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中学・高校受験:学びネット

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2012/5 塾ジャーナルより一部抜粋

セミナーレポート 伸学指導 角川塾から学べ!
〜“フィンランド式”教育で柔軟に対応し 部活との両立を目指す生徒をサポート〜

     

伸学指導 角川(つのかわ)塾(千葉県柏市)
塾長 角川 博信さん

1961年東京都生まれ。国士舘大学文学部教育学科卒業。
中学:野球部・陸上部、高校・大学:ラグビー部。
塾講師、私立高校教員を経験。自身の経験・体験を生かし、「文武両道」「勉強と部活動の両立」に挑戦する生徒のサポーターとしての塾を開業。

 日本全体では人口が減りつつあるが、千葉県柏市は人口が増えている。さらに、今後10年の人口減はないと見込まれるという。国家公務員の官舎が多いという土地柄、子育て世代が中心を占め、おのずと塾も乱立している。その中の一つが角川塾。教員経験もある塾長の角川博信さんが、自ら“フィンランド式”教育と称するフレキシブルな指導法を実践。規模は小さいが、子どもたちと保護者の心をつかんだ町塾として、地元に定着している。

塾長は、教員経験もある
ラガーマン

 東武野田線にある柏駅周辺は、交通至便で東京都心から近いこともあり、柏駅前は大手、地元中堅などの塾が建ち並ぶ激戦区。その一つ隣にある新柏駅近辺も、多くの塾がしのぎを削っている。

 その新柏駅から徒歩5分のところにあるのが個人経営の角川塾。マンション1階にあり、なんと隣室も塾。こちらは地元の中堅塾の1教室で、以前は斜向かいに位置していたが、角川塾の隣に移転してきたとか。

 角川塾を経営する塾長の角川博信さんは、大学卒業後、2年間の塾講師を経て、高校の教員(地理・歴史)として5年間勤務。その後、ブローカーをしていた先輩に誘われて、会社員として働いていたが、同社が倒産という憂き目に遭う。経営が危うくなった頃から、角川さんは、夜、アルバイトで塾講師を始め、倒産後は講師専業に。10年前に独立し、角川塾を開いたという経歴の持ち主である。

 他塾が隣に引っ越してきた時、向こうから合併の話がきたので、角川さんが生徒たちに意見を聞いたところ、「今のままがいい」という返事。それで合併せず、現状維持となったわけである。ただ当初、一時的に隣塾でも講師として教えてほしいという要望があり、教えたという珍しいエピソードがある。以来、お隣同士、同業として円満なお付き合いが続いている。

 角川さんは長年ラグビーをやっており、体育会系塾長。自分の経験を生かして、勉強と部活の両立を目指す生徒をサポートしたいという思いが強いせいか、角川塾の生徒は、全員部活も頑張っている。隣塾の生徒の中にも運動部の生徒がいて、その生徒たちに塾長の許可を得て、補習をしたこともあると話してくれた。

特徴は、10年以上続く
“フィンランド式”教育

 角川塾の生徒は、小学生から高3の受験生までと幅広い。指導法は、一斉指導でも個別指導でもない。いわばそれらの併用だ。同学年の生徒が多いときなど、黒板を使って一斉指導をすることもあるが、基本的には教科書準拠の教材を使い、学校の授業を先取りする形で、まず生徒自身で学習する。その上でわからないところを質問、それに答えるというスタイルで指導している。そして、定期テストの前には、テスト対策の指導を行う。独立後まもなくこのスタイルになったので、ほぼ10年になる。

 「私はこの指導法を“フィンランド式”教育と言っています」と言う角川さんの話によれば、教育の先進国・フィンランドの学校では、同じ教室内で、一斉授業と個別指導を一緒に行っているらしい。

 学校の授業の予習を中心にしているのは、ある程度、自分で学習してから教えてもらったほうが、本人の頭の中に残りやすいという、角川さん自身の経験による。

 角川さんは文系出身なので、国語・英語・社会を担当。加えて、高校1年くらいまでなら、数学・理科も指導できる。高校2年以上の数学・理科は、アルバイト講師である理系の大学院生が担当している。

 先述した通り、同塾の生徒は全員クラブ活動(運動部あるいは吹奏楽部)に励んでいる。柏市では吹奏楽が盛んで、文化系といえども、吹奏楽部は練習量が半端ではない。そこで角川塾では、運動部、吹奏楽部の練習で授業に遅れが出たときは、土・日曜や他の曜日に振り替えることができるようにしている。フレキシブルに対応したり、角川さん自身の経験から両立法をアドバイスしたりしている。個人塾だからこそできる強みだろう。

 挨拶・上下関係について厳しいのも、角川塾の特徴だ。塾に来た際は「こんにちは」「こんばんは」、帰りは「ありがとうございました」と元気よく挨拶する。そして、体育会系の縦社会そのままに、角川さんはアルバイト講師のことを呼び捨てにしているが、生徒たちには「○○先生」あるいは「○○さん」「○○先輩」と呼ばせ、角川さん自身のことは必ず「先生」と呼ぶよう指導している。

●指導のポイント
文章読解力を高め、生徒の頭に入りやすいよう、まず教科書準拠の教材を使って、生徒自身で学習させたうえで、質問に答える。
●運営のポイント
生徒数、勉強の進み具合等により、一斉と個別を併用。柔軟に対応することで、効率的に指導。

授業態度にも厳しく
熱血指導

 角川塾では、入塾のきっかけとなるのは、口コミと紹介のみ。チラシ類は一切出していない。ただ、年賀状だけは高校入学後に退塾した生徒に出し、「勉強でわからないことがあればいつでもおいで」と書き添えている。

 入塾希望の生徒とは、保護者の方と一緒に三者面談を行い、1ヵ月間の体験(無料)を経て、入塾となる。

 「その体験で、合う合わないがわかりますから、うちのやり方に合わない生徒は来ません。逆に入塾した生徒は、長続きしますね。高校受験まで通塾して、大学受験時に再度入塾する生徒も少なくありません」と角川さん。高校3年の半分は予備校にも通い、補習を目的に同塾に通っている。また、推薦やAO入試で合格後、大学から出される課題をこなすために、通塾している生徒もいる。

 「予備校では、時間がないのであまり質問できないし、私の指導のほうがわかりやすいと言って、予備校をやめ、当塾で勉強し、早稲田に合格した生徒もいます」

 角川さんは、教室内での学習態度に厳しく、騒ぐ生徒には徹底的に注意する。いくら注意してもきかない生徒に怒ったあまり、「本来、やってはいけないことなんですけど、『出て行け』と、頭からぬるいお茶をかけたこともあります」と反省しながら話してくれたが、その後日談がさらに興味深い。お茶をかけられた生徒のお母さんの紹介で、「熱く教えていただけると聞いて来た」と入塾した生徒がいるというのだ。

 角川さんは、生徒に厳しい半面、面倒見もいい。生徒のことで、学校の先生に電話したり、会いに行ったりすることもあるほどだ。そんな熱血指導の下、角川塾の生徒たちは、目標実現に向けてマイペースで進んでいくことだろう。


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