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2006/11 塾ジャーナルより一部抜粋

関西私塾教育連盟研修大会
「学校の取り組みから塾が学ぶ」

  主 催 関西私塾教育連盟 開催日 2006年9月24日(日)
場 所 ヴィアーレ大阪(大阪市)
 
     

大阪を中心とした塾関係者で組織される関西私塾教育連盟は、9月24日、『国語教育の重要性および人格教育への取り組み方』という観点で研修会を開催した。第1部は公立中学校での指導経験から基礎学力をテーマに研究を続ける小河勝氏が基調講演を行い、また、「心の教育」への取り組みを在阪の私立高校4校が現況報告した。第2部では人格教育と国語指導の2つの分科会が開かれ、参加者はそれぞれ希望する分科会で研修を行った。

はじめに、関西私塾教育連盟の荒川雅行理事長が「1963年の連盟設立以来、教科指導を中心に定例会を持ち、研修会も過去に26回開催してきた。近年は教科指導のみならず生活指導、全人格的指導についての研修の必要性を実感し、学校現場の取り組みから学ぼうと私立高等学校、関西の塾団体の協力を得て、研修の機会を設けた」と挨拶。

続いて、清村善治実行委員長から「子どもを取り巻く環境が複雑化する昨今、学習塾はもはや教科指導だけに専念していれば良いという状況ではなく、心の教育を学校現場の取り組みに学びたい。また近年、国語教育の重要性が認識されつつあるが、国語は最も指導が難しい教科であり、今回の研修大会では講演、模擬授業を通じて、新たな指導法の発見に期待したい」と研修の趣旨説明がなされた。

第1部 基調講演
「理数科指導を通して得た国語教育の重要性」

和歌山大学教育学部講師 小河 勝氏

公立中学校で32年間教えてきたが、着任後しばらくして70年代後半の荒れた学校に直面した。最前線で生活指導に当たっていたが、その途中で“荒れ”の根本原因は、むしろ学力問題にあることに気づいた。以来、一般的な生活指導よりも学力低下の改善へ、目を転じるようになった。

小学2〜6年生までの算数問題(整数、小数、分数の加減乗除演算や割合など)50問を、A中学校とB中学校の平均的学力レベルの生徒に解かせると、正答率はどちらの学校もわずか6割であった。データの信頼性を高めるため、問題の構成は同様の問題を3問連続させ、ケアレスミスによる誤答なのか、全くの学力の未定着による誤答なのかを判定できるようにした。

算数では分数のつまずきがよく指摘されるが、小数のつまずきのほうが深刻であることがわかった。こうした状況の子どもたちが中学校に入って選択するのが塾である。塾に行けば何とかなると思い込んでいるが、例えば中学生で、小学2年生の3桁の足し算を正答できない。この子が通塾したとしても、この子どもに絞った対応をしなければ、学力を回復させることは難しい。

小学校の低学年から算数でつまずいた子どもは2〜3年生の頃から「どうしよう、どうしよう」という不安を抱え続けている。わからないからといって、先生に自ら質問する発達段階でもない。自分で何とかしようとするが、できるはずもない。やればやるほど間違いを重ねる状況に陥る。すると、「せめて、みんなの邪魔をしないように」と教室の隅で消極的になり、次第に自信を失う。こういう状態が何年も続くと、ついには爆発し、自己をいびつな形で発散してしまう。それが荒れた学校を生む一要因となっていったのではないかと見ている。

算数でつまずいた子どもたちに対し、教員が何とか克服させようと努力を重ねた時期があった。が、成果はなかなか上らず、現場では「教えてもできない子どもはいる」といった低次元な議論に傾いていった。しかし、やがてこうした議論が大きな間違いであることに気づかされる。算数ができない子どもに「つまずきの二重構造」があることがわかった。それは漢字の習得率に着目することでわかった。

私が取ったデータでは、小学校1年生で習う漢字の習得率は96%だが、その後、徐々に落ち、4年生では52%、6年生では33%にまで落ち込んでいる。そのうえ、33%の中には100点や90点といった高得点を取る子どももいるので、習得率の実態は10%程度という子どもも少なからずいるということだ。10%というと、漢字が含まれている文章(算数の文章題、教科書の文章なども)は読めないに等しい。

次に足し算、引き算、掛け算の百マス計算を中学1年生の4月に時間を計ってやらせて見ると、4分以上もかかる子どもが足し算で20%、引き算で43%、掛け算で7%もいた。ちなみに、小学5〜中1の目安は1分半ほどでなければならない。誤答率も高い。1つも間違いが無かった生徒は足し算で35%、引き算で22%、掛け算で49%となっていて、いかに基礎演算力をつけずに中学校に入学してきたかがわかる。

こういう状況で、例えば4桁の割り算18252÷78を筆算で解かせると、スムーズに計算できないばかりか、途中で間違うケースがほとんどだ。この1題を解くのに、少なくとも80回もの加減乗算を繰り返さなければならないからだ。百マス計算の段階で4分もの時間がかかり、誤答している子どもにとっては、この割り算すら解くことは非常に難しい。

このような実態を踏まえ、中学校で加減乗除のやり直しを徹底させようと提案しても、「中学校で足し算や引き算をやるなんて」という意見が出される。だが、実際は“豆腐のような学力”だ。一見、形づくられているように見える学力だが、新たに積み上げようとすると、土台が簡単に潰れてしまうからだ。基礎をしっかりさせなければ学力はつかない。
そのために、1つのことを徹底して理解させることも必要だが、いくつかの問題を3日繰り返すことをお勧めする。反復することで、定着率は飛躍的に高くなるばかりか、記憶に新しいこと、わかることを繰り返すことは心理的劣等感を持っている子どもに自信を与えることにもなる。

70年代後半から中学校が荒れた要因の一つに、当時の学習指導要領改訂があった。小学校の算数の授業時間数を大幅に圧縮し、「集合」「合同」「関数」を組み入れ、同時に小学1年生の習得漢字数を46から74文字へとほぼ倍増した。基礎学力をつける時間も十分にないまま、77年に中学校に入学してきた子どもたちが79年ごろから荒れだした。

基礎学力には時間をかけなければならない。子どものてのひらに産みたてのニワトリの卵を載せてやると温かいことを実感する。これで「卵」という漢字の中に命があることを体験的に認識する。また、視覚障害のある生徒に「高い、低い」を教えようとした教師がその難しさに驚いたということを耳にした。「高い、低い」という概念は、重力下でモノの落下を見ている健常者にとっては当たり前のことだが、その前提がない目の不自由な人には、概念を築くことが難しい。

子どもの概念には、すべて前提となるものがある。国語教育の崩壊を食い止めるには、言葉の概念形成を日ごろからコツコツと育てていくことしかない。すべての教科で理解力を上げるためには国語の能力を磨くことが必要だ。

― 一部抜粋 ―
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