埼玉勢の東京への受験と東京・千葉間の都県をまたいだ受験は双方とも減少していました。

3.中学受験塾の新しい動き

 首都圏の中学受験を扱う塾は、大規模な需要を受けて、大手塾、中小塾(個人塾含め)が群雄割拠していて、むしろ乱立気味です。

 大手塾の、低学年(小1)からの囲い込み戦略が激しく、そして高学年の在籍数のシェアが大きいのが現状です。

 歴史的にその変遷を見ると、戦後にトップを誇っていたのが『日進』でその後『四谷大塚』、『日能研』、『サピックス』へと順に難関上位校の合格実績のトップの座が移っていきました。

 昨年までで、文科省の30年に及ぶ“ゆとりの教育”が終わり、新指導要領に移行しました。この移行後の中学受験がどのようなものになるかを、考えてみたいと思います。

 “ゆとり教育”以前の塾のカリキュラムは、学校の教科書に応用問題などをプラスαするだけで、受験に耐えられる学力がついていきました。しかし、“ゆとり教育”が開始されてから、学校で学ぶ量とレベルが格段に低下してしまったのです。一方の、私立中学校の入試問題の範囲とレベルは変わらなかったので、塾で学ばなければならない量と質が一挙に増えました。そこで、毎日の塾通いと、夜遅くまで塾で勉強するというような、塾で過ごす時間が長くなるという状態になってきました。それでも足りないのではないかということで、大量の宿題を出す塾が、生徒を集めるようになってきたりしました。

 最近、1年近くもカリキュラムを前倒しにし、算数などは5年生で小学校課程を終わらせるという先取りカリキュラムに着手した塾があります。一握りの最上位の生徒には適していても、普通の塾生にとってはついていけないで、塾での落ちこぼれが出るのではないかと危惧していると聞きます。

 新指導要領が実施されて間がないのですが、新指導要領になっても、“ゆとり”前のような学校での学びが期待できないのではないかと、言われています。新指導要領は、授業数がほとんど増えていない中、学ぶ量が大幅に増えていて、充分に消化できないまま進級しているようです。結果、“ゆとり”の時代とほとんど変わらない指導が、塾に課せられていると言えます。

 最近は、大手塾で受験指導のノウハウをある程度身に付けた後、受験に対する独自のイメージを持って独立する中小塾(個人塾)が相次いで誕生しています。若手の台頭を予感させるようで、一種の世代交代が進んでいるようです。

 それは、大手塾の社員にありがちなサラリーマン化した社員の、システムに乗り、マニュアル通りに教えていればいいとする、勤務態度についての疑問。また、生徒を1回のテストでクラスを上下に移動させて、それを繰り返していること。クラスが変われば生徒は落ち着かないし、テキストのレベルが変わったり、担当の先生が変わったりすることがあり得ることへの疑問。

 これらの経験の結果、小学生を受験に導くノウハウを自分なりのイメージで構築して、塾を開校しているようです。子どもの能力は一人ひとり違っていますから、一斉授業でカリキュラムは進行しても、その後の個々のフォローがないと、力はついていかないのではないか。一人ひとりの状況を十分に把握して、アドバイスなり、適量の課題なりを与えていくのが最適な指導方法ではないかというわけです。塾の現場において、目の前にする生徒といかに上手に、熱意を持ってかかわれるかだと考えているようです。

 学校と塾とのかかわりの中で、「塾対象説明会」の開催があります。ここでも、世代交代が感じられます。最近は若い塾の先生の参加が多く、しかも熱心にメモを取りながら真面目に話を聞いているのが目立ちます。古くからの常連の参加が徐々に減ってきています。そして、この若手の参加者は、中学校から支給される交通費とか、お土産目当てではないようです。本来の目的である、説明を聞いて、学校の情報を入手して帰るという若手が多くなっているのです。交通費もお土産も支給されない説明会でも大勢の参加者があります。話は変わりますが、説明会の終了がお昼時になるので、軽食をお土産として出す学校がありますが、ここのところ、“まい泉”のカツサンドを支給する学校が多いのはなぜでしょう(笑)。

