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中学・高校受験:学びネット

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2010/11 塾ジャーナルより一部抜粋

代々木ゼミナールがサピックス小学部をグループ化
小・中・高の連携で、難関大へのサポート体制を強化

     

今年5月27日(木)、学校法人宮学園代々木ゼミナールのグループ会社である株式会社日本入試センターは、大手進学塾「サピックス小学部」を運営する株式会社ジーニアスエデュケーションの全株式を取得。同社のグループとしたことを発表した。昨年9月にはサピックス中学部・高校部(株式会社サピエンス研究所)をグループ化しており、今回ですべてのサピックスを傘下に収めたことになる。これにより小・中・高の連携が可能となり、難関大学を目指す受験生のバックアップ体制をさらに強化したい考えだ。代々木ゼミナール副理事長であり、ジーニアスエデュケーションの代表取締役会長に就任した宮敏郎氏に、その経緯や今後の展望を聞いた。

代々木ゼミナール 副理事長
サピックス中学部・高校部(株式会社サピエンス研究所)代表取締役社長
サピックス小学部(株式会社ジーニアスエデュケーション) 代表取締役会長
宮敏郎

―― 今回、サピックス小学部も傘下に入った、その経緯から教えてください。

 昨年9月に中学部・高校部をグループ化させていただいたとき、同じサピックスというブランドということで、小学部を運営するジーニアスエデュケーション様へもご挨拶に伺いました。その際「これからサピックスを大きくするにはどうしたらよいか」という話があり、ならばグループ全体で一緒にやっていくのはどうだろうかと話し合いをさせていただいたのがきっかけです。

―― グループ化のメリットは、どのような点にあると考えていますか。

 代ゼミの特長のひとつに、職員と講師の先生方の仕事が完全に分離しているということが挙げられます。職員はバックオフィスの効率化を進め、先生方は授業に集中できる体制を整えるという伝統というかDNAが代ゼミにはあります。今回のグループ化したことで、サピックス小学部41教室という大きな組織のマネジメントは我々がお手伝いをして、先生方には気持ちよく授業をしてもらえる環境がつくれると考えています。

―― 具体的にはどのようなことを?

 例えば、著作権の処理や建物の管理等の一元化。今の言葉でいうと「シェアードサービス」というのでしょうか、広報活動もこれまでバラバラにやっていたことを一体化して行うことで、効果的に訴求できると感じています。折り込み広告も含めて、一緒にやれることのメリットは大きいですね。中学部・高校部を運営するサピエンス研究所のオフィスも中央区・日本橋から代々木に移転してきました。同じ施設の中で業務を行うことで、さらに連携を深めることができると考えています。

―― 講師が授業に専念できる環境の整備が進んでいるわけですね。

 小・中・高すべてで「良い授業をしよう」という「原点回帰」を図りたいと思っています。例えば、中高部では3教科を教えるのか5教科にするのかという、議論がありました。中学1年から5教科を選択するのは生徒の負担にもなりますし、受験科目が5教科の高校も数が限られています。生徒の数だけを考えると3教科なのですが、売り上げを追及するのがよいのか、トップ校に合格できるメッセージ性の強い塾にするのがよいのか、迷っていた時期があったのです。そこで、先生方の意見を聞いてみたら、やはり「5教科を教えたい」と言う。先生方の中には、サピックスで教えるからには、トップ層の生徒たちと切磋琢磨したいという自負があるのだと思います。それこそがサピックスとしての原点回帰でもあるわけですね。
生徒にとっても大学受験を考えた場合、東大をはじめとする国公立であれば、センター試験の点数も重要視されますし、受験科目の数も多い。早い時期から5教科をしっかりやっていくことは、最終的には生徒のためにもなるのではないでしょうか。

―― 小学部もグループ化したことで、さらに早い時期からのサポートも考えていますか。

 そうですね。例えば、中学受験で思い通りにいかなかった11、12歳で成績が伸びなかった生徒も、その後飛躍できる機会は大いにあります。そうした生徒が高校受験や大学受験でリベンジしようとしたとき、グループ内で一貫した指導ができる。そうした長いタームでお付き合いできるのは非常に良い点ではないでしょうか。

