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2007/1 塾ジャーナルより一部抜粋

自分の影響力を活かしてほしい

 

安田教育研究所
代表 安田 理

●プロフィール
(株)学研で長らく受験情報誌・教育書籍の企画・編集にあたる。また、幼児から大学分野までを扱う教育情報プロジェクトを主宰。幅広く教育に関する調査・分析を行う。2002年教育情報編集部長を最後に同社を退職し、安田教育研究所を設立。講演、執筆、情報発信、セミナーの開催、コンサルタントなど幅広く活動中。

 
     

社会性を育てることにもかかわって

塾の先生と話をしていると、塾ないし自分の仕事の範ちゅうについて、二通りの考え方をする人がいる。

一つは、塾の仕事はあくまで学力を付けること、受験塾なら合格させること。それ以外までやろうとするのは「おこがましい」と考える先生だ。確かに、一番の仕事はこれであろう。これがまともにできない塾であれば、たちまちお金を出している保護者から見捨てられてしまうであろう。また、週2回から3、4回、それも2時間程度であれば、学習以外にまではとても手が回らないというのも現実である。

もう一つは、勉強の合間に勉強以外の話をしたり、休日や夏休みに野外に連れ出すといったイベントをしたりすることで、子どもの全人格的な成長にかかわろうとする先生だ。塾の仕事のメインがこれというわけではなく、塾長個人の願望・資質による部分が大きいのであるが。当然、後者は受験塾ではなく補習塾に多い。

私も最近までは、塾は前者をしっかりやることこそが本分で、それでいいと思っていた。が、このところあまりにも親が子どものしつけができていない、親がわが子にきちんと話ができないでいるので、塾の先生を頼りにしたくなってきた。塾に来ている生徒はまだいい方であろうが、それでも先生方もこのことは実感しているのではないだろうか。

話し方がなっていない、人の話を聞けない、室内を汚す、ものを大切にしない、疲れている、体がシャンとしていない……一昔前の生徒と比べると愕然とするくらい、いろいろな面で心配ではないだろうか。

それでも、彼らの周りには注意してくれる人がいなくなっているのだ。

そもそもいまの家庭は、おばあさんの時代と比べたら格段に家に他人を入れなくなっている。保険や化粧品などのセールスの人は勿論、近所の人を家に上げることもしなくなった。お父さんが会社の人を連れ帰ることもなくなった。親戚との行き来もずいぶん少なくなっている。そんな状態である。家によその大人が、親戚・近所の子が、来なくなっているのだから、いまの子が同年代以外の人とどう話したらいいか、どう接したらいいか、わからなくなっているのも当たり前の話である。当然、親に代わって話を聞いてくれる、注意してくれるおじさん、おばさんもいない。

そうした時代に、生徒が接する数少ない大人が塾の先生なのである。それだけに塾の先生の影響力はとても大きい。このことから、私は塾の先生にその影響力を行使していただきたいと思うのである。

20年後の社会を考えたとき、生徒たちにどんな大人になってもらいたいのか。それは単にその子が社会的に成功するというだけではなく、よりよい社会にしていくためには、一人ひとりが人と共に生きられる、また社会に対して責任を果たすように育てることが必要と思うのである。

親を焦らせないで

昨年あたりから、子育て・中学受験を扱った雑誌が数多く刊行されている。それらの特集を読むと、中学受験は「家中で闘うもの」、「中学受験こそ父親の出番」、さらには「間取りで合格が決まる」……といった具合で、中学受験に向かう親たちは一段とヒートアップしている。投下されるお金・労力・時間もそれぞれが一段と増加している。人によっては、中学受験をさせなければ、わが子は人生の「負け組」になるかのような悲壮感すら漂うほどである。

そんな心理状態であるから、塾の先生が「お子さんは○○科が弱点ですね。これを克服しないと合格ラインには届きませんね。」と言えば、すぐ個別指導塾へ入れるか家庭教師をつける。「学校から帰ってから塾に来るまでの時間をどう使うかが合否を分けますよ」と言えば、帰宅するのを待ち構えて、一休みする時間も与えず、用意したプリントをやらせる。「来年は史上最高の受験率になる。全滅組が続出する。」と言えば、帰宅した父親が付きっ切りで深夜まで勉強をみる。

私のところには、受験前の相談だけでなく、入学後の相談も持ち込まれる。最近気になるのは、長期の受験生活の途中で戦線離脱してしまう子ども、親子関係が壊れてしまう家族、何でもかんでもやってもらうことに慣れて自分で決められない子ども、せっかく合格した中学なのにたちまち不登校になるケース……そうしたことが増えていることだ。

親の必死さに子どもがついていけない。子どももいつの間にか当初の前向きだった気持ちが「ただ勉強がシンドイ」に変わってしまう。受験生活の伴走者がいつの間にか「鬼」に変わってしまうのである。

最近も、子どもの口からこんな言葉を聞いた。「合格しても、ぼくは絶対ママを許さない。」

受験に成功しても、子育てに失敗

これが実に多くなっている。

将来の展望が開けず、なんとなくせちがらく生きにくくなっている社会環境。今さら塾の先生が奮起を促さなくても、すでに親たちは子どもの将来に十分危機感を持っている。むしろ逆に余裕がなくなっている。長い目で子どもの成長を見られなくなっている。

「なんとしても合格させなければ」、「合格すれば何事も解決する」……そんなふうに思っている親が多い。

だからこそ塾の先生には、親を煽らないこと、焦らせないことをしてほしい。ドンと構えさせてほしい。そうしないと、つぶれる子がドンドン出てしまう。親子関係がおかしくなる家庭が目に見えて増えてしまう。

是非、長い目で見て子どもの成長につながることをアドバイスしていただきたい。

― 一部抜粋 ―

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