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2009/1 塾ジャーナルより一部抜粋

過当競争時代を勝ち抜くための戦略〜こうして塾は潰れていく
日本教育者セミナー大阪大会

  2008年11月19日(水)・20日(木) / 於 シティプラザ大阪(大阪市中央区)  
  「乱塾時代」と言われた1970年代後半からこれまで、数多くの学習塾が生まれては消え、生まれては消えを繰り返してきた。少子化を背景に伸び続けてきた個別指導も飽和状態に近づき、過当競争の時代を迎えている。時代の流れにのみ込まれることなく勝ち残るには、経営者が明確なビジョンを持っていなければならない。そこで日本教育者セミナーは、昨年11月19日(水)・20日(木)の2日間にわたってセミナーを開催し、「個別指導の差別化戦略」や「塾の敗因」「M&A」など、塾経営に直結するテーマを中心に、全4講座を実施した。  

 

【第1日目】

日本教育者セミナーは、毎年春と秋に会員塾の持ち回りで、セミナーを開催している。今回の幹事塾は、8月22日にジャスダックに株式上場を果たした、株式会社成学社である。同社の永井博常務取締役が司会進行役を務め、セミナーが開始された。最初に、日本教育者セミナーの岡村寛三郎理事長が、「昨今の厳しい経済情勢を見ていると、量で勝負するビジネスには、限界があるように思われる。これからの日本は、世界に高く評価されている歴史や伝統文化を生かす質的価値を重視する方向性で、ビジネスを見直すことが大切。我々も、来年度に向けて大きな肥やしとなるように、しっかり勉強していきたい」と開会挨拶を述べた。続いて、セミナーの第1講座は、「個別指導の差別化戦略」について、有限会社日本個別教育研究会代表の多田昭寛氏が講演した。

■第1講座

「個別指導市場の現状と勝ち抜くための戦略」
個別指導コンサルタント 多田 昭寛氏

過当競争時代の差別化戦略

個別指導はすでに飽和状態にあり、いま生徒数を伸ばしている塾は多くありません。日本で一番大きいと言われている東京個別指導学院も伸び悩んでいます。ビジネスチャンスの時代には、教室を出せば、生徒が集まりました。しかし、過当競争の時代には、新たな戦略が必要です。

しかし、戦略を立てる前に、まず個別指導がどういうニーズから生まれたかを考えてみましょう。

個別指導というスタイルは、かなり以前から存在していました。ところが、集団指導塾のほうが強かったので、平成に入るまでは伸びていませんでした。

平成の初め頃、塾の乱立時代に集団指導塾が互いに足を引っ張り、生徒数が減っていきました。それまで能力別に4クラスに分けられていた塾も、2クラスにしか分けられなくなりました。そうなると、学力に合わず、落ちこぼれる生徒が出てきます。少子化の時代に、保護者も子どもの教育に失敗できない気持ちがあり、確実に成績を上げてくれる塾を探し出しました。そこに個別指導が入る余地が生まれたのです。

したがって、個別指導に対する生徒・保護者のニーズは、「確実に成績を上げてもらえること」です。ここをしっかり押さえておかなければなりません。

ところが、実際はどうか。講師はアルバイト学生で、指導経験が少ない。授業料が高いので、5教科の指導ができない。授業時間が短い。これで成績を上げて、志望校に合格させろというのは無茶な難題でしょう。

この難題を解決するのが、個別指導のノウハウです。例えば、森塾は「成績保証」で伸びています。徹底して講師を研修して、指導能力を高め、生徒の成績を上げています。

過当競争時代は、品質勝負です。これからの個別指導は、確実に「成績を上げる」、あるいは「成績を伸ばす姿勢」をアピールしなければなりません。しかし、そうは言っても、講師の指導能力を高めるのは難しい。では、生徒全員の成績を伸ばすにはどうしたらよいか。実は、さほど難しくないのです。生徒全員が今の2倍勉強したら、成績は確実に上がります。教えて伸ばすのではなく、2倍勉強させるのです。そして、内部ノウハウは「遡行学習」。前に戻り、基礎から学ばせます。この基本方針を徹底させれば、成績は上がります。有効な差別化戦略は、この延長線上にあるのです。次に、具体的な教室運営についてご説明します。

生徒数によってノウハウは変わる

教室運営のノウハウも生徒数によって、段階的に変えていく必要があります。

新規開設あるいは生徒数が30人までのときは、教室を活気づかせることと、成績が上がる前に顧客満足度を高めることが重要です。例えば、1対2の指導で空きが出る場合は、無料授業を入れる。週2回授業を申し込んだのに、無料で1回追加してくれるとなれば、「一生懸命やってくれている」と顧客満足度が上がります。また、自習にも来させる。生徒が20人しかいなくても、週に3回自習に来させたら、生徒数は3倍に見えます。定期テスト前には受講教科以外の教科も指導し、5教科受講できない分を自習でカバーする。そして、これらをチラシに載せるなどして、外部にアピールします。

この段階で重要なのは、講師のマネジメントです。アルバイト感覚のままではいけません。そのために、自分で考えさせるのです。特に大事なのは、新人講師研修。3人ないし4人を集めて、例えば、「個別指導に生徒・保護者は何を期待しているか」、「講師の役割は何か」を考えさせる。すると、「成績を上げる」「志望校合格」など、答えは必ず出てきます。「では、確実に成績を上げるために、明日から何ができるか」と聞くと、驚くことに、「学力に合わせて課題を与える」「家庭学習の習慣」「勉強のさせ方を教える」など、ここでほとんどのノウハウが出そろいます。学生は、自分がやってきたことですから、こうしたら伸びると知っているのです。ですから、まず考えさせて、その通りにやらせます。

個別指導はさまざまな生徒が来ますから、10通りの指導法があってもなかなかうまくいきません。しかし、講師が生徒と取っ組み合いしながら考え続ければ、この子にはこうしたらよいという方法が必ず見つかります。

東京個別が大きく伸びたのは、講師主導の教室運営が成功したからです。しかし、今では、そのノウハウが消失しているように思えます。

生徒数が60人ぐらいになると、教室長が授業を担当することは難しくなりますから、講師マネジメントや保護者対応などの業務が中心になります。ただし、これらの業務がスムーズにいくためには、生徒数30人のときに、とことん子どもと付き合って、個別とは何か、保護者のニーズとは何かを知っておく必要があります。そうしないと、三者面談は浅いものになり、信頼関係を築けません。

生徒数100人は限界点?

生徒数が100人に近づくと、社員1人では限界点に達します。生徒の名前を覚えるだけでも大変で、保護者の要望に十分に対応できなくなります。そうすると、退塾が増えます。たとえ新たに入塾する生徒がいても、同じ数だけ退塾すれば、生徒数は伸びません。

このときの運用方法には2通りあります。1つは、講師の意識をさらに高めて積極的に教室運営に参画させる。ところが、生徒数100人の規模となると、講師の数も多くなるので、簡単ではありません。

もう1つは、2人目の社員を配置する方法です。社員1人分の人件費は、生徒15人分ほどでペイできるはず。もし生徒数が150人になれば、利益は倍増します。

塾経営者の中には、「マーケットが小さいから150人は無理だ」と考えている人が多いようです。しかし、100人集めている教室は、その地域で優秀な教室です。信用が地域で一番高い。他塾から生徒を抜くことも可能です。

生徒が100人になって、目が届かなくなり退塾されるか、2人目の社員を入れて信用を高めるか。生徒が増えれば増えるほど、優位性は強くなり、口コミも増えます。生徒数は意外にすーっと伸びていくでしょう。社員2人目の配置は勇気がいりますが、近隣に子どもたちが通う塾があるようなら、お勧めします。これは塾生を増やすだけでなく、社員育成という大きなメリットがあるからです。

一般に、教室展開をしていくときに、新規採用者をいきなり教室長に配置する塾が多いようですが、無茶としか言いようがありません。

生徒数を100人まで伸ばした教室長は優秀です。その教室長のもとで、新規採用の社員を半年ないし1年間実務に就かせて、教室運営のやり方を学ばせる。そして、その社員を新規教室の教室長に配置するのです。研修だけ受けた社員と実地訓練を積んだ社員では、圧倒的な力量差がありますので、新しい教室も成功します。

勝つためには、他塾と同じことをやっていてはいけません。思い切って他塾がやってないことに挑戦すべきだと考えます。

続いて第2講座では、未来アカデミー塾長の辻本加平氏が「体験者が語る、学習塾および学校経営における教職員のうつ病対策について」と題して講演した。辻本氏は現在、日本スクールコーチング協会会長としても活躍されており、講演の中では、コーチングの実際の流れも紹介された。


【第2日目】

第3講座は、株式会社成学社代表取締役の太田明弘氏による講演が行われた。太田氏は1982年に大阪市で「開成教育セミナー」を開塾。その後、京阪神を中心に教室を展開し、生徒数を伸ばし続けてきた。現在の生徒数は約14,500人。単体売上高は56億円に上る。2008年8月、ジャスダック証券取引所に株式を上場した。

■第3講座

「こうして塾は潰れていく 〜激動の塾業界とそれに抗う成学社の戦略〜」
株式会社成学社 代表取締役 太田 明弘氏

20年間で半数の塾が消滅

私が26年前に塾を開いて、今日まで生き長らえているのは、日本の民主主義のおかげです。学習塾を開くのに、学歴も教員免許も必要ありません。いつからでも自由に開けます。

しかし、潰れるときに誰も助けてはくれません。我々は厳しい市場原理の中で、塾教育を続けています。

今から22年前に、『浮上するのはこの塾だ』(亜蘭忍著・言論出版社)という本が出版されました。その中で、「乱塾時代を生き残る超優良塾」として挙げられた上位25塾のうち、半数近くの塾がすでに存在していません。その多くが、経営の行き詰まりによる閉鎖です。

こうした現状を踏まえて、我々の行く末を考えると、選択肢は5つしかありません。すなわち@一代で塾を閉じる。Aわが子に継がせて、個人塾として続けるか。B誰かもしくは他社に譲る。C企業塾(組織)としての継続発展を目指す。D他塾(他社)と合併するか?

この中のどれを前向きに選択するのか。10年後を具体的にイメージできなければ、先はありません。

この20年間でおよそ半数近くの塾が潰れています。強い塾も弱い塾も、大手も中小も関係ありません。潰れる確率は同じです。確率論でいうと、10年後に3割は消えます。その3割に入るかどうかの勝負です。

潰れる理由は主に6つあります。

  1. 後継者不在。
  2. 経営の採算割れ。毎年塾生が徐々に減っていき経営が成り立たなくなる。塾閉鎖の最多要因です。
  3. 強力な他塾の出現と競争上の敗北。入塾数が急減し、一気に経営破綻に至ります。
  4. 組織分裂と有力教師の独立。最近は沈静化してきましたが、依然として塾経営における最悪のリスク要因です。
  5. 経営者の放漫経営とずさんな経営方針。当社が上場するときに、「社有車は国産車1台だけにしてください」と言われました。ちなみに、現在の株式市場は、上場すると時価総額が下がり、損をします。それでも当社が上場したのは、潰れにくくなるからです。実際に塾業界で上場した20社は存続しています。
  6. 経営戦略の不備もしくは過ち。成り行き任せの経営は、市場の拡大が見込めない現下にあっては必ず失敗します。逆に伸びている塾は経営戦略がはっきりしています。

いま一番伸びている塾は、広島の鴎州塾でしょう。社長の宇津田敬二さんは「我々の戦略にミスはない。競合塾は全部潰す」と豪語されています。その戦略とは「まず生徒を確保してから徐々に学費を上げる」。偏差値40〜55のボリュームゾーンを授業料の安さで囲い込むことです。この学力中間層は、いま景気の影響を受けて塾離れが進んでいるので、学費が高いか安いかが大きな意味を持ちます。鴎州塾では、例えば小学生は2教科で6,090円、中学生は2教科8,400円、5教科12,600円。夏期講習は10,500円です。夏期講習を募集したら、生徒であふれかえったそうです。しかも9月の継続率が90%。この成功により、春までに広島・岡山・山口の三県に63校の開講が決まったとのことです。

生徒数2万人体制へ

経営者には、ビジョン構築能力や目標達成のための組織設計能力が求められます。

成学社の現在の基本目標は、@教場の平均生徒数が100人以上。Aクラス平均塾生は、小学生8人以上、中学生12人以上です。

当社の特徴の1つは、クラス指導と個別指導の生徒数が半々だということです。経営のリスク分散のために両部門を均等に展開し、塾生一人ひとりのニーズに合うサービスを提供しています。第2の特徴は、小学生から高校生までの幅広い顧客層です。それぞれの構成比は、小学生21.1%、中学生53.9%、高校生24.3%。一局面に偏らず、中学受験、高校受験、大学受験まで責任対応できるコースをラインナップしています。来年度の経営基本目標は、生徒数17,200人、売上高66億円です。生徒数の中には、2009年3月1日に合併する京大セミナーの2,500人が含まれています。この合併により、生徒数2万人体制を展望できるようになりました。また、チャンスがあれば学校経営にも参画したいとも考えています。

成学社は22年前に大阪の1学区で、生徒数27人から出発しました。その後、兵庫にも進出しましたが、一時は馬渕教室や類塾との競争で苦しみました。年商7億円ぐらいの頃です。「もう勝てない、そろそろ潰れるのか」と思ったとき、学生時代に読んだ『中国の赤い星』を思い出しました。毛沢東の青春を描いたドキュメンタリーです。毛沢東は共産党の軍隊が「包囲討伐」され壊滅寸前だったとき、2万キロを長征し、本拠地を移しました。

そこで私も、精鋭部隊を新しい地域に送り込もうと考えたのです。当時の大阪には9つの学区がありました。その中で唯一、6学区には、トップ校の天王寺高校に40人以上通している塾が存在しなかったのです。我々は当時の6学区、現在の3学区に舞台を移しました。これが大当たりし、生き延びることができたのです。その後もさまざまなチャンスを生かしてここまでこれました。

来月から8千万円の建築費をかけた新教室の工事に入ります。1階は個別指導、2階はクラス指導、3階に自習室を設けます。生徒に自学自習を勧め、学習量を増やして成績を上げる。これからの塾経営で一番重要なポイントです。授業のない日も教室に来て、勉強してもらう。我々はそういう体制づくりをしながら、生徒の支持を集めていきたいと考えています。

暗いことの多い時代ですが、我々の業界には、大学進学率の上昇など、まだまだ明るい未来があります。皆さんとの明るい話題が増えるように、今後も努力していきたいと思います。

セミナー最終の第4講座は、株式会社日本M&Aセンター執行役員・営業企画部長の長坂道広氏が「私塾界におけるM&Aの現状と塾のデューデリジェンス(資産評価)」をテーマに講演した。その中で、塾業界の再編の動きが、数年前に再編をほぼ終了したドラッグストア業界と類似している点が挙げられた。そこから長坂氏は、塾業界もドラッグストアと同様に、最終的には、@大手数社A地場で生き残る中堅企業B家族経営の会社という構図になるのではないかと予測した。また、M&Aを成功させるポイントを具体的に解説した。

セミナー終了後に閉会式が行われ、株式会社セア教育研究所代表取締役の味岡康弘氏が「教育分野はニーズの大小の変化はあるが、他業種と異なり永遠に続くもの。教育の未来は明るい」と閉会挨拶を述べた。最後に、次回幹事を務めるマネジメント・ブレイン・アソシエイツ代表の中土井鉄信氏から、次回セミナーは、2009年4月22日(水)・23日(木)に横浜市で開催されることが発表された。

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