〜全日制・定時制・通信制の枠を超え独自の一校を作る〜
天王寺学館高等学校
前述の校長会に所属している天王寺学館高等学校を取材した。
平成14年開校、今年9年目を迎える天王寺学館高等学校(大阪市阿倍野区)は、単位制・総合学科の通信制課程でありながら、通信部と通学部を併設しているのは、現在の通信制高校の在り方に一石を投じたいという教育方針の根幹となる考え方があるからだ。
「全国の高校約5,000校中、通信制高校は200校、高校生の約10%が通信制に在籍しています。通信制高校の多くは、高校卒業資格取得を目標にしているようですが、当校では生徒のため、ひいては将来の日本のために、高校卒業後に若者の将来の夢に到達できるよう導く指導を軸として、日々の教育に携わっています」と久井通義学校長は語る。
コースは通信部4コースで、週3日午前中登校、通学部は年次によってコース数が異なり、大学だけでなく芸術系への進学を目指すコースなど、豊富にそろっている。通学日数は週3日〜5日で、通信部と通学部の変更が入学後に選択できるという、生徒の状況に合わせた柔軟なシステムなのも特徴だ。また、平成17年からは、登校自体に悩む生徒に合わせ、視聴メディアコースを設置。年間5日間程度の特別指導による登校と自宅学習で高校卒業単位を取得できる。一方、生活指導面も徹底。学校行事も豊富に行われているが、基本は自由参加とし、必要以上の集団行動は行わなくて済む。
こうして育った生徒は、各々自らの進路を決めて巣立っていく。昨年度の進学率は約90%で、中でも4年制大学進学者数は63%以上、国立大学をはじめ、関関同立・産近甲龍といった関西トップレベルの私立大学への進学も果たしている。
「柔軟に変化できる独自の教育をさらに進化させ、子どもたちが明るい顔で通える学校に」と願う久井校長。
今年10月にはJR平野駅前の新キャンパスに移転し、より充実した環境での教育に一層の期待がかかる。 |