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2008/3 塾ジャーナルより一部抜粋

30名の壁を壊すには、コンフォートゾーンを変える

河野 優(こうの まさる)
[ 学習塾経営研究会 主宰 ]
大学を卒業後、大手通信メーカーに入社。そこで国際向け電子交換機のプログラム開発に携わる。30歳の時に、一身上の都合で地元に帰り、縁もゆかりもない場所で塾(開進スクール)を立ち上げる。塾を立ち上げた翌年より、学習塾ニュースの配信開始。現在の読者数は、約1000名。
その後、学習塾経営研究会を発足、全国の塾長のためのネットワークを構築。
主な活動には、千樹会(100人会の姉妹団体)代表幹事、学習塾経営セミナーの開催、100人会の主宰、その他、個人塾の経営、及び、販売支援など。
 

真面目な先生が陥る罠

先日、100人会のメンバーからメールを頂きました。
メールの中でその塾長は、「現在、私は、30名の壁にぶつかっています。
根本原因は、急激な塾生の増加への怖れです。

急に生徒が増える→充分な研修をしないままアルバイトを投入→授業が荒れる→
評判を落とす。
という負の連鎖をすごく怖れています。一度評判を落とすと、人集めのためにたくさんの宣伝費をかけねばならなくなり、
そこで運営資金が尽きてしまうことに大きな恐怖感を持っています...」

このような内容が書かれていました。

まさに、多くの善良なる塾長に襲いかかるのがこの30人の壁です。
30人の壁は、心理的な壁です。
塾長なら誰しも、良い授業を生徒や保護者のためにしてあげたいと思っているものです。
しかし、その中には、良い授業をするのは、世界の他の誰でもなく、自分自身だけだと
考える塾長がいます。
つまり自分が直接教えることが、価値であると信じているのです。

生徒が30名を超えた頃から、教室によっては、手詰まり感が出てきます。
今まで、生徒1人、1人、ゆっくりと見れていたものが、見れなくなったり、
今まで、細かく指導できたものが、できなります。
つまり、今までと同じ感覚で指導がなくなるのです。
それを授業の荒れと感じるのです。

正直、私も同じことを思いました。一般的に塾は、開業して2年目に、生徒が増える傾向があると聞きますが、
私の塾でも、開業時のたった3名だった前年とはうって変わって、一気に30名くらいになりました。
中3生だけでも、14名在籍していました。前年は、3名だったわけですから、
かなり細かく指導していたものが、同じ方法では、とてもこなせません。
必死で授業や補習をしていましたが、こんなにバタバタしては、授業が荒れる、評判が落ちると思ったものです。

今までのやり方をもう一度、根本から見直そうと思ったのは、それから間もなくでした。
今までのやり方は、今までの環境では良かったかも知れませんが、状況が変わればやり方も変える必要があります。

「細かくやる」ということは、具体的にはどういうことなのか。
違うやり方で、同じ効果が出せないものか?
そのようなことを考え、仕組みを少々変更したのです。

人は、基本的に変化を嫌います。そのため考え方も、今までの延長上になってしまいがちです。
生徒が数名から、一気に30名にもなれば、その状況変化に頭が混乱するのは、至極当然です。

自分の揺れ幅を大きくする。

これは、コンフォートゾーンと言われます。自分が気持ち良い立ち位置のことです。
安心領域とも言われます。

これを、日本流に言えば、ぬるま湯につかっているという事だと言う人もいますが、
私は、バランスのゆれ幅の問題にしか過ぎないと考えています。

生徒数が少ない中で、バランスを取ることが「気持ちよい」と思うのであれば、
それを維持しようとするのが、人というものです。

例えば、シーソーを考えて頂くと分かると思いますが、支点の近くに座るのと、
支点から一番遠いところに座るのとでは、揺れ幅が違います。また、上下する時の
スピード感も違うはずです。

生徒数が多くなると、経費や固定費は大きくなります。つまり、シーソーは、今まで以上に下に落ちていきます。
しかし、反面、売上げは、上がってくることになります。その揺れ幅が大きければ、
大きいほど、人は恐怖を感じやすいと私は、考えています。

30人の壁を越えるためには、自分のコンフォートゾーンを変える必要があります。
心理的な壁であるというのは、まさにこの部分なのです。

自分の「揺れ幅」をどこまで大きくできるか?ということです。

不思議なもので、最初から生徒を100名にする、1000名にする、と思っている
塾長には、この30名の壁は、あまり出てきません。最初からコンフォートゾーンを高く設定しているからでしょう。

つまり、「まだまだ・・」と思って、一生懸命シーソーをゆらし続けるからです。
しかしゆれ幅の小さい中でのバランスに慣れている塾長は、ちょっと大きく揺れると
慌てて揺れを止めてしまいます。

もともと生徒数と指導の細やかさには、何の因果関係もありません。
生徒数が少ない塾の方が細かいとか、生徒数が多い塾の方が指導が雑とかということはありません。

それどころか、多くの優秀な講師を雇っている塾の方が、教務力は高いものです。

厳しい言い方ですが、多くの個人塾は、自分の教務力が客観的にどうなのか?という判断をしていないものです。

本来、自塾の商品を「良い授業、高い教務」と考えているのであれば、常に、それらにアンテナを張り、
自分の授業・教務力を高める努力をするべきですし、自分よりも素晴らしい教務力を持つ人がいれば、その人を雇うということも考えなくてはならないはずです。

異業種であれば、どんどん他社を調べ上げるのが普通です。
その上で、自社の商品をブラッシュアップしていきます。

他塾がどのような授業をしているか?他塾の先生のやり方はどうなのか?ということすら認識していないようでは、教務が商品と考えているとはいえません。

以上は、余談ですが、教務の高い塾がどのような方法で、システムで指導をしているのか?ということを勉強することは非常に大切なことです。

今までのコンフォートゾーンを壊す

さて自分のコンフォートゾーンをどう変えるのか?ということが、この壁を突き崩す真のポイントになります。

100人会では、最初に目標人数を100人とすることで、コンフォートゾーンを100名に設定しています。
そして、100名までは行ける!と思えるまで様々な準備をするわけです。

コンフォートゾーンを上げるということは、たやすいことではありません。
人は環境に適応しますが、無理に今いる環境を居心地悪くすることは、簡単ではないはずです。

そこで私は、まず「人数が増えることが良いことだ」と認識してもらうようにします。

本当に良い教育をしているのであれば、多くの生徒にして上げた方が良いに
決まっています。自分の商品に自信があれば、どんどん売るべきです。

セルフイメージも変えてもらいます。セルフイメージが変われば、コンフォートゾーンも変わります。

手っ取り早く変革を起こすには、服装を変えることです。私は、今でこそ仕事中には、
スーツを着ますが、以前は、ジーパンにトレーナーというありがちな服装で授業をしていました。実は、会社員時代も、その格好でした。プログラムの開発部隊にいましたので、
お客対応が基本的にありません。よって、素な姿で仕事をしていても、特に問題には
なりませんでした。

しかし、塾はサービス業です。他人からどう見られているか?ということを意識することがスタートです。自分の中に第三者の冷静な目を持ち、理想の姿に近づいていけるようにセルフイメージを持ち続けると、自然にコンフォートゾーンも変わってきます。

コンフォートゾーンは、「今までの」自分の思い込みが作っています。
その思い込みを少しづつ壊していくわけです。

本当に、今のままでいいのか?
変わることのメリットとデメリット、変わらないことのメリット、デメリット。
生徒が増えるとできること、できないこと。

そして何よりも、もともと何をしたかったのか?
そのようなことを自分自身に問うていくことで、自然と次のステップに上がれるのです。

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