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2009/1 塾ジャーナルより一部抜粋

第34回NPO塾全協全国研修大会
「改革のうねりを迎えて」

  2008年11月3日(祝) / 於 アルカディア市ヶ谷(東京都千代田区)
主催 NPO法人学習塾全国連合協議会
後援 東京私立中学高等学校協会、社団法人全国学習塾協会
 
  「ゆとり教育」から学力重視へ、首都圏では公立高校入試の大改革が始まろうとしている。埼玉県は2010年度から入試制度を大幅に変更し、前期・後期選抜ともに学力検査を実施することを決めた。翌年の2011年度からは、千葉県においても同様の変更が予定されている。そこで、今年のNPO塾全協全国研修大会は、「改革のうねりを迎えて」と題して、埼玉・千葉・東京の各私立中学高等学校協会を代表する先生方を招いて、講演会を行った。会場には、私学・学習塾関係者ら約130人が詰め掛け、講演に聴き入った。  

 

■開会式

研修大会は、NPO塾全協東日本ブロックの沼田広慶理事長による開会の辞で始まった。最初に、大会委員長を務める後田多純寿会長が挨拶を述べた後、来賓として、東京私立中学高等学校協会の近藤彰郎会長が挨拶に立った。その中で、来年度から実施される「教員免許更新制」について触れ、「10年に一度、新しい知識を得ようという。しかし、技術的なことを含めて、知識は日々の積み上げでしか得られない。文教行政は、我々の考えとはほど遠いところにあるように感じられる。日本の教育を守るために、学習塾と連携していきたい」と述べた。

続いて、全国学習塾協同組合の森貞孝理事長は、塾全協が設立当初から研修大会を開催してきたことに敬意を表し、「学習塾が日本の教育のために一生懸命がんばっているということを、社会にもっと広く知らせていきたい」と挨拶を述べた。

■講演会

埼玉県では、公立高校入試が2010年度から大きく変わる。前期募集の入試日を現在よりも2週間ほど遅らせ、合格者を現行の「募集人員の40%程度」から「80%程度」へ拡大する。また、すべての志願者が5教科の学力検査を受験することになる。

千葉県は、2011年度入試より入試制度を改定するとして、素案を発表している。主な内容は、@すべての志願者に学力試験を課す。A入試日程を現行よりも遅らせる。また、前期選抜の選抜枠は、普通科で募集人員の10〜60%程度と、現行より上限が10%拡大される。

講演会では、埼玉・千葉・東京の各私立中学高等学校協会を代表する先生方が、各地域の現状と方向性を語った。

●埼玉県私立中学高等学校協会副会長・
学校法人狭山ヶ丘学園 狭山ヶ丘高等学校 校長 小川 義男氏

本日は協会の副会長としてではなく、狭山ヶ丘高校の校長としてお話させていただきたい。

今度の入試改革で、入試日を遅らせることになると、私立はいつまでも生徒の人数を最終確定できない。私立高校としては、生徒数減少だけでなく、非常にやりにくい時代に入ってきた。こうなると専願を増やしていくしかないが、現在埼玉県にある48高校の充足率は85%。専願で満たすのは、ほとんど不可能だ。埼玉全体として、どうしたらよいか困っている。

このように公立が入試制度を変更するたびに、なぜ我々が脅えなければならないのか。それは私立の授業料が、公立高校の約3倍と、格差が大きいからだ。

ところで、国立大学の授業料が、独立行政法人化により値上げされた結果、私立大学は国立をあまり恐れる必要がなくなった。高校は大学と同様、義務教育ではないのだから、何とかして公立高校を独立行政法人にしてもらえないかと考えている。授業料に大差がなければ、あらかたの子どもは私学に来ると思う。我々はそれほどの自負を持っている。

独立行政法人化が無理であれば、私学への助成金を増やしていただきたい。ところが、政治家の中には、憲法89条の「公金その他の公の財産は、宗教上の組織、若しくは団体の使用、(中略)又は公の支配に属しない慈善、教育若しくは博愛の事業に対し、(中略)支出してはならない」を盾にとり、「助成金は憲法違反」という人たちがいる。

しかし、憲法14条に「すべて国民は、法の下に平等」だから「政治的、経済的差別されない」とある。いま私学の生徒が、多くの財政的負担を強いられている。このほうが憲法違反だと思う。

さらに改正された教育基本法の8条には、「私立学校の有する公の性質および学校教育において果たす重要な役割にかんがみ、国および地方公共団体は、その自主性を尊重しつつ、助成、その他の適当な方法により、私立学校教育の振興に努めなければならない」と定められている。それにもかかわらず、私学は継子扱いされているようだ。我々はひもじい思いで日々営々と努力して、やっと学校を維持している。何か根本的なところで、私学の運営に関する政治の責任の欠落が、問題になるのではないだろうか。

●千葉県私立中学高等学校協会会長・
学校法人聖書学園 理事長・千葉英和高等学校 校長 大羽 克弘氏

私立高校と公立高校の授業料格差の全国平均は5倍だが、千葉県は5.5倍。現在の堂本暁子県知事は私学に理解ある人だが、県の財政が許さないということで、私学への助成は全国最下位レベルだ。

