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中学・高校受験:学びネット

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2011/11塾ジャーナルより一部抜粋

学校側、塾側両方から「塾説」を考える

  安田教育研究所 代表 安田 理
(株)学研で長らく受験情報誌・教育書籍の企画・編集にあたる。また、幼児から大学分野までを扱う教育情報プロジェクトを主宰。幅広く教育に関する調査・分析を行う。2002年教育情報編集部長を最後に同社を退職し、安田教育研究所を設立。講演、執筆、情報発信、セミナーの開催、コンサルタントなど幅広く活躍中。
 
     

 このところ私学にとって、入試環境は年々厳しくなっている。それにつれて、「塾対象説明会」を開催する学校が増えている。一方、塾もこのところ受験情報を豊富に持った保護者が増えているだけに、それを上回る情報を持つ必要がある。そうした点から、今回は「塾対象学校説明会」(今後は塾説と略す)について、開催する学校側について、参加する塾側として、両方の視点から私見を述べてみたい。

 いささかでも参考にしていただければ…という思いで書いているが、読者の方が抱いていることと異なる部分も多々あると思うので、あくまで私(安田)の観察、感想、意見と受け止めていただきたい。

学校の差はどこに出るか

 まずは、学校に参考にしていただきたいという点から。ただ、ダラダラ書くと読みづらいので、いいと思った例には○を、改善したほうがいいと思った例には●を、頭につけるようにした。

〈第1部・形式編〉

◆案内

●開催日の翌日に案内が届いた学校がある。宅配業者のミスであろうが、万が一のことがあるので、余裕を持って発送したい。

●他校に出席の返事を出した後に案内が届き、あることがわかっていれば出席したのに…と残念な思いをした学校がある。少なくとも、開催日の2週間前には届くように発送していただきたい。

●出席の締切が、開催日の3週間以上も前という学校があった。こんなに早く締め切る必要があるのだろうか。予定が立たないから出席の返事を出せない。締切はせいぜい1週間前にしていただきたい。

○返信ハガキ、返信FAXに、すでにこちらの名称、住所、電話番号が印刷されている学校がある。平日には時間が取れず、土日にまとめて20校もの返信を書く身にしてみると、これは大変ありがたい。

◆日程

●日によってものすごく重なる日とポッカリ空く日がある。近隣他校の開催日を把握し、翌年はなるべく少ない日程を選ぶようにしてはどうだろうか(例年同一日の学校が多い)。

○連続2日間開催して、ご都合のよいほうに出席くださいという学校が徐々に増えてきている。これだと参加できるチャンスはそれだけ増える。

◆受付

○スリッパに履き替える学校が多いが、ある学校で靴カバーを渡された。これだと荷物が増えないので助かる(雨の日に、手持ちのカバン、傘、靴、これに資料となると校内見学はキツイ)。

◆お弁当

 不要ではないだろうか。見ていると学校に残って食べる人は少数派。コンビニ弁当だと持ち帰るわけにはいかないから食べるが、なんだかわびしい。塾の先生に聞くと、弁当で意外に学校のセンスが見られている。

◆お礼状

 数日すると、参加へのお礼状が届くが、これは不要ではないだろうか。礼状が来ないからといって、学校への印象は変わらない。日本郵便を儲けさせるだけではないか。

○その日のアンケート結果を1週間ほどで送ってくる学校がある。これなら意味があるし、他の人がどこを見ていたのかわかり、参考になる。

〈第2部・内容編〉

◆プログラム

●これがなくて、いきなり校長の挨拶から始まると、何人の先生が登場し、何の話が聞けるのかわからないので落ち着かない。

◆生徒の登場

 塾説は会場が無反応なので、先生方は実にやりにくいと思う。そんな中、生徒に演奏やスピーチをさせる学校がある。なかには案内役を生徒がした学校もあった。

○生徒には塾の先生は優しいから、拍手が出る。その生徒がかつての教え子だったりすると、とても嬉しいそうである。また、これが会場の雰囲気を和ませるという効果がある。ただし、あくまで授業の妨げにならないという前提だろうが…。
一方、「塾説に生徒を使うのは、あまりいい気がしない」という塾の先生の声もあることも肝に銘じておきたい。