4.2013年中学入試の展望

 今春の私立中高一貫校の大学合格実績が躍進しました。

 東大をはじめとして、早慶上智、東京理科大、MARCH(明治、青山、立教、中央、法政)などへの合格実績に目を見張るものがあります。東大の合格実績が象徴しているように、私立中高一貫校が大学進学のために生徒指導とカリキュラムに工夫を凝らし、長期にわたって努力してきた結果なのです〔表2参照〕。

 男子校の増加が顕著で、男子を持っている保護者の志望意欲を掻き立てます。来春の中学入試が、上位校と中堅上位校をめぐって、熾烈な戦いが繰り広げられることは間違いありません。特に、この表にある中学校への応募者は増加することが予測され、綿密な受験準備が必要になります。

 女子進学校も同様に、豊島岡が東大合格者数で女子学院を抜いて第2位に踊り出て、話題を呼んでいます。早慶上智を含めて見ると、鴎友、吉祥女子などが伸びています。さらに、東京女子学園、文大杉並などがMARCHへの合格者を増やしています。

 このことなどから、来春の中学入試は少なくとも今春並みの盛り上がりと、その難度を覚悟しておく必要があります。

 各校の入試要項の変更が発表されています。例年通りその要項変更の件数が多く、それぞれが個々に影響しあって、結果受験地図が塗り替わります。東京、神奈川の2月1日寄りの短期決戦模様が進みます。日程の前倒し、定員の1日寄りの増加などです。午後入試を新規に導入する学校があり、午後入試が増えます。午後入試抜きには考えられない首都圏の中学入試ですが、来春も同様です。

 都立一貫校との併願をねらう私立中学校の入試も増えます。記述対策を施すなどの準備の必要性があります。

 2月3日が日曜日であるために“ミニ・サンデーショック”が訪れて、東洋英和、横浜共立など何校かが2回目の入試を4日に移動します。ちなみに、2014年では2日が日曜日、2015年では1日が日曜日となります。プロテスタント校の中から、入試日を移動する学校が出てきます。現小学校4年生が受験する2015年のサンデーショック入試では、桜蔭と女子学院などが併願できる夢の受験の年になります。

 首都圏の交通網が発達して、都県を跨いだ受験が行われています。例えば、湘南新宿ラインを使い、埼玉勢が神奈川県の学校を、またその逆の遠征もあります。2013年春までに開通が予定されている、東急東横線のメトロ副都心線への乗り入れによって、受験校がさらに広がります。埼玉、神奈川、東京の1都2県を視野にした志望校選びをする受験生が増えます。

 私立中高一貫校では、文部科学省の新指導要領に合わせ、そして国公立大学の入試、センター試験の要項変更・科目の増加に備えて、カリキュラムを再吟味しています。例えば、光塩女子学院、洗足学園などは、完全6日制を導入して、総時間数を増やすとともに、ますます磨きのかかった指導を展開しようと検討しており、大学合格実績のさらなる伸びが期待されます。今後も中学受験への、保護者の熱意は高まっていくでしょう。

樋口義人氏プロフィール

1942年生まれ。(株)首都圏中学模試センター代表取締役。
中学受験界でのキャリアは40年にわたる。中学受験塾「日能研」在職中は、経営戦略の責任者として常務取締役・東京本部長・公開模試事務局長などを歴任。「日能研」を「四谷大塚」と並び凌駕するまでに牽引し、私立中学受験の大衆化に尽力した業界の“重鎮”である。
「日能研」退社後は「ena」副学院長などを経て、自らの学習理念を生かした教育活動を実践。長年の経験と実践に裏打ちされた厳しい提言は、中学受験界の“良心”として多くの支持と信頼を得ている。
著書は『中学受験の常識・非常識』(角川oneテーマ21)、ドラッカーに学ぶ受験マネジメント『がんばれ、さくら!』(遊行社)など。
(『がんばれ、さくら!』の奥付・著者紹介より)

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株式会社 首都圏中学模試センター
代表取締役 樋口義人
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