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中学・高校受験:学びネット

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2010/7 塾ジャーナルより一部抜粋

中高入試を考える会
23年度はどう動く? 変革の嵐に立ち向かう私学・塾の対策とは

  2010年5月23日(日)/主催 NPO法人 学習塾全国連合協議会  
     

 NPO法人学習塾全国連合協議会(塾全協)主催の「中高入試を考える会」が5月23日(日)、東京・渋谷区のTKP代々木ビジネスセンターで開催された。長引く不況や学習指導要領の改訂、公立中高一貫校の増加などで、中高入試は大きな転換期を迎えている。

 当日は平成22年度の入試結果を踏まえ、これらの要因が来年度の首都圏入試にどのような影響を及ぼすのかを、基調講演とパネルディスカッションを交えて考察。首都圏4都県の入試担当者や学習塾の関係者ら100人余りが詰めかけ、熱心に聞き入った。

 研修会に先立ち、塾全協東日本ブロック理事長の沼田広慶氏が挨拶し、業界のさらなる発展への尽力を誓った。続いて、沖縄から出席した塾全協全国会長の後田多純寿氏が「なんくるないさ(沖縄弁で“なんとかなるさ”)の気持ちで頑張ろう」と呼び掛けた。

 その後、森上教育研究所所長の森上展安氏と岩佐教育研究所所長の岩佐桂一氏による基調講演、新教育研究協会営業部次長の穴澤嘉彦氏と総進図書営業部の岡山栄一氏をパネリストに迎えてのパネルディスカッションが行われた。コーディネーターは塾全協全国事務局長の菅原明之氏。

基調講演
中学受験は共学化と
付属校設立の嵐

森上教育研究所 所長 森上 展安氏

 平成22年度の首都圏の中学入試は、不況の影響で7年ぶりに受験者数が募集定員を下回った。その結果、得点偏差値は約2ポイント低下。勉強しないでも合格できるという、非常に緩和した状態となった。

 1日と2日に入試が集中、受験者の減少で繰り上げ合格が多かった。特に東京、神奈川の1日の午後入試の勢いが強く、下位校の受験生が午後受験で合格してから併願校を受験している状態で、学校が合格者の獲得に苦労している。来年もこうした状況が続くだろう。定着してきた午後入試だが、“第二志望でもよい”という大きな問題を投げかけた。

 目立ったのは、大学付属校の設立と共学化の嵐が私学全体に及んだことだ。ここまで共学校が強くなると、特に東京、神奈川の中高一貫伝統校の特長である男子校、女子校の看板が色あせてしまう可能性がある。もとより、不況で中高受験は公立へ大きくシフトし、私学は逆風にさらされている。第三者評価まで視野に入れ、私学ならではの魅力を発信していくべきだ。

 学習指導要領が改訂されても、カリキュラムが変わらなければ、子どもたちの勉強の完成度が低くなる。中学受験に備えてトレーニングしてきたレベルと入学後のレベルをいかに接続していくかが課題だ。

 長引く不況で、中学受験そのものを回避して、高校受験へという流れさえある。中学受験を盛り上げていくには、偏差値ではなく、学力を問う入試問題の作成が必要だ。工夫がなければ、中学受験はこの先2、3年は鎮静化していく。

基調講演
再編計画の完了で
公立高校が大攻勢へ

岩佐教育研究所 所長 岩佐 桂一氏

 今春の私立高校入試だが、都内のB推薦が利用不可になり、実施校が75校に減少した。受験者数をみると、東京は在籍者数が約4,000人増加したにもかかわらず、同数の出願者が減少するという奇妙な現象が起きた。上位校を目指す生徒が、埼玉、千葉を併願先にしたためと考えられる。

 一方、公立高校の状況だが、少子化や学力低下といった教育環境の変化を受けて、入試改革のうねりが生じている。少子化については、中学3年生が平成23年度だけ減少するという「突然の少子化」とも重なった。

 埼玉では今春、公立志向は高まっているのに、不合格者が減った。不合格者が4月に併願校に手続きしたり、全日制を断念して定時制や通信制に第一志望を変えてしまうという、非常に厳しい入試となった。

 1都3県とも、公立志向は全受験生の1%増加したにすぎないが、それぞれ約650人が私立単願から公立との併願に移ったと考えると、かなり大きな数字だ。公立志向の理由は不況感もあるが、公立高校無償化がさらに拍車をかけた。単願者の減少は来年も続くだろう。