塾の面倒見の良さを
予備校が学ぶ

―― 中学部・高校部がグループとなってほぼ一年ですが、代ゼミ本体への影響はありましたか。

 塾の文化と予備校の文化、それぞれお互いの文化を学べるところが非常に大きいですね。これまでの予備校の授業というと、テキストを解説し、問題を解くスタイルでしたが、サピックスの授業ではできなかった問題を中心に教えていた。この部分がかなり違いました。できる生徒にとってはわかる問題の解説を聞いてもまどろっこしく感じてしまう。その辺りの授業の進め方は非常に勉強になりましたね。
また「今の塾は面倒見がいい」という情報はあっても、外部から見ているとなかなか伝わらない部分もあった。それが実際に塾の授業を見ることで、納得できたことは大きかったと思います。先日も全国の局長が集まる会議があったのですが、そこで「今の塾はこういうのが主流なんだ」と見てもらう機会を設けました。
現代の子どもたちの学力や志向は多様化していますから、セグメントごとに適した勉強の仕方で対応していく必要があるわけです。これまでの予備校の授業はそうしたニーズに向いていなかったところもあります。これからはこうした面倒見の良さも必要だと、先生方の意識改革も進めていければと思います。

―― 予備校の授業というと、100人単位の教室でカリスマ講師が授業を引っ張っていく印象がありますが…。

 今はそれだけではないのです。ある年代以上の先生、40代前後の保護者の方は、自分が経験した頃の予備校のイメージを持っておられることがあります。そのイメージを払拭するためにもサピックスから学び、対外的にも代ゼミが変わったということを知ってもらえるといいですね。
一方、映像授業の発信も行っています。きめの細かい少人数のクラスと全国配信できる授業とバランスよくやっていきたいと考えています。

―― この一年を振り返って、どう感じていますか。

 この一年はそれぞれの自己改革と効率化を図っていくための期間でした。改革の次のステージとしては、それぞれの良さをどう組み合わせて、いかにバランスをとっていくかだと思います。

―― 今後もM&Aの可能性はありますか。

 私ども以外の事例でも、これだけ連日塾関連のM&Aのニュースが流れておりますと、無関心ではいられない部分もあります。お互いにとってプラスになり、結果として、子どもたちのプラスになるお話であれば、前向きに考えたいとは思っています。
業界再編が進む中、ともすれば、子どもたちより大人の事情を優先させているように受け取られてしまう側面があることは否めません。サピックス・代ゼミグループとしては、子どもたちにプラスにならなければ進めるべきではないと思いますし、それは長い目で見てもプラスにならない。先ほどの原点回帰ではありませんが、子どもたちのためを最優先する、とシンプルに考えています。

―― 本日はどうもありがとうございました。

サピックスと代ゼミが総力をあげた究極の東大現役合格塾
Y・SAPIX東大館

 代々木ゼミナールグループは今年9月、サピックスと代ゼミのノウハウを結集した現役生対象の東大専門塾「Y・SAPIX東大館」を東京・代々木に開校した。サピックスの少人数制演習授業と教材、代ゼミの東大入試問題分析力やテキスト、カリキュラムが融合した新スタイルの塾で、現在までに約100人の生徒が入塾。来春には200人まで増えそうな勢いだ。

  この塾には10〜20人までの少人数対応の教室が9つ。その他に個別学習指導ジム、添削トレーニングジム用のデスクが用意された「リベラルスクエア」があり、ここでは現役東大生インストラクターによるアドバイスを受けることができる。
さらに特徴的なのは、「リベラル読解研究ゼミ」という、ゼミ方式で1冊の本を読み、ディスカッションする授業があることだ。

 代々木ゼミナール副理事長の宮敏郎氏は、「数学や英語に重きをおくのは従来通りなのですが、理解したことを相手に伝えるベースとなるのは国語だと考えています。東大入試では特に、読解・分析力、高度な論理力、自己表現力が求められます。そうした総合力を持った、社会に出てからもグローバルに活躍できる生徒を大学は欲しているのです」と語る。
東大館の奥村直生館長も、「東大入試では、要旨を自分の言葉で端的にまとめる力が重要視されます。それには今までどれだけ本を読んできたか、ボキャブラリーの豊富さも大事」と話す。国語に特化した授業を行うことで、差別化を全面的に打ち出したい考えだ。

 このゼミは高校1年〜3年まで学年を問わず受講できるが、希望者はあらかじめ国立大レベルの現代文の問題を受け、クラス分けが行われるという。

 またサピックス小学部・中高部の伝統である「SS特訓(サンデーサピックス)」の経験を生かした「日曜特訓ゼミSS」も開講。ほぼ毎週、東大入試と同じ形式のテストを受けることができる。
これらの講座やゼミ、自習ブース席はすべて予約制で、携帯電話もしくはパソコンから予約可能。しかも入室、受講の記録はすべてIDカードを端末にタッチすることで一括管理ができるとあって、システムも最新のものが導入されている。

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