さらに千葉県は、上総、下総、安房に分かれて地域差があり、それぞれに事情が違う。その中で私ども協会は、高校の適正配置ならびに募集定員数を公立と私立で同数にすることを訴えている。私立と公立の収容定員比率は現在、31対69。教育は企業ではないが、公立はいわば圧倒的なシェアを誇る独占企業だ。ここに千葉県は年間約850億円の巨費をつぎ込んでいる。一方私学は30%のシェアといっても、それぞれ別個の企業。助成金も少ない。

今回の入試改革では、公立高校が前期選抜で、生徒を最初にとってしまうことになる。これに対して、どう対応していくかはまだ煮詰まっていない状況だが、公立高校に一歩引いて譲っていただかないと、伝統ある私学が大変なのだということを訴えている。

千葉の私学はさまざまな問題を抱えている。しかし、県教委学事課と財務当局を入れての作業部会や県議との勉強会で、我々の要望を伝えていきたい。

●東京私立中学高等学校協会副会長・
学校法人東京女子学園 理事長・東京女子学園中学校・高等学校 校長 實吉 幹夫氏

本日は、都立高校入試の仕組みについて、気になる点を述べたい。

以前は公私連絡協議会において、都立高校の校長から我々に、「私立が推薦で募集人員の50%までとっているのに、都立高校が20%に留まっているのは不公平。枠を広げたい」という要望が出ていた。しかし、最近では全く話に出ない。この背景には、推薦で入ってくる子どもの学力の問題が、表面化しているのだろうと推測される。都立側としても、推薦入試のあり方を考えなければならないのではないだろうか。

平成21年度の入試をもって、5年間の中期計画が終わり、我々も次の入試に向けて見直さなければならない。新しい中期計画をつくるときに、推薦入試をどう扱うかが問題になるだろう。

東京都教育庁のホームページに、「平成21年度東京都立高等学校入学者選抜検討委員会」が、「平成20年度東京都立高等学校等入学者選抜の検証」と題して、入学者選抜をどうしていくかという見解を掲載している。

これを見ると、推薦入試における「自己PRカード」の使い方が変化してきていることや、公立で「観点別学習状況の評価」を使っている学校がわずかしかないことがわかる。

「観点別学習状況の評価」とは、相対評価から絶対評価へ変わるときに、我々の「絶対評価は信用ならない」という主張に対して、出てきた最終的な形だ。すなわち「観点別に学習評価をA・B・Cでつけるから、それを点数化することによって、子どもの特性がわかる」と教育庁側が主張した。

しかし、「アンケート調査に基づく検証・検討」の項目で、「推薦に基づく選抜において、観点別学習状況の評価を活用した高等学校長を対象としたアンケート」の回答数はわずか15校。これに対して、「推薦に基づく選抜において、評定を活用した高等学校長を対象としたアンケート」では150校が回答している。つまり、多くの都立高校が「観点別評価なんて当てにならない。調査書一本でよい」となっているのではないだろうか。

都立の普通科高校は当初、「学力だけでなく、子どもたちのいろいろな能力を見て、入学選抜しよう」と言って、推薦入試を導入した。しかし、建前がどんどん崩されてきて、いまや推薦入試の導入趣旨も変わってきていると思われる。

一方、私立学校にとって推薦入試は、最初に生徒を確保するために必要だ。我々も推薦入試の趣旨をどうしていくかということを考えていかなければならないだろう。

また、絶対評価と相対評価のあり方について、さまざまな観点があるが、私個人としては、私学として統一テストを実施してもよい時期が来たのではないかと思う。もっとも、まだ48%の学校しか賛成していないので、導入は難しいだろう。しかし、状況が変化しているのだから、入試制度を変えていくことを検討する時期に来ているのではないだろうか。

平成元年に公立高校には15万人の生徒がいたが、現在は7万人しかいない。したがって、一方的に公立の定員を減らせというのは、私学のエゴでしかない。例えば、本校の学則定員は1,320人だが、実際にはそれだけの数が集まらない。しかし、子どもたちが多様性を認めるためには、教育の場にはある程度のマスが必要だ。その点から本校の場合は900人規模で考えるのがよいのか。教員たちと「試算しなきゃね」というような話をしている。私学もそんな時期に来ている。

そういったことも含めて、「私立の在り様」や「公立の在り様」について、いまの公私協の場で話し合えないもどかしさを感じている。

また、私立大学の囲い込みの問題もある。学生を確保するために、付属高校や中学校・小学校をつくる。今後、全国各地で問題となってくるだろう。これは、エゴを出さないように、私立学校審議会という立場で考えていかなければならない。

講演会終了後に閉会式が行われ、塾全協東日本ブロックの内藤潤司副理事長によって、「大会宣言」が読み上げられた。続いて、後援団体である社団法人全国学習塾協会の伊藤政倫会長が登壇し、「私立学校と学習塾の置かれてい状況が、かくも類似し、しかも同じ問題を抱えていることを痛切に感じた。我々学習塾団体も心を一つにし、国に対してもの申すべきである。私立学校とも連携し、ともに日本の子どもたちのために汗を流し、労を共にしたい」と挨拶した。最後に、塾全協西日本ブロック理事長の山下典男氏が閉会の辞を述べて、全国研修大会を終了した。

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