 前期の改革は今後の大きなテーマだ。すなわち前期選抜の割合を増やし、日程を後にずらして学力検査を入れるというのが、これからの首都圏入試の主流になっていく。卒業式の前に高校の合格発表があるのは、全国で東京、千葉、埼玉、神奈川だけ。これを是正し、中学3年生の授業を充実させようというのが改革の目的だ。平成22年度からは埼玉で、来年度からは千葉で実施する。さらに、埼玉は平成24年度に入試を一本化する。

 今後の入試動向で特に注目されるのは、統廃合や新設といった公立高校の再編整備計画が終盤を迎えていることだ。神奈川はすでに終え、東京は来春、千葉は平成24年、埼玉は平成25年にこれを終える。日比谷に公立復権の兆しがあるように、インフラ整備の終了とともに、公立高校の大攻勢が予想され、公立志向がいっそう高まるだろう。私学は公立とどう差別化していくかが課題だ。

安全志向が高まる
都立高校入試

新教育研究協会 営業部次長 穴澤 嘉彦氏

 今春の都立高校入試は、全日制の合格率が70・9%、1万2,500人もの不合格者を出すという厳しい結果になった。卒業生の数が約4,000人と、大幅に増加したのが主な理由だ。全日制の不合格者が流れて、定時制、通信制の進学率も上昇した。また、専門学科の倍率上昇も目立っている。

 在籍者数の増加に対し、中堅校が受け入れ枠を増やした結果、学力レベルでの志願状況に大きな特徴が出た。上位層では男子と女子で相反する結果になり、女子は安全志向で志願者が減少し、合格率が上がった。中堅層はクラス増になったので、むしろ昨年より倍率が下がった。下位層は男女とも最も厳しい結果となった。一般入試の不合格者のうち、上位層と中堅層は9割以上が併願校に手続きしたが、下位層は定時制の2次募集にまで流れて行かざるを得なかった。

 都立入試が厳しかったため、上位から中堅層の併願校への歩留まり率が高い傾向にあるが、どの学校と併願しているかによって、歩留まり率は大きく変わっている。上位層は旧4学区、旧5学区から旧2学区の上位校へ流れたが、こうした受験生の流動化も歩留まり率に大きな影響を与えた。

 また、B推薦の利用不可では、受験生はワンランク落としてでも確実に併願がとれる私立高校へ流れたようだ。都立1校と私立1校の計2校しか受けない受験生が圧倒的に増えた。加点のB推薦を受けないよう指導した中学校があるなど、現場もかなり混乱したようだ。

 来年は都立高校の推薦入試で、大幅な定員減や面接カードの導入などが検討されており、面倒な推薦入試を避けて、一般入試に専念しようという受験生が増えるのではないか。

2次募集が消える?
千葉・公立中入試

総進図書 営業部 岡山 栄一氏

 千葉県の公立中学校の入試制度は、学力低下の問題を受けて、平成20年度にターニングポイントを迎えた。入学してきた生徒の学力が内申点に見合っていないという内申バブルの問題については、昨年度の入試から「算式1」を用いて内申点を調整してきた結果、ある程度の抑止力が働いたとみている。

 また、学力検査は基本的な知識を測る問題から、思考力や表現力を測る問題、複数の完全解答を答える問題へと傾向を変えてきている。その結果、平均点は平成20年度から低下しており、平成22年度は237・6点と非常に低い。理科は33・8点と40点を切った。

 千葉はもともと公立志向が強い県だが、不景気でさらに拍車がかかった。これまでは上位の人気校と下位の不人気校と二極化していて、2次募集という受け皿があった。ところが、ここ2年は上位校から下位校まで倍率が高い状況が続き、全日制では2次募集する高校が非常に少なくなっている。特に都市部にその傾向が強い。定時制の倍率も昨年に比べて大幅に上がり、2次募集をしない学校も出てきた。その結果、最初の特色化選抜から安全志向がかなり強くなった。

 公立高校への推薦制度が見直され、高校入試が「受験学力」に傾注した場合、公立中学校へはどんな影響があるのか。正直なところ、学力検査のレベルと実際の授業のギャップは相当大きい。昨年度から移行措置が始まったが、現実的には中学校が学力検査の問題に対応するのは非常に難しい。学習塾の先生方の出番だと考えている。

 その後、質疑応答があり、私学の中堅校の入試問題については、参加者から「子どもたちの学力に合わせた問題作りに市場全体が動いており、個性がある私学作りが困難になっている」などの意見が出された。

 充実した意見交換が交わされた大会は、大会実行委員長の中村基和氏のあいさつに引き続き、西日本ブロック理事長の山下典男氏が閉会の辞で締めくくった。

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