教育の真髄を感じさせる
佐藤代表の言葉に心動かされ
名学館の仲間に
名学館掛川校を開校するまでは、松下代表は経営者の父のもと、製造業に携わっていた。数年前、掛川行政の教育委員に任命され、かかわる中で、教育の大切さを改めて実感、自らが可能な貢献を模索。塾経営に興味を持ち、さまざまなフランチャイズを検討していた時に名学館佐藤代表と出会った。
開口一番、彼が言ったのは、「大変ですよ。子どもたちとかかわるには、よほどやる気がないと難しい。ただ、努力すれば絶対にうまくいきます」。それまでは経営面や利益率などが話題の多くだったため、「この人は違う、自分が求めていたものはこれだと直感的に思った」という。話す中で教育の本質を語るその姿に圧倒された。この人物がトップなら間違いないと名学館を選び、別会社を立ち上げ、自らも経営者になった。
もともと教師ではないため、一から塾を立ち上げる気はなかった。ただ、経営者としてはかかわれる。名学館という素晴らしいブランド、佐藤代表の考え方に根付いた教育システムの中、理想を追求した。「今の成功は名学館があったから。さらに地域に根付いたことをやりたかったので、大都市のマニュアルから一線引いて、独自のことを考え続けたのも良かったのかもしれません」
名学館の熱い思想を保護者にも伝えるために、佐藤代表の最新刊「わが子が勉強好きになる4つのヒント」を読んでいただくよう、教室でも勧めている。
地域の仲間たちの
暖かな応援が生徒拡大の
きっかけを作った
それまでJCなどで培ってきた地域の仲間たちが、塾の宣伝に協力してくれた。さまざまなアイデアを出してくれた広告代理店の仲間は、静岡にはなかった名学館の知名度をあげるために野立て看板やタウン誌広告の出稿を提案。さらに月1回発行のニュースペーパーには、本校の思いを綴った「教育論」を連載している。これらは独自の流通があるので、スタッフ自らがポスティングをすることはない。
そして、地域学生服のシェア8割を誇る学生服専門店の仲間が顧客に渡す製品に、スーパーを経営している仲間はお客様に渡す買い物袋にチラシを入れてくれた。一番最初の生徒募集はそこから始まった。最初の広告には多大な投資をしたが、仲間が無償で手伝ってくれたことも大きい。仲間はありがたいものとしみじみ感じた。おかげで現在は、掛川市内で中学生約3,000人、そのうちの130人、約4%が本校の生徒となった。
よいご縁で、いい講師とスタッフが集まったことも成長の理由のひとつと語る。地域性の問題で、大学生バイトがいないのが特色であり、教員免許を持つベテランや子どもが好きだからと毎日通う講師、家庭教師を本職としてきた方々と縁ができた。
「そういう優秀な講師の方々が見つかるのもすべてご縁。仲間から紹介されることがほとんどです。本当に感謝の思いでいっぱいです」
来てくれた子どもたちのために
全力を尽くす
それだけを繰り返してきた
教室を見せていただくと、U字形に並べられた台形の机が各ブースに。中心に講師が座り、質問しやすいレイアウトになっている。
「子どもたちと接するときは、常に一人の人間として、相手の目線よりさらに下げ、上へ上げるような気持ちでかかわっています。自分の人間関係の中で、こんな友達がいたら嬉しいと思いながら。勉強というのは人生を送る中で、欠けている部分を補う治療のようなものだとイメージしていますので、成績だけではなく、全人格的なこととして捕らえています(齋藤大樹教室長)」
小学生は講師1人に生徒4人までに抑え、講師が常に生徒たちの学習意欲を高められるよう工夫。また本校目玉の試みである小学生英語クラスは、個別指導では珍しく、常に定員オーバー状態の人気を誇り、他塾の塾長が見学に来るほどだ。現行の小学校英語が中学校英語とギャップがあり過ぎ、中学に上がってからとまどう生徒が多いという話を聞いたことから、このクラスを立ち上げた。現在小学校3・4年生からスタートし、今後、5・6年生に広げていく。5年生からは中学校英語の前倒しのカリキュラムを組み込んでいく予定だ。嬉しいことに、このクラスをとっている子どもたちは、学習意欲も成績も伸びていくという相乗効果が見られ、保護者の人気は高まるばかりだという。
掛川市内では学習塾が30件近くある。競争率は高いが、全く意識しなかった。「この業界は間違ったことをしていなければ、利益は絶対ついてくると思っています」。本当に生徒のことしか考えていない。
法人なので、当然、利益追求は必要だが、まずは子どもたちありき。講師たちとの合言葉は「すべては生徒たちのために」。求められていて、こちらができることには必ず応える。そのためか退塾者が極めて少ない。個別指導の授業料は安いものではなく、その金額に見合う以上のもので、保護者や生徒たちにお返ししたいと常に思っているという。
「儲けるための戦略などが話題に上がらないのが、本校とスタッフの特徴かもしれません」
卒業式は感謝を伝える場
『卒業証書』ではなく
『感謝状』を
松下代表が楽しみにしているのは掛川校主催の卒業式だ。もちろん、そのまま塾に残る生徒がほとんどだが、節目のお祝いとして参加してもらうという。二宮尊徳縁の歴史ある古きよき建物「大日本報徳社」の中で、『卒業証書』ではなく『感謝状』を渡す。
「卒業式は子どもたちに我々からの感謝を伝える場にしたい。いま一番大切なのは感謝すること。もちろん日々、塾でも伝えているつもりだが、卒業式はその集大成。感謝というものが本当に伝われば、月謝を払ってくれた保護者の方々へのお返しになるのではと思っています」
新年度からは、さらに極め細やかに指導できるシステム作りを考えている。一気に人数が増えたため、一人ひとりへの対応が手薄にならないよう、気を配る。そして掛川校の安定を見届けた後に展開される、近隣都市への進出も着々と準備が進められている。
「我々が2年間かけて培ってきたものは絶対間違っていない。それを基軸に、各地域で求められているものをリサーチし、提供していきたい。ゆくゆくは静岡県に名学館の精神を広げていければいいですね」
名学館のシステムが独自の講師力と広報力に後押しされ、さらに本気でぶつかっていく姿勢と、すべてに対する感謝の気持ち。名学館掛川校が伸びる理由の一端が、ここにあった。地域に根ざし、子どもたちとその保護者に真剣に向き合う姿は、掛川の未来に新しい風を吹き込んでいく。 |