◆マニフェスト

●「MARCHに全員合格させます」といったマニフェストを掲げる学校が増えている。大学入試の実態を知る者からすれば「ありえない」ことがわかっているので、かえってその学校の大学受験に対する認識不足が不安要素になる。こうした「風呂敷」競争は、塾ひいては保護者の誤解の基になるので、避けたほうがいいのではないだろうか。

◆合格者数・進学者数・合格率・進路状況

 これらの表記が学校によってまちまちである。合格者数を進学者数と表記していたり、進学率と言っていても、実際は合格率であったりする。用語の使い方にもっと厳密であってほしい。センター利用入試の広がり、全学統一入試の導入以来、MARCH合格者数もバブル傾向にあり、一人で多数の学部に合格しているケースも多く、合格者数は年々持つ意味が薄くなっている。そうした中、

○正確な進学者数をキチンと出している学校が少数ながらある。こうした数字こそ、学校への信頼を高めるものであると思っていただきたい。この数字は塾説に参加しないと得られないものであるから、参加を促す材料になると思われる。

◆大学合格実績

 最近の塾説は、この部分の説明が、比重的にきわめて大きくなっている。

●国公立、早慶上智、MARCHの合格者数の伸びをグラフ化して強調。数字のみで、そうなった背景・理由が語られない。

○「上智の合格者数が伸びたのは、スーパー・イングリッシュ・ランゲージ・ハイスクールに指定された英語教育の成果だと思われる」「今年難関国公立が不振だったのは、センターの数学で点が取れず、出願先を下げてしまったため」…といった、今年の結果についての学校側の分析を話してもらえると勉強になる。

◆出題方針

 4教科の先生が出てきて、各教科の出題傾向、レベル、設問数などを語る。4人の先生が登場するのであるから、この部分の中身で、塾説全体の印象が大きく左右される。

●例年と同じ出題傾向、同レベル、同じ設問数であると語る学校がある。「だから安心して受けてください」ということなのだろうが、それならわざわざ各教科の先生が出てくる必要はない。最悪なのは、刷り物になっているものをそのとおり読んだケース。「こんなことで時間を取るのだったら、早く帰してほしい」と言っていた塾の先生がいた。

○「来年は検査時間を5分延ばします。といっても、設問数を増やすのではなく、考えさせる問題を多くしようと考えています」。──こうした説明をされると、学校が少しでもレベルの高い生徒を採ろうとしている向上心が伝わる。

◆取り組み

●校長が、学校が現在やっていることを羅列的に述べた学校があった。それぞれいいことなのだが、今、多くの学校がどこも似たようなことを行っている現実がある。多くの塾説を訪れている塾の先生にしてみると、何ら新鮮なものは感じないのではないだろうか。

●校長の話の中に、頻繁に「○○したい」「○○していきたい」という言い回しが出る。このことは逆に、「できていない」「なかなかできない」現実であることを印象付ける。
校長就任初年度ならいいが、2年目以降は「したい」は減らしていただきたい。

○それらをやり始めた理由、それによって生徒がどう変わってきたのか……そうしたことまで語って、初めて他校との違いが生まれる。

●カリキュラム、講習、教材、予備校教師の導入……学校の学習システムについてはいろいろ語られるが、生徒についての話が、一向に出ない学校がある。塾の先生からすれば、入れた生徒がどのような学校生活を送っているのか、勉強面以外についても知りたいのではないだろうか。

○その学校の生徒の現状に即した、具体的な試みについて語られると好感を持てる。「復習・予習の習慣をつけるために、学年のスタート時期に、学校にいるうちに、復習・予習をする期間を3週間設定した」……など、学校独自の工夫が聞けると来て良かったと思える。

○校長、学年の先生から、生徒に関するエピソード、学年を経るにしたがって、どう成長していくかといった話があると、その学校像、日常の生き生きした姿が垣間見えて嬉しい。

◆パワーポイント

●最近の塾説は、そのほとんどがパワーポイントを使用して説明される。これを中心に説明される場合、刷り物になっていないと、塾の先生の多くはメモを取らないから、よほど印象的なことでない限り、残らない。まして、出席した先生以外には伝わらない。

○学校案内、HPに掲載されている以上の、深く詳細な中身があり、それらを伝えることが塾説を開く意味である。また、塾に学校案内、募集要項以上の中身を知ってもらう上でも、パワーポイント部分も印刷して配付したい。

◆授業見学

 説明会の前でも後でも、これができるような日時の設定が望ましい。

●授業見学ができると言っていながら、廊下からしかダメ、ドアが硬く閉ざされ、入りにくい学校があった。

●「ご自由に見学ください」と言われたが、どこで何学年の何教科の授業が行われているかわからないのは、自分がわかる教科を探す時間のロスが大きかった。

○校舎案内図と各教室の学年・教科名が記載されたプリントが配付された学校、各教室の廊下側に学年・教科が大きく書かれた学校などは、配慮に感心した。

●個人的には、中1と高3の教室を見るようにしているのだが、学校によっては驚くほど生徒の姿勢が違う。中1はどこも前のめりの姿勢で授業を受けているが、高3になると緊張感にあふれた学校がある一方で、椅子にもたれかかって、だらけた姿勢の生徒が多い学校もある。「外部模試を受けている」とか理由をつけて、高3の教室には行かせないほうがいいのではと思ったくらいである。

○私立同士でもこんなにも違うのかと思うくらい、教室そのものの雰囲気が違う学校がある。(授業風景でなく)教室そのものの、机・椅子、壁に貼られているもの、教室に置かれている本、部屋全体の色調、黒板のサイズ、教室名のプレート……色彩にあふれて明るい教室もあれば、モノトーンでストイックな雰囲気の教室もある。

◆「らしさ」の欠如

●各学校が塾説でとったアンケートを見ていて気付くのは、どこも学力向上、大学への進学指導の話が中心で、「その学校らしさ」が希薄になっていること。高い実績を出しても、受験予備校のようになって「らしさ」を失ってしまっては、塾の先生の支持も失ってしまう。

○「らしさ」をきちんと打ち出してこそ、塾の先生が保護者に「こんな学校もあるんですよ」と薦めてくれるのではないだろうか。
どこも校長、進路部長、広報部長が登場するのが定番。校長の話は信頼感を得なければならないから、どうしても立場相応の話になる。進路部長、広報部長の話は、中身からして、当然、情報の伝達という色合いが濃くなる。つまり個性が出しにくい役割である。そうした中で、一般の先生を登場させる学校がある。

○ある学校では毎年教科の教育実践報告というのがある。今年は国語だった。「5分間書写の取り組み」についての話だった。配られたプリントにはこんなシリーズ名がついている〈こころの大地に種をまく5分間〉。書写する文章は、江國香織の「デューク1」。先生は意図的に「心の琴線にふれる作品」「自己を省みる課題を持つ作品」を選ぶようにしていると語った。──こんな、いかにもその学校らしさが伝わる説明会はありがたい。
――この学校は、他の先生の話も印象に残ることが多い。なぜなのか考えてみた。
思い至ったのは、一般論ではない「その人ならでは」のことが語られているからではないかと思う。
たくさんの塾説を歩いたとき、数日すると、「これ、どこで聞いたのだったかな」ということがよくある。
これからの塾説、「自分の学校らしさは何か」をよく考え、「らしさを伝えるにはどうするか」という発想をしていただければと思う。

塾はどう参加するか

 ここからは、塾として「塾対象学校説明会」にどのような姿勢で臨むか、またどう活用するかについて、考えてみたい。

◆遅刻・欠席をしない

●まず最初に、塾の先生にお願いしたいことは、何と言っても、遅刻・早退は止めてもらいたいということ。私も数多くの塾説に足を運んでいるが、気になるのは、始まって50分以上経過してから堂々と入ってくる先生が、どこの学校でも必ずいるということ。また、後ろのほうに座っていて、冒頭の10分くらいで引き揚げていく先生が、これまた決まっているということ。逆の立場を考えたら、大変失礼なことと思うのだが…。

○同日に関心のある学校の塾説が重なったときには、当日の資料を送付してくれるよう依頼すれば、送ってくれるはずである。

◆資料・DVD・説明

○どこでもたくさんの資料が配付される。塾に持ち帰って、後で見ようとしても、塾に戻ったら、まずそんな時間はない。早めに行き、始まる前にざっと資料に目を通してはどうだろう。必ずいくつかは発見があるはずである。「資料はその場で見る」が鉄則である。

○開会前などにDVDなどの映像が流されることがよくある。どうしても漫然と眺めてしがちだが、行事・部活を行っている生徒の表情、授業での顔、旅行先での服装…、注意して見ると、学校により結構違うものである。DVDは業者が作ったものなのか、先生の手作りなのか、自分なりにその辺の判断をして、塾説後、広報担当者に聞いてみるのも面白い。

○推薦基準以外はメモを取る先生は案外少ない。が、学校案内、HPに載っていないことこそ、保護者の持っている情報を上回れるものなのだから、貴重なこの機会を逃すのはもったいない。「塾説ノート」を1冊用意し、これはという情報はメモしておきたい。受験校の相談を受けたときにきっと役立つはずである。

◆アンケート

○これこそ学校の役に立てる機会。当日気が付いたこと、普段から思っている学校への要望、保護者の学校評価……学校の参考になることをできるだけ記して帰りたい。

◆授業見学

○時間が許す限り、授業見学してはどうだろう。塾の先生なら、開催日から考えて、その学校の授業進度が速いのか遅いのか、また教材が生徒の学力にふさわしいのか、無理に難度の高い教材を使用しているのか、わかるのではないだろうか。

 また、いくつもの教科を見れば、一方通行の講義スタイルの授業が多いか、比較的先生と生徒がやり取りする授業が多いか、そうした学校の授業のスタイルを知ることができる。

○私などは、授業の中身はわからないので、生徒の授業に臨む姿勢(前のめりで受けているか、反り返っているか)、机の上に置かれている物(ペットボトルなど)、机がきちんと黒板に正対しているか、カバンが乱雑に床に放り出されていないか…などを見るようにしている。これが案外、学校によって違うものである。

○チャイムと同時に授業が始まっている学校、チャイムが鳴って、やおら教員室で腰を上げる学校……そんなことにも注意を払うと、授業見学が面白くなる。

○教室の後ろ、廊下の掲示物にも関心を持つと発見がある。成績優秀者名を掲示している学校、そうしたものが一切ない学校、中1、高1の教室だと自己紹介文があり、その文面、また連絡事項の文面等から、学校の校風が何となくうかがえるものである。そうしたものから教え子の誰に向いていそうか、誰には合わないなとか想像しながら見ると面白くなる。

○見学コースには図書館が入っていることが多い。蔵書はどの分野が特に強いか、バランスが取れているかといったことも、塾生の中に特定のジャンルに傑出したものがいる場合には注意したい。

◆懇親会

○中には塾説をホテルで開いたり、塾説後、懇親会が設けられたりする学校もある。どうしても普段やり取りしている広報担当者と会話することになるが、こうしたときに、一般教員がどの程度、学校の教育理念を共有しているか、話しかけてみるといい。また一般教員に、最近の入試状況、保護者事情の話をしてあげるなど外の風を当ててあげることも、学校の役に立てる要素の一つといえる。

◆塾に帰ってから

○どうしてもその学校の情報は、そこへ行った者の中だけで終わって、塾内で共有されにくい。週に1回でも、その週の「塾説情報交換会」が開けると共有しやすくなる。こうした会が無理なら、ファイリングをきちんと行い、皆が見られるようにしておきたいものだ。学校と同じように、塾も「集団知」で勝負したい。

◇最後にお願い

 いま中学受験においても高校受験においても、父親が熱心に参画するようになっている。中には「その学校を訪れた数時間で何がわかるというのか。校風で選べとはよく言われるが、これは無責任かつ非科学的だ。客観的な偏差値や大学合格実績で選択することこそが合理的だ」と言う人が少なからずいる。自分の主観ではなく、客観的な材料で選んだほうが間違いがないというわけだ。

 そのため、保護者対象の学校説明会も、塾説も、このところ数字的なことにポイントが置かれるようになってきている。そのことで逆に、「いろんな学校の説明会に足を運んだが、どこもおんなじだった」という声をよく耳にするようにまでなっている。

 塾の先生が塾説に足を運ぶのは、学校の実情を知ると同時に、自分の足で校内を歩き、自分の目で先生、生徒を見て、塾生の性格やわが子をこう育てたいというご家庭の教育方針などとマッチしているかを確認するためのはずだ。

 塾の先生にはぜひプロとして、受験案内、模試のデータだけではできない学校選びをしていただきたい。

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