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中学・高校受験:学びネット

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2007/7 塾ジャーナルより一部抜粋

JUKU21世紀の会in銀座

  2007年4月22日(日) /  於 ライオン銀座5丁目店(東京都中央区)  
     
4月22日、毎年恒例となっているJUKU21世紀の会主宰の「私学・私塾の集い」が東京・銀座で開催された。首都圏や他地域からも多くの私学・私塾関係者が集まり、参加者数は総勢120名を超える規模。中高入試を中心とした現在の教育の在り方や私学の今後について熱い議論が交わされる豊富な内容の会となった。

開会の辞を述べたのは、司会進行を勤めた主催者の四季青舎・古本真成塾長。次に東京私立中・高協会会長の近藤彰郎氏(八雲学園中学・高等学校理事長校長)が挨拶の中で、文部科学省の『教育委員会による私学への助言と指導』の伝達を取り上げた。「伝達には私学の独自性を考えるなどの文言を入れてほしいとの要望を出したが、それは認められなかった。このままでは公立と同じ指導を行うよう、私学へ指導が入る可能性もある。今後どうなるか、文科省の動向から現在目がはなせない」との言葉に、参加者の関心が集まっていた。

乾杯に立ったのは麹町学園女子中学・高等学校の相川忠洋理事長。参加者全員の健勝を祈ると同時に「日本の教育が正しい道を歩み続けられるよう祈念します」と乾杯の杯を掲げ、参加者全員から大きな歓声が寄せられた。

中学入試に関する近況報告

国会で重視され、近年多少回復してはいるものの、少子化の波は未だ収まるところを知らない。その中で上昇を続けているのが、中学入試である。実際の数値でも、2007年受験でのべ出願数は33万7千人(東京・神奈川・千葉・埼玉)以上。受験者総数昨年比は+5.6%(東京・神奈川)となっており、来年度以降も増加傾向が予想される。

この件について、首都圏模試センターの樋口義人社長はこう語る。

「2002年から文部科学省が提唱するゆとり教育は、現在も継続しており、生徒の習熟度レベルは下がり続けています。近年、中学受験年度にあたる小学生はこのゆとり教育で育った世代であり、本人や保護者がその内容に危機感を覚えているのも事実です。さらに、このゆとり教育は、公立中学でも必修内容の3割削減という形で取り入れられています。これは、ゆとり教育以前には2年間でやっていた内容を3年かけて学ぶのと同じ。一方、私立中学は中高一貫の利点を活かして、中学での内容を中学2年で終え、3年では高校での履修内容を前倒しで学びます。このため、中学卒業時には実質2年分の開きができる。これでは中学受験熱が収まるはずもありません。現在は首都圏を中心に広がっていますが、このままでは徐々に日本全域で同じ現象が起きることになるでしょう」

また、公立小学校では偏差値に変化が出てきている。今までは中間層を中心になだらかな山状の曲線を描いていた偏差値のグラフだが、最近は中間層の数が減り、M字型を描く二極化に転じてきた。このため、中間層の生徒を対象に入学生募集を行ってきた私学では、どちらのレベルの生徒に合わせた指導をすべきかを選択せざるを得ない状況が生じているのだ。

「私学では以前の生徒確保に躍起になっていた時代から、定員充足以上の受験生を確保できる買い手市場になってきました。しかし、二極化や少子化の問題もあり、今後、私学・私塾がどのように対応していくか、まだ課題は残っております」と樋口社長は強い言葉で締めくくった。

高校受験に対する近況報告

前期・後期試験制やAO入試など、新しい受験の形が続々と取り入れられている高校受験。学力試験を実施しない高校も増えており、生徒の間では高校受験に対応する勉強はしなくて良いという意識も生まれ始めている。変化の激しいこの現状を語るのは、(株)声の教育社の小泉邦人専務取締役だ。

「埼玉県では再来年から公立校の受験において、内申の総合点と前期試験の導入により、2月半ばまでに7割から8割の生徒が入学校を決め、残りの生徒が後期試験を受ける形になると予想されています。このため、その前期試験より早い時期に私学が入試時期を設定するようになるのです。また、首都圏では、3分の2の受験生が公立や私学の前期試験で入学先を決めており、私の会社でも、毎年恒例の時期に過去問の問題集を発売したところ、前年度比50%弱の売上げにとどまってしまったというマイナス実績があるほどです」
  一方、中高一貫校の進出も高校受験に大きな影響を与えている。首都圏中央線沿いに来年度2校、2年後に4校が開校を予定。高い合格実績を上げてくれる優秀な生徒を、中学受験時点で青田刈りされるため、公立校だけでなく、高校しか持たない私学には大きなダメージとなると考えられる。

だが、私学の利点は中高一貫だけに絞られる訳ではない。文部科学省の提唱するゆとり教育に縛られることなく、土曜日や総合的学習の時間を利用することで、主要教科だけでなく選択教科にも充分な学習時間を確保できるのだ。多くの学生や保護者が『失敗した国策である』と認識している3割カットの中学授業内容だが、これを補って余りある内容のシラバスを作成している私立高校も少なくない。また、専門科目も豊富に設定し、技術や資格を修得できるようにしている私学も多く、受験生の注目を集めているのも事実である。
「現状が続く限り、中学での学習ではできなかった部分を補うことができる私学なら、その特性を発揮すれば自然と注目が集まります。このような逆風の中だからこそ、私学が結束し、より良い教育を行うことができるように広く発信していけば、充分に生き残れると、私は考えております」

厳しい現状に一石を投じる小泉専務の最後の言葉に、会場の多くの参加者は深くうなずいていた。

今後の私学教育において

この後、古本塾長の指名で多くの論客が壇上に立ち、熱い持論を繰り広げ、会場のあちらこちらでその内容を話し合う姿も見られた。

すべての論客の最後に立ったのが、最後の挨拶を指名された東京女子学園中学・高等学校の實吉幹夫理事長校長。東京私立中高協会の副会長も兼任している同氏は挨拶の中で、 「国策により、今私学は危機に瀕しているという意見もありましたが、国がどういう人間を求めているかよりも、自分たちがいかに自立して、この国をどのように導いていくかを考えられる人材を育成するのが、これからの私学の役割と考えます。今の首相が語る『美しい国日本』のように、これからの子どもたちが美しい国を作り、守っていくためにも、今、何を子どもに教えてやるかが重要なのです。公教育が行うような、国家統制の教育だけでは日本はだめになるでしょう。小さいけれど大切なことを、ひとつひとつを丁寧に伝えながら、本当に生徒のためになる教育を続けていくことができるのは私学の力なのです。皆様全員のご協力をお願いします」と伝え、参加者全員の喝采の中で会を終了した。

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