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2012/5 塾ジャーナルより一部抜粋

河野優の超〜塾長爆裂対談

第21弾:総合学習室アビリティ 塾長 佐藤朋幸

河野 優(こうの まさる)
[ 学習塾経営研究会 主宰 ]
大学を卒業後、大手通信メーカーに入社。そこで国際向け電子交換機のプログラム開発に携わる。30歳の時に、一身上の都合で地元に帰り、縁もゆかりもない場所で塾(開進スクール)を立ち上げる。塾を立ち上げた翌年より、学習塾ニュースの配信開始。現在の読者数は、約1100名。
その後、学習塾経営研究会を発足、全国の塾長のためのネットワークを構築。
主な活動には、千樹会(100人会の姉妹団体)代表幹事、学習塾経営セミナーの開催、100人会の主宰。塾ジャーナルに「1年間で生徒数100名に!」を執筆。

総合学習室アビリティ 塾長 佐藤 朋幸:(福島県福島市渡利)

高校、大学在学中はテニスに没頭。全日本学生テニス選手権出場。大学卒業後は、モティベーションプログラム(目標達成と動機付けに関する能力開発プログラム)を研究・出版・販売するアメリカ企業の日本代理店に勤務。
その後、プロ家庭教師の時期を経て、平成11年7月に、塾と家庭教師のメリットを合わせた少人数制の学習塾を作りたいという思いから、「さとう学習室」を設立。
平成15年1月に、名称を「総合学習室アビリティ」と変更。現在270名の生徒が通う。

河野(以下──) 早速ですが、実は今回、2回目として出てもらったのは、東日本大震災と原発事故を受け、多大な被害を受けた厳しい状況の福島で、今でも経営されているということで、色々学ぶものも多いだろうということと、このような不景気というかどんよりとした中、我々よりも、もっと厳しい状況で頑張っている方々がいる・・。そこを伝えていこうと思ったからです。
さてまず約1年経って、現在の状況からお聞きしたいのですが・・。

佐藤 現状としては、約270名の生徒さんが通塾してくれてます。昨年度の売り上げは多少マイナスとなりましたが、今は震災前の同時期よりプラスになっています。

── それはすごいですね。もう状況としては、落ち着かれてるということでしょうか。

佐藤 細かいことは、分かりませんが、表向きは、普段と変わらずという感じです。ただ引越しや転校も多いですし、放射能という目に見えない怖さは、今でもあります。

── ちょっと時計の針を戻して震災直後のことからお話を聞かせて下さい。
震災の後、ご家族やスタッフの方々を含め皆さん大変だったと思いますが、塾としては、どのような対応を取られましたか?

佐藤 福島市の場合、ライフラインは3〜4日で復旧しました。ただ塾をすぐに再開出来る状況ではないので、すぐにネットを使って生徒・保護者へのフォローから開始しました。
itunesでPodcast配信にて先生からのメッセージを送ったり、ビットキャンパスを使って授業やプリント配信なども行いました。ご家庭の連絡ですと、ネットは見れるということでしたので、ブログもまめに書きましたね。

── 反響はありましたか?

佐藤 特にありませんが、ともかくこのような状況になっても、勉強出来る環境を作りたいということが先でしたね。実際、そのような事で情報を発信していたので、4月上旬には、再開していました。このような活動が今に結びついているのかも知れませんが。

── わずか3週間ですか?思ったよりも早いですね。

佐藤 塾のスタッフは、震災直後からずっと仕事をしてくれてました。先程のPodcastにしてもそうですし、ともかく全員が塾のことを考えて動いてくれてましたので、このスピードで再開出来たと思います。

── 危機管理という意味で、何か変わったことはありますか?

佐藤 本来は、マニュアルも必要でしょうが、まだそこまでは整備されてません。ただ頭に置いておかないといけないと思ったのは、現金の大切さですね。塾が休みでもスタッフへの給与はしっかりと払わなければならないですし、塾が壊れてもすぐに修理して生徒たちに迷惑がかからないようにしないといけない。そのためには常に現金がある程度、手元にないと迅速、かつ安定した経営は難しいと思いました。

── 他には、何かありますか?

佐藤 とにかく震災時に連絡手段として活躍したのはネットです。今ではポケットwifiは、いつもフル充電ですね。(笑)

── 確かにスカイプで翌日には連絡が取れましたし、フェイスブックでは、細かな動向が分かりましたよね。
さて今一度、現状について、細かく福島の塾の動向をお聞きしたいのですが・・・

佐藤 他塾に関しては、詳しくは分かりませんが、個人塾・中小塾は苦しいと思います。
一方、大手塾は、好調だと聞いてます。ただこれは震災の問題というよりも全国的な傾向とも思いますが。

── 全国的には、そのような流れですね。特に大手は不景気でも、資本力にものを言わせて低価格路線で攻めてきます。また震災のような非常事態のときに、やはり資本があると立ち直りも早いですし、消費者も、このような状況では、大手を選びがちですね。

佐藤 確かに大手ですと、何かと安心ということがあるのかも知れませんが、一方で大手ですとスタッフが地元の人ではない場合もあります。福島の場合、震災というか原発の問題が大きいですので、新規スタッフが福島で働くことを嫌がるという話も聞いたことがあります。地元の人でないと本当の意味で、地域のことを考えられないのかなと思うこともありますね。

── 大手は、地域ではなくこの国を・・と考えるわけですからね。実際は、地域が無くなれば、国もなくなるんですが。(笑)
どこかの地域のように地域が国を動かすようなことになるかも知れませんね。

※塾は、地域を支える教育ビジネスです。その「地域を支える」ということがどういうことなのか。それを実践しているのがまさにアビリティといえます。

── アビリティの目標というか、使命は福島県の大学進学率(旧帝大などへの)を上げたいということでしたね。

佐藤 そうです。他の地域と比べて、これという進学校もありませんし、東大進学者数なども他県と比べるとまだまだです。
それをどうにかしたいということがスタートでした。

── 今年の状況はいかがだったのでしょうか?

佐藤 旧帝大を含め、多くの合格者が出ました。また福島県としても、今年は地元の福島大学への進学率がアップしました。
ただこれは、県外からの受験者が減ったからだと思われます。

── 生徒の質に関しては、どうですか?

佐藤 生徒数は変わっていませんね。しかしご存知のように福島では多くの生徒が引越しをしています。私の塾でも30名ほどは、転校しました。こちらに残っている生徒でも、家族が他の地域に非難しているような二重生活も多く色々と大変です。質という意味では、いいですね。
もともとアビリティは、幼児コースから設定しているので、教育に感度の高いご家庭のお子様が多いのです。幼児コースにおいては、避難先の仙台や山形から、週1回通塾して頂いている家庭もあります。

── 毎週ですか??信頼関係が出来ているんですね。

佐藤 毎週です。ただあまりご負担を強いるのは、こちらの意図ではありませんし、私の塾のスタッフにおいても色々な状況で、福島を離れないといけない者もいますので、仙台などにサテライトを出すことも考えています。
ネットなどを利用して色々と保護者の方々へのサービスも行っていましたが、実際に教室を用意してスタッフが駐在している方が当然、質の良いサービスが出来ますし、避難された方が福島に戻られることになっても、福島に合わせた一貫した指導が出来るので、意味あることではないか?と考えています。

── この時期に進出となると大変だと思いますが、そこは頑張って頂いて、他に、この誌面を通して全国の塾長先生にお伝えしたいことがあれば・・。

佐藤 非常時というのは、突然やってきます。なかなか体験しないと「備える」ということもありませんでしたが備えは大切です。 また人を雇うということは、その家族のことも真剣に考えないといけません。そうなると、一定の蓄えが必要になります。
またこのような状況になると本当に人のありがたさが分かります。生かされていると実感します。地域あっての塾です。地域にどれだけ貢献出来るかということを地域の方々も見てらっしゃいます。
各先生方々の塾も、地域の皆さんに信頼され支持される塾であって欲しいと思います。

※2012年度の全国の塾の詳細は、まだ分析中ですが、各地域で二極化が進んでいます。
私の感覚では、支持される塾と支持されていない塾に色分けされつつある気がします。
一言で言うと「評判の良い」塾となりますが、個人塾の評判とは、まさに塾長の評判です。
成績アップ率や、合格実績も大切ですが、それ以上に普段の塾内や地域での言動など細かく地域の方は見ているものです。非常時こそ日常の対応や態度を問われる時はありません。
アビリティが早急に対処出来たのも、また塾がすぐに立ち直ったのも、普段の対応、言動がお客の支持を得ていたからです